結婚相手に求める条件として「清潔感」をあげる人は男女ともに多い。結婚カウンセラーの大屋優子さんは「清潔感の有無は『毛』で決まる。髪と眉毛はいかに見せるかが重要な毛だが、絶対に見せてはいけない毛もある」という――。

※なお、本稿は個人が特定されないよう、相談者のエピソードには修正を加えている。

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■“女性経験ゼロ”の真面目過ぎる30代男性

彼が私の婚活サロンにやってきたのは、ある暑い夏の日。

真夏だというのに、しっかりジャケットを着こみ、重そうなビジネスバッグを携えて、約束の時間の5分前に現れた。

34歳、大卒、年収500万円。大学卒業後は、とある大手の金融機関に就職。営業部に配置され高いノルマのプレッシャーに苦しくなり、将来を考えた時に、資格で食べられる仕事に就くべきだと考えて、金融機関は退職。一念発起して資格試験の勉強を始め、司法書士の資格を得た。

仕事も落ち着き、結婚したいと思ったものの、恋人も、出会いも、女性経験もない彼が、婚活のステージに選んだのが結婚相談所である。

スリムと言うより、ガリガリと言ったほうがぴったりくる体型で、ザンバラの不ぞろいな髪、眉毛は伸び放題のボサボサ。いままで女性とはお付き合いしたことの無い雰囲気が醸し出されていた。彼の婚活は厳しいものになると直感した。

面談では、結婚相談所での婚活の進め方を説明した。

すると、彼は非常に飲み込み早く理解してくれる。聞けば、ここに来る前に、私が運営しているの婚活サロンのサイトに上げられている200近い婚活記事に、くまなく目を通してくれていたのだ。

■美容院と眉カットで別人のような好青年に

「お写真を撮る前に、美容院と眉カットに行きましょう」

そう提案すると、早速にどのサロンが良いかを相談してくる。その場で、次の週末の美容院と眉カットサロンに予約を入れ、写真スタジオの撮影日も決まった。

「どんな髪型にしたら良いですか? 眉カットは、どうお願いすれば良いですか?」

彼は、真面目のなかの超真面目。自分のイメージチェンジにも、全力で取り組む。彼の顔に合うように、髪型を提案し、眉カットはプロにおまかせしたら良い旨を伝えた。翌週の写真撮影に現れた彼のルックスをみて、びっくりしたのは、誰よりもこの私。別人のような、イケてる男性に生まれ変わったのだ。

清潔感あふれるさわやかな好青年が目の前にいる。ついこの間、地味で野暮ったいという形容詞しか思いつかない男性だった彼の婚活は、簡単にはいかないだろうと思った私の第一印象は消え去った。

「清潔感」というのは、婚活において何より重要なポイントで、これを持ち合わせていなければ、どんなに高学歴、高年収であろうが、まずお見合い突破は不可能である。

では「清潔感」とは一体なんなのだろうか? なにをもって清潔感があるというのか。婚活男性はどこに気を付ければ清潔感あふれる好青年になれるのだろうか。

■清潔感の有無は「毛」で決まる

「清潔感」の肝となるのは「毛」である。

人間には髪の毛を始めとし、身を守るために身体のあちらこちらに『毛』があるが、この「毛」をどう見せるか、いかに「毛」を見せないかが清潔感を左右する。

言うまでもなく、大きく第一印象を左右するのは「髪型」。似合う髪型を提案してくれる優秀な美容院のスタイリストを指名したい。これは婚活のファーストステップである。

そして絶対に手を抜いてはいけないのが「眉毛」。恋愛経験のない男性は、眉カットなどとは人生無縁で、伸ばし放題にしてきている人がほとんどだから、眉毛カットの専門店で眉を整えてもらっただけで、顔の印象がガラッと変わってしまう。彼は言うまでもなくその一人で、眉をしっかり整え、ワックス脱毛したことで、表情まで変わった。

写真=iStock.com/Diy13
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髪と眉毛はいかに見せるかが重要な「毛」だが、清潔感のためには見せてはいけない「毛」もある。その代表選手が「鼻毛」だ。どんなイケメンでも鼻毛が出ていたら100年の恋も冷める。お出かけ前の鼻毛チェックは婚活男性でなくすべての人がすべき身だしなみである。

次に「耳毛」。耳たぶの産毛はもちろんのこと、耳の穴からの毛に注意したい。昔の総理大臣に生えっぱなしの耳毛が見えている人もいたが、高齢男性によくみられがちなこと。耳から毛が生えていてかわいいと思えるのはコアラだけだ。

■ヒゲだけでなく、産毛、腕毛、指毛にも注意

そして言うまでもなく、「ヒゲ」。

毛深い男性の悩みの種でもある青ヒゲは、ヒゲの医療脱毛も検討したいところだが、脱毛ともなれば費用も時間もかかる。最近は男性もおしゃれのために薄化粧をするが、青々と目立つようならファンデーションで隠すことを考えてみると良い。当然ながら、お出かけ直前にヒゲは剃るべきだし、デートが長丁場だったり、一日にお見合いが二件あるような場合には、途中でハンディタイプのヒゲ剃りをバッグに忍ばせてケアを忘れないでほしい。

写真=iStock.com/Yusuke Ide
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一方で、毛深くない男性は、ヒゲなどに無頓着な分、自分の顔に「産毛」が生えていることに気がつかないことがあるので、産毛にも気を配ってほしい。唇周りの産毛に、飲んだコーヒーがついたり、うっすらと眉間に産毛が生えていて、よく見ると両方の眉がつながっていることもある。普段は美容院しか行かないという男性も、理髪店でヒゲを剃ってもらうことを習慣にしてもよい。

また、手の指の毛、袖口からはみ出る毛、これはいずれも目に付く部分なのに、意外と男性はこの毛はそのままで良いと思っているので、くれぐれも注意してほしい。

■ファッションセンスがなくても清潔感は出せる

そして清潔感においてファッションが大事なのは言うまでもない。

どんなファッションなら清潔感がある男性に見えるのか?

「清潔な服」、「シワのない服」、「臭いがしみついていない服」であることが大前提。似合うか似合わないか、おしゃれかどうかはその次に考えること。高いスタイリストに依頼して服をコーディネートしてもらうとか、高価なブランド品を買うのは後から考えたらよい。センスがないなら、結婚後に奥様に服を選んでもらえばよい。

そして絶対に、「サイズが合っている服」であることが、清潔感を印象付けられる鍵となる。

前夜に焼き肉を食べに行ったスーツでお見合いに行くとか、数年前の太っていた時の大き目サイズのスーツなど、わざわざ似合わない服を着て自爆しに行くことは避けるべきである。つまりは、「きれいでジャストサイズな服」を身にまとっていなければ、清潔感ある印象にはなれない。

そして、気を抜いてはならないのが「靴」。おしゃれは靴から、という言葉もあるくらい靴は重要である。婚活を始めるなら、靴はぜひお見合いのスーツ用と、デートに履いていけるカジュアルシューズの二足は用意してほしい。くたびれた靴は、一気に不潔を連想させる。ここにお金をケチるとロクなことがないのは明白である。

■マイホームのために2000万円をコツコツ貯金

彼は、婚活のために、スーツも新調していた。面談で着てきた野暮ったいオジサンスーツではなく、身体のシルエットが強調される、おしゃれでカッコいいスーツだ。スタジオで撮れた写真は、完璧なる好男子。しかも司法書士という、難関資格を取得しており、収入も安定している。完璧なビフォーアフターで、彼は生まれ変わったのだ。

さらに驚かされたのは、彼は、年収は平均値なのに、この年齢で、預貯金が2000万円もある。どうやって貯めたのか? と聞くと、仕事と自宅の往復でお金を使わなかったら、自然と気が付いたら貯まっていた、とのこと。

結婚は、一生を左右する大きなこと。

人生において、受験、就活、婚活という節目の出来事があるが、中でも大きくその人の人生を左右するのは、婚活かもしれない。

なぜなら、会社は転職という道もあるが、結婚したら、離婚はすぐにできるものではない。結婚したら、両家の家族や、場合によっては子供も授かる。しがらみも生まれる。誰でも良ければ、結婚は簡単にできるかもしれないが、簡単に結婚したとしても、離婚するのは、簡単ではないのだ。

彼は、この人生の一大イベント「婚活」のために、お金を貯え、その日を待っていたのである。婚活に使うお金はもちろん、結婚後は将来の家族のためにマイホームを購入予定で、コツコツとお金を貯めてきたのだ。

■11人とお見合いして“運命の人”と出会う

婚活用スーツに始まり、デート用のおしゃれ男子ファッションも新たに購入。学生時代の友人に付き合ってもらい、女子ウケする洋服を数着用意、もちろんバッグや靴も買い揃えた。

ありとあらゆる、婚活本を読み漁り、ネットに上がっている婚活動画もくまなくチェック。お見合い前の私からのアドバイスには、真摯に耳を傾ける。お見合いで話すべきこと、聞いてはいけないことも、よく理解し、誠実にお相手女性に向き合う。

彼がお見合いした女性は、11人。うち、お断りを受けたお相手は、2人。こちらからお断りさせていただいた女性は4人。5人の女性と仮交際になり、一回目のデートで合わないと判断し、2人とは交際終了に。残る3人の女性とデートを重ねることとなる。

デートも、女性を楽しませることに配慮し、素敵な場所に女性をエスコート。デート費用は、当然彼持ち。女性にお金を出させることは、一切しない。デートコースには、時間があれば事前に行ってみるなど、真面目な彼は、女性を大事にする気持ちにあふれた紳士である。

写真=iStock.com/kieferpix
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一人は、偶然同じ大学を卒業した金融機関に勤務する女性。美しく、聡明な女性で、同窓生ということもあり、話も合った。もう一人は、5歳年下のかわいらしい美大卒業のデザイナー。性格も良く、あちこちにデートを重ねた。

そして、もう一人は一歳年上の看護師の女性。この彼女が、彼の運命の女性である。彼女は、3人の中で、交際のスタート開始時期は一番出遅れたが、二回目のデートを終えた段階で、彼女のカウンセラーから、私に連絡をいただいた。

■「もう他の方とお見合いするつもりもないみたいですし…」

「昨日、そちらの会員様にお誕生日をお祝いいただいたそうなんです。とても喜んでいて、素敵な方と交際させていただいて、ありがたいと思っています。こちらは、もう他の方とお見合いをするつもりもないですし、前向きにお考えくださいませんか?」

あまりにも速い展開に、こちらは面食らってしまった。まだ、交際は始まったばかり。しかも、こちらにはほかに二人の女性とも、順調に交際中でもある。

とはいえ、その申し出はありがたいことこの上ない話。結婚相談所で成婚するには、『女性が男性を気に入っていること』が大前提なのである。男性は、比較的惚れっぽいから、仮交際に入ればすぐに相手の女性を好きになる。それに対して、これから家庭を持ち、その相手との子どもを産むかもしれない女性は、相手を簡単には好きにならない。そして、女性が気に入らなければ、まず成婚には行きつかない。

先方カウンセラーからのありがたい申し出に、心から感謝し、これからのお付き合いを一緒に見守っていきましょうと合意、引き続き交際は続いた。

その時点での彼は、3人のうちどの女性が良いかなど、まだ考えられなかった。当然、3人とも、彼のお嫁さん候補ではあったものの、誰か一人に絞る時期ではないと思っていたからである。

それから二週間後、彼と再ミーティングをしたところ、「看護師の女性が結婚相手として一番イメージできる」と。彼の表情と話し方から、結婚に対する強い決意が伝わってきた

■予想を裏切り、わずか3カ月で成婚した

その後、真面目な司法書士の男性は、看護師と結婚前提の交際となり、すぐにお互いの両親に紹介。あっという間に、両家の顔合わせを済ませ、プロポーズした。

彼のプロポーズは、銀座のおしゃれなフレンチレストラン。デザートプレートには、『Will you marry me』のメッセージとともに、抱えきれないほどの赤いバラの花束を用意。

大屋優子、現代洋子『余計なお世話いたします 半年以内に結婚できる20のルール』(集英社)

結婚に備えて、普段から倹約し、着々と預貯金を蓄えてきた彼は、婚活にはお金を惜しむことなく気持ちよく使う。デートも、相手のご家族への手土産の気遣いも、エンゲージリングにも、そして、もちろんこれからの結婚式や披露宴にも。

彼は、あの初回面談で出会ったときとは、別人のように清潔感あふれる青年に変身し、素晴らしい女性とのご縁を手に入れた。あのとき、彼の婚活は険しい道になるであろうという予測を、見事に裏切って、彼は、入会後、わずか3カ月で成婚退会することになった。

現在は、二人で共働きしながら、新居の購入の下見に週末ごとに出かけている。

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大屋 優子(おおや・ゆうこ)
結婚カウンセラー
1964年生まれ、株式会社ロックビレッジ取締役。ウエディングに特化した広告代理店を30年以上経営のかたわら、婚活サロンを主宰。世話好き結婚カウンセラーとして奔走。
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結婚カウンセラー 大屋 優子)