座学と両輪 基本的な技術の習得

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なぜ小学生が大人の指示がなくても、自らプレーを選択・決断できるのか。なぜ毎年強いチームであり続けるのか。

「座学」と「練習」で子どもたちの先を読む力、主体性を引き出す辻流指導法が凝縮された一冊、「多賀少年野球クラブ『脳(ノー)サイン野球』で考える力と技術が自然に伸びる!」が7/10(月)に発売されます。本書の中から、第二章【練習の組み立て方と進め方】の一部を紹介します。

脳サイン野球を体現する上で、座学と両輪になるのが基本的な技術の習得です。どんなに戦略や戦術を理解していても、体で表現できなければ意味がありません。そこで大切になるのが、園児や小学校低学年のような未経験者や初心者の指導です。

多賀少年野球クラブでは2年ほど前から幼児野球に力を入れています。これまでは小学1年生から部員を募集していましたが、今は年少の園児からチームに加わっています。今年度のスタート時点で小学1年生の部員が例年より多い18人もいたのは、園児からチームに入っていた子どもが多かったためです。

野球は投げる、打つ、走ると様々な動きがあることに加えて、グラブやバットといった道具を操作する能力が求められるところが競技の特徴です。園児や小学校低学年には、捕ることと投げることを平行して教えています。ただし、それぞれを分けて練習します。いきなりキャッチボールはさせません。一番大事なのは恐怖心を抱かせないことです。野球を始める時にキャッチボールをするチームは少なくないかもしれませんが、未経験者にとってグラブでボールを捕るのはとても難しい動きです。ボールが顔や体に当たれば、「野球は怖い」、「野球はつまらない」と感じて、二度とグラブをつけてもらえなくなる可能性があります。怖さがあると、技術の習得にも時間がかかってしまいます。

捕る練習をする時には、ゴロの捕球から入ります。スタートはコロコロと転がしたボールを捕る練習から。子どもたちの体の正面に手でボールを転がします。次にバウンドに合わせて捕る練習。ボールが体に当たっても痛くない強さで投げたり、柔らかいボールを使ったりします。慣れてきたら、体の横にボールを転がしたりバウンドさせたりして、グラブの操作や動きながらの捕球を覚えていきます。フォアハンド(グラブを持っている方向)だけではなく、バックハンド(グラブを持っていない方向)でもゴロを捕れるようにします。

私が選手だった頃は、ゴロは体の正面で捕ることを最優先して、バックハンドに特化した練習はしていませんでした。ただ、グラブの面が上を向いているフォアハンドは上から落ちてくる打球や緩い打球は捕りやすいのですが、強い打球の捕球には不向きです。それに対して、バックハンドは強い打球、速い打球を捕球しやすい特徴があります。学年を重ねながら最もアウトを取る確率が高い捕球方法を選択できるように、初心者のうちからフォアハンドもバックハンドも練習しておきます。

ゴロが捕れるようになったら、フライとライナーに進みます。ここで気を付けるのは、最初から顔の前や体の正面でボールを捕らせないことです。子どもたちには体の横でグラブを構えさせ、指導者がグラブのあるところへ下からボールを投げます。子どもたちがグラブの位置を動かさなくても捕球できるように、大人がコントロールします。よく初心者の指導で「捕球は体の正面」、「ボールから逃げないように」という声を聞きます。顔や体の近くで捕りにいった方がボールとの距離感をつかみやすいので、捕球できる確率は高いです。ただ、私は野球を始めたばかりの子どもたちに逃げながら捕るように伝えます。子どもたちはボールへの恐怖心がなくなり、「逃げてもいいんだ」と心にゆとりも生まれます。怖さがなければ、自然と少しずつ体の近くでボールを捕るようになります。

*続きは本書からお読みください。

【目次】

第1章 「脳サイン野球」を行うために必要な座学

第2章 練習の組み立て方と進め方

第3章 指導者や保護者からよく聞かれる10の質問

第4章 他チームの指導者から見た多賀少年野球クラブ

第5章 「脳サイン」野球から「令和の根性野球」へ

【詳しく見る】

辻正人(多賀少年野球クラブ監督)著

カンゼンから2023年7月10日発売

1800円+税