先端教育機構・東英弥理事長に直撃!「私が宣伝会議を売却後にやりたいこと」
事業売却の真意と、承継への思いとは?
─ 2023年3月に、これまで経営をしてきた出版社の宣伝会議と、関連の人材紹介会社の2社を投資ファンドに売却しましたね。この狙いは?
東 まず、宣伝会議の沿革と歴史からお話したいと思います。私は縁あって1992年に宣伝会議の経営を引き受けたのですが、当時すでに39年の歴史があり、今年で70周年です。
業界での認知度と信頼を有する会社ですが、当時、事業の柱である雑誌・書籍の売上は低迷し、コピーライター養成講座等の教育講座を受講する人も減少傾向でした。大学院でマーケティングの研究をしていましたので、宣伝会議の社会における役割や経営資源を活かせていないことを遺憾に思い、なんとかしたいと考えていました。
─ どんな手を打って改善していったのですか。
東 やはり時代における顧客設定と、適切な提案です。教育と出版が事業の核ですから、社会の変化に応じてコンテンツ(内容)のアイデアを出して改訂していくことです。それは今日ではあらゆる分野に該当することだと思います。
また、雑誌の部数が伸びたのは、「業界誌から専門誌へ」と方針を掲げ、読者対象を広告会社から広告主にシフトしたことです。時代背景的にも、企業の宣伝部、マーケティング部の存在感が高まっていく時期でした。
改革が功を奏して、初年度から30年間黒字経営を続けてきました。上場も考えていましたが、私も70歳を迎え、そこに全精力を注ぐと力を使い果たしてしまう。事業構想大学院大学の全国展開も進めていましたから、教育界と社会をつなぐ事業に集中したいという気持ちが高まりました。
─ 人材教育に注力していこうと考えたと。
東 はい。そして経営基盤を支える資金が必要だと考えました。86年に創業したフジテックス(当時、富士テック)も22年にバイアウトしましたが、売却時で設立34年、黒字経営を続けてきましたので、ここも上場が目指せる経営状態でしたが、上場をさせると約束してくれた企業に譲渡しました。全ての株式は私が保有していましたので、迅速な判断ができました。
トップは従業員やその家族の将来にも責任があり、持続可能な成長を続ける必要があります。株式を家族や親族に継承するよりも、事業を持続成長させる力のある体制に委ね、上場によって社会的企業となり、多様なステークホルダーから必要とされる存在になっていくことが有益であると考え、決断しました。
本拠地周辺の土地を取得「表参道に青山」
─ 2社を売却した資金の使い途は?
東 2社を売却した金額の全額を私学事業団に寄付しました。可能であれば、この資金を生かして、まずは我々が本拠を置く地元・表参道に貢献したいと考えています。
先端教育機構の本部の土地以外に、昨年隣地を購入しましたので、所有地は約500坪あります。
加えて今、都市再生機構(UR)が本学が隣接する土地の利用者の入札を募集しています。この土地を活用する機会が得られれば、先進国の新たな都市再開発モデルとして国内外に発信できる姿にしたいと考えています。コンセプトは「表参道に青山」、「表参道に森」です。構想は12年前から温めてきたもので、周辺説明会も行ってきましたから、地元の皆様はご存知です。
