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J2は現在28節が終了と、中盤から終盤に差しかかかるところ。過密日程のハードな連戦のなかで各チームの戦いぶりはどうか。今回も日本屈指のJ2ウォッチャーである平畠啓史さんに、これまでのなかの注目チームを紹介してもらった。

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柔軟性の大切さを感じた横浜FCの戦い

 今季もJ2面白いですね! 連戦もあってスケジュールがタイトなので、シーズンが進むのが速いですよね。

 今年の最終節は、どえらいことになるんじゃないかと思っています。3〜5会場ぐらいは絡んでくるんじゃないでしょうか。みんな最後の順位計算を間違えそう(笑)。


アルビレックス新潟と激しい首位争いをしている横浜FC

 今まで全然6位以内に入っていなかったのに、最終節でいきなり6位に入ったみたいなチームが出てくる可能性もあるんじゃないかと。今の感じでは、6位と7位が大きく離れることにはならないと思います。

 上位3チームについて。まずは横浜FCがすごい。シーズン最初は"こってり"ボールを持っていたと思うんですよ。手塚康平選手がポジションを降りながら、理詰めでボールを動かしていくのがハマってましたよね。

 相手がボールを取りきれない。取りに行ったら裏を取られる。いわゆるミシャさん(北海道コンサドーレ札幌/ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)のサッカーに近いような。

 ところが、このスタイルで行くんだと思ってたら、勝てない時期があった時にボールを持たなくなるんですよね。今はハイネル選手と和田拓也選手ですよね。

 これは大事だなと思いました。自分たちのスタイルにこだわりすぎると、勝てなくなる。そこで、勝つために前までやっていたことを変えられる、四方田修平監督の強さと、それに応じられる選手層の厚さを感じます。

 よく意地とプライドって言うんですが、男の仕事って結構そのふたつが邪魔になることありませんか(笑)? 監督さんの仕事でもそうだと思うんですよ。今までやってきたことを、意地とプライドで変えないとかじゃない、変えてもまた元に戻せるとか、そういう柔軟性は必要なんじゃないかと。

理想に現実を加えたアルビレックス新潟

 アルビレックス新潟は、ミシャさんのあとに率いた森保一さんのサンフレッチェ広島のイメージと重なります。海外の監督さんが今まで日本にないキャラクターの強い戦術をチームに植えつけたあと、そのやり方を近くで見ていた日本人のコーチが理想に現実を加えていくことによってチームが強くなるという。

 アルベル・プッチ・オルトネダ監督(前新潟、現FC東京監督)のポジショナルプレーって、ある種正解というか、選手たちも「ここに立ったらボールが来るのか」というのはあったと思います。見ているほうも面白いサッカーですよね。

 でも僕自身はポジショナルプレーや立ち位置的な話には、ちょっとだけ懐疑的なところがあるんです。ポジションを取ることで満足してしまう部分もあるんじゃないかなと。というのも、そのポジションを取らないと試合で使ってもらえないわけですが、それが重要ではない局面でも自分の判断を出せなくなってしまうと。

 おそらくアルベル監督は自分で判断するプレーも求めていたと思うんですが、僕自身日本人なので「ここに立っておけ」と言われたら、やっぱり「はい」と言って立ってしまう。なんなら試合に勝つことよりも、そこに立っているところを見てもらいたいって気持ちが出てしまうかも(笑)。

 そこを松橋力蔵監督は、もう少し選手自身の感覚や考えをつけ加えているような感じがするんです。

 中継でも立ち位置って話がよく出てきますよね。立ち位置って演劇の話でもよく言うんですが、でも「今日のあの役者さん立ち位置よかったよね」って言わない。それは芝居がいいんですよね。「芝居がいい」のなかに立ち位置も含まれている。

 サッカーも「今日あの選手立ち位置よかったよね」って話、僕はしたことないですよ。プレーがよかったよねって話しますよね。プレーがよかったのなかに立ち位置は含まれています。「あの選手の立ち位置悪かったな〜」って気づかれたら、それはよっぽど悪いってことだと思うんです。

 昨年の新潟は「僕、今立ち位置いいでしょ!」ってアピールしている感じがちょっとあったような気がしていて、今の新潟は「プレーがよくなったら、立ち位置もいい」ってことになってるように見えます。松橋監督によってそういう状態になってきたんじゃないかと。

ベガルタ仙台の主導権を握るサッカーに好感

 ベガルタ仙台は、選手の個々の質がやっぱり高い。

 仙台ってこれまでは耐えて耐えて戦うイメージのあるチームでした。新潟含め、寒い地域はそういうところが多いじゃないですか。僕ら外野は見ている人たちも、そうしたサッカーが好きなんだろうと勝手に思ってたりする。

 でも、Jリーグが始まってまだ30年で、クラブカラーとかスタイルってそんな簡単にできあがらないと思うんですよ。結局はその時の監督さんが志向するサッカー。

 新潟や仙台のサッカーを、周りが勝手に思いすぎている。仙台も新潟もつないでもいい。なんなら守備をちょっとおろそかにして、攻撃に力を入れたっていいわけですよ。

 今年の仙台は、自分たちでボールを持って主導権を握ろうというサッカーが出てきていて、見ていてすごくいいなと思います。今年の仙台とやったら、10試合戦って6〜7試合は仙台が勝つだろうなと思わせる内容のサッカーをしてますよね。

 選手層も含めて、J2のなかでは質が高いなと思います。失点が多いのが若干気になるところではありますが。

 この上位3つに、食い込んでくるのではないかと期待しているのが、V・ファーレン長崎です。長崎は持っているチームの力の100%が出ていない。まだすべてを出しきれていないのに、4位にいるんですよね。

 新しい監督(ファビオ・カリーレ)に変わって期待しています。このチームのポテンシャルが出たら、もっと上に行くんじゃないかと。新しい監督はブラジル人で長崎にはブラジル人選手が多いので、うまく彼らの力を引き出しそうです。今季ここまではブラジル人選手がハツラツとプレーしている感じがなかったので、いいきっかけになるんじゃないでしょうか。

 徳島ヴォルティスと大分トリニータは、ルヴァンカップによる過密スケジュールの負担が相当に大きかったように思います。これはJリーグとして見直すべき事案じゃないかと野々村芳和チェアマンに聞いてみたいですね。

 あとはシーズン前に「J1からカテゴリーを下げてきたチームはボールを持てるようになるけど、それが本当にプラスに出るのかどうなのか」と、僕自身スポルティーバの取材で話していましたが、この両チームはやはりちょっとそれが難しいほうに出ているのかなと。

 大分はボールを持てているんですが、縦に行ける井上健太選手や藤本一輝選手が試合に出だしてから好転してますよね。横に横にの力だけじゃなく、個の力で縦にいけるようになったから、ポゼッションも活きてくるいい循環が起きて、順位があがってきている印象です。

 徳島はボールを持てるけど、その先どうすればいいかというところがあるように思います。だいぶ持ち方も研究されてしまっていて、相手もあまりスライドしないでも守れてしまっている試合もありますよね。

下位のチームに大事な現状認識

 22位のFC琉球はもっと上で戦っていると予想していました。やはり琉球のようなチームでも、ひとつ歯車がうまく合わないとこうなってしまうことはあるのだなと。惜しいゲームがいっぱいあります。内容的には勝っていたよなとか、勝ってもおかしくない試合が引き分けになってしまったり、引き分けのゲームが負けになってしまったり。

 下位のチームには、内容はいいけど、勝ちきれない試合の数が多いチームがいくつかあります。そこで「結果が出てないけど内容はいいからええやん」と陥りがち。内容も結果も悪いというチームもありますが、やっぱり結果と内容は切り離して考えないといけないのかなと思います。

 21位の大宮アルディージャは、クラブの力として予算はあるほうです。でも現状認識は大事で、昨年、一昨年は何位だったのか。その現状認識から初めていかないといけないのかなと。

 予算や選手層を見たら外野は勝手に結構いくだろうと思ってしまいます。新しい選手が入ってきたら、見てる僕らは勝手に期待しちゃうじゃないですか。でもチームの本質として、昨年勝ち点がどれだけとれたかというところから始めていかないと。シーズンが始まると、見ているほうも「やっぱり昨年16位だったし」って気づくんですよ。昨年うまくいかなかった原因が解消されていなかったら、今年から急によくなる可能性ってやっぱり低いじゃないですか。

 現実を突きつけられるのはどの人にとってもつらいことですよ。でも現状をしっかり認識すれば、応援する人たちとも、応援するスタンスとか目線を共有できると思うんです。もちろんエンターテイメントなんで夢のある話はいっぱい出したほうがいいと思うんですが、そればかりで足元を見失うと意味がなくなってしまう。これは大宮に限った話ではないですよ。

 僕らサッカーを伝えさせてもらっている人間が、勝ち点3と言いすぎてるのかもしれない。自動昇格するチームは2チームしかないわけで、そこで勝ち点3だけでサッカーを語るとつまらないものになってしまうんじゃないかと。「この規模のチームが、あの規模のチームに勝った勝ち点3」。そういうのをしっかり伝えていかないと、「勝ち点3しか価値がない」「勝ち点ゼロは意味がない」みたいなことになりがちです。

 もっと大きなビジョンに対して発信していくことで、見る側も共感していける形にしないといけないですね。現実的に今年は昇格は無理だというクラブはあるわけじゃないですか。その状況でどんな楽しさを伝えていくかは、クラブの発信がもっともっと必要でしょうね。