この記事をまとめると

SUVの3列目シートは使えるのかどうか検証

■日本市場だけで3列目を持つSUVは7種類以上存在する

■国産車ではCX-8が一歩リードしていると言えそうだ

無いよりマシだけど座れるの? SUVの3列目シートを比較してみた

 新型アウトランダーのトピックのひとつが、PHEVのみになったことと、先代モデルにはなかったPHEV+3列シートのパッケージングである。アウトランダーは先代のほとんどがPHEVで売れていたにもかかわらず、3列シートはガソリン車にしかなかったのである(バッテリーの配置の問題などによる)。

 しかし、ミニバンの専売特許⁉︎ である3列目席が、パッケージ的にはワゴンに近いSUVで、ぶっちゃけ使えるのだろうか。現在、新車で手に入る3列シートを持つSUVとしては、マツダCX-8、トヨタ・ランドクルーザー、ランドクルーザープラド、三菱アウトランダー、レクサスRX、日産エクストレイル、ホンダCR-Vなどがある。

 しかし、ズバリ言って、ランドクルーザーやCX-8ぐらいの車格のSUV、というか、全長、ホイールベースを持たないと、3列目のシートはあくまで緊急席、子どもやペット専用席と考えたほうがいい。

 具体的な例で説明すると、国産SUVでもっとも使えると表現できるCX-8は、マツダがミニバンを廃止したことで、それに代わる1台としてCX-8を用意している側面もあり、3列目席に大人がしっかり座れるパッケージングは不可欠。そんなCX-8は、3列目席の乗降性にも優れている。巨大なリヤドアが直角近くまで大きく開き(車体横のスペースは必要)、ウォークイン幅は最小190mm(足もと部分)。

 当然、上半身が通過する幅はもっと広く、降車も無理がない。身長172cmの筆者を基準にすると、3列目席に着座すれば、頭上に80mm、膝まわりに50〜120mm(2列目席膝まわり空間180mm時)、そしてフロアからシート前端までの高さ=ヒール段差も、一般的なクルマの後席に匹敵する340mmもあるため、体育座りにならず、着座、立ち上がり性も文句なしなのである。

 シートサイズにしても、クッション長450mm、幅1110mm、シートバック高620mmと、下手なコンパクトカーの後席よりゆったりしたサイズなのだから実用的である。合わせて視界に閉鎖感がなく、これなら短距離、中距離であれば、大人でも不満なくドライブが楽しめることになる。これも、全長4900mm、ホイールベース2930mm、室内長2690mmの余裕あるボディサイズが効いているわけだ。

 しかも、CX-8は3列目席使用時でも、ラゲッジルームの奥行きは500mmもあり、フロア幅が1460mmもあるため、アウトドアや宿泊を伴う荷物もしっかり入る余裕があり、極めて実用的な3列シートSUVであると断言することができる。

 もちろん、巨大な新型ランドクルーザーの3列目席も、たとえば身長160cm程度の人であれば、頭上、膝まわりにそれぞれ85mm程度の空間が確保されるから、さすがに狭さは感じにくい。

 とはいえ、ヒール段差は小さく、膝を大きく立てる体育座り的着座姿勢にはなってしまう。実際、ほとんどのユーザーは、3列目席を格納して使っているはず。というのも、3列目席を使ってしまうと、ラゲッジルームの奥行きは250mm程度でしかなく、世界最高峰の走破性を生かしたアウトドアや冒険旅行に必要な荷物を積み切れないからである。

SUVの3列目は補助的な役割のほうが大きい

 ミッドサイズSUVで全長4710mm、ホイールベース2705mmの新型アウトランダーになると、3列目席はやはり緊急席、子ども席となる。筆者が3列目席に乗り込もうとすれば、、ウォークイン幅は最小130mmと、アクロバティックな姿勢になりがちで、着座すれば頭上に20mm、膝まわりに0〜110mm(2列目席最前端位置/それでも筆者なら座れる)のスペースしかない。

 しかも、3列目席部分のフロアは後ろ上がりで、ヒール段差も270mmでしかないため、窮屈感ある体育座り的な姿勢を強要され、大人が快適に座れる座席とは言い難い。乗れたとしても短距離限定といった感じなのである。ちなみに3列目席のシートサイズはクッション長360mm、幅1040mm、シートバック高440mmとコンパクト。そのおかげで、すっきりと格納でき、ラゲッジスペースとフラットにつながるのだが……。

 加えて、新型アウトランダーの3列目席を使ったとすれば、ラゲッジルームの奥行は220mmでしかなく、7人乗車でアウトドアや宿泊を伴うドライブ旅行に出かけることは、大きな荷物の置き場がないから困難(3列目席にスライド機構がなく前出しできない)ということでもある。

 では、これまた国産ミッドサイズSUVのホンダCR-Vはどうか。3列目席のシートサイズはクッション長430mm、幅1020mm、シートバック高560mm。乗降性に関しては、2列目席ダブルフォールディングで190mm(足もと部分)、2列目席ダイブダウン格納の手間を惜しまなければ最大380mmのウォークイン間口ができるから、乗降にアウトランダーほどの苦労はない。

 着座しても、筆者であれば頭上に100mm(サンルーフ装着車)、膝まわりに90mm(スライド機能付きの2列目席の膝まわり空間120mm時)と、居住空間的にはなかなかなのだが、やはりヒール段差が小さく、膝を立てて座る着座姿勢になってしまう。それではお尻だけで体重を支えることになり、長時間の着座は厳しい……。ちなみにCR-Vの3列目席使用時のラゲッジルームの奥行きは290mmだ。

 というわけで、国産SUVで3列シートをしっかり使いたいということになれば、現状、大人の乗降性、居住性にも優れ、3列目席と実用的なラゲッジスペースまで備えたCX-8の一択ということになりそうだ(ランドクルーザーは納期がかかるし……)。

 繰り返しになるが、ミニバンのない自動車メーカーとなったマツダの3列シート需要の回答が、ズバリCX-8なのである。ゆえに、しっかり座れて使える3列目席は、パッケージング上、必須要件だったということになる。