映画館は最上級のワンダーランド! 最新シアターの特徴とスゴさをサクッと理解する

今の映画館は、
「大きなスクリーンで観る」
それだけではない。
映像と音響、そしてシート、これらを進化させ、極上の映像体験ができる。
「プレミアムシアター」
こう呼ばれるスポットに進化しているのだ。
そこで今回は、最高の映像体験を追求した様々な上映システムを紹介する。
■IMAX(アイマックス)
IMAXは、カナダに本社を置くIMAX Corporation(アイマックス・コーポレーション)が手がける上映システム。専用のシアターでの上映となる。
最大の特徴は超巨大なスクリーンと急こう配のスタジアム席だ。
スクリーンは横幅が広いだけでなく上下にも広い。
アスペクト比は約1.43:1、または約1.9:1と正方形に近い。
シアター内の下部ギリギリまでスクリーンで埋め尽くされており、美しい映像での没入感がとても高い。
作品によっては、実映像のアスペクト比がスクリーンのアスペクト比と異なり、上下が黒映像になってしまうこともあるのだが、それでも圧倒的な迫力と映像美を体験できる。

IMAXレーザー(109シネマズグランベリーパーク)
実はIMAXだけでも複数の種類がある。国内では、
・IMAXデジタル
・IMAXレーザー
・IMAXレーザー/GTテクノロジー(旧名称:IMAX次世代レーザー)
この3つが存在している。
IMAXデジタルでは、
・2台のデジタルプロジェクターによる明るく鮮明な2K画質の映像
・5ch(5つのスピーカー)による臨場感のあるサラウンド
これらを実現している。
IMAXレーザーでは、
・4Kレーザープロジェクター
・12ch(12個のスピーカー)による圧倒的な映像美と超リアルサウンド
これらを体験することができる。
IMAXデジタルおよびIMAXレーザーでは、
・アスペクト比1.9:1のIMAXデジタルサイズ
となっている。

IMAXレーザー/GTテクノロジー(グランドシネマサンシャイン池袋)

IMAXレーザー/GTテクノロジーのスクリーン(グランドシネマサンシャイン池袋)
IMAXレーザー/GTテクノロジーは、IMAX最大級のスクリーンサイズにあわせた上映システム。
国内では、
・グランドシネマサンシャイン池袋(東京・豊島区)
・109シネマズ大阪エキスポシティ(大阪・吹田市)
この2館で導入されており、縦約18m×横約26mのスクリーンで上映される。
アスペクト比1.43:1のIMAXフルサイズでの4K画質映像を楽しむことができる。
また座席数は、
・グランドシネマサンシャイン池袋…542席(うち2席が車椅子用)
・109シネマズ大阪エキスポシティ…407席(うち3席が車椅子用)
このようになっており、一般的なシアターが100から200程度の席数であるのに対して、
圧倒的な席数を誇っている。
料金については、通常の鑑賞料金に加えて以下の追加料金が必要となる。
・IMAXデジタル…+500円
・IMAXデジタル 3D上映…+900円
・IMAXレーザー…+600円
・IMAXレーザー 3D上映…+1,000円
・IMAXレーザー/GTテクノロジー…+700円(池袋)、+600円(大阪エキスポシティ)
・IMAXレーザー/GTテクノロジー 3D上映…+1,100円(池袋)、+1,000円(大阪エキスポシティ)
■Dolby Cinema(ドルビーシネマ)
Dolby Cinemaは、アメリカのドルビーラボラトリーズが手がける上映システム。
こちらもIMAX同様、専用シアターで上映される。
Dolby Cinemaは、
・Dolby Vision(ドルビービジョン)による映像
・Dolby Atmos(ドルビーアトモス)による音響
・シアターデザイン
これら3つが重要なポイントだ。

Dolby Cinema専用シアターの入り口(T・ジョイ横浜)
Dolby Visionは、
・2台の4Kプロジェクターで映し出されるHDR(ハイダイナミックレンジ)映像
広色域かつ高コントラストな映像により、ハイレベルな没入感を実現している。
具体的には、白色や黒色の表現、明るさや暗さの表現をより繊細に表現できる。
スクリーンを通して実際にその世界にいるかのような映像を体験できる。

Dolby Cinema専用シアター内(丸の内ピカデリー ドルビーシネマ)
Dolby Atmos(ドルビーアトモス)による音響は、
前述のIMAXで紹介した5chや12ch(スピーカーの数)とは異なる。
最大64chのスピーカーを用い、オブジェクトベースの音響を最大128chのオーディオトラックで実現できる。
つまり、正確な位置を再現した立体音響空間を作り上げることができるのだ。
これは音の3次元的な位置やスピーカーの位置を元にミキシングし、スピーカーから出力することで実現している。

Dolby Cinema専用シアター内のスクリーン側から見た客席(T・ジョイ横浜)
シアターデザインは、黒を基調にスクリーン以外の要素を極力排除することで、映像と音響に没入できる環境を作り出している。
T・ジョイ横浜、丸の内ピカデリーと2館を訪れたが、シアター内はほぼ共通したデザインで統一されていた。
Dolby Cinemaは、2022年1月現在、
・MOVIXさいたま(埼玉・さいたま市大宮区)
・丸の内ピカデリー ドルビーシネマ(東京・千代田区)
・T・ジョイ横浜(神奈川・横浜市西区)
・ミッドランドスクエア シネマ(愛知・名古屋市中村区)
・MOVIX京都(京都・京都市中京区)
・梅田ブルク7(大阪・大阪市北区)
・T・ジョイ博多(福岡・福岡市博多区)
これら7館で鑑賞できる。
上記のDolby Cinema導入シアター以外にもグランドシネマサンシャイン池袋(東京・豊島区)の「BESTIA(ベスティア)」をはじめ、イオンシネマ系やTOHOシネマズ系の一部でDolby Atmosを導入しているシアターもある。
さらに、新宿バルト9(東京・新宿区)などでは、席数100を下回る決して大きくない通常シアターでもDolby音響を採用し、迫力ある音響を楽しめるシアターも存在する。
Dolby Cinemaの料金は、通常の鑑賞料金に加えて以下の追加料金が必要となる。
・丸の内ピカデリー ドルビーシネマでは600円
・そのほかのシアターでは500円
なお、Dolby Atmosを導入するほとんどのシアターでは、通常の鑑賞料金に200円の追加料金が必要だ。
■THX(ティ・エイチ・エックス)
ジョージ・ルーカス氏が設立した「ルーカスフィルム」の1部門としてスタートしたTHX社で認定されたシアター。
THX基準では、
音響や映写、外部からの雑音などにおいて厳しい評価基準が設けられている。
認定後でも、年に1回のチェックにより、THX基準をクリアできているかを確認されるという。

THXシアター前に掲げられているフラッグ(イオンシネマ海老名)
THXは、先に紹介したIMAXやDolby Cinemaと異なり、
上映システムではなく、あくまでもシアター環境の評価認定となっている。
そのため、THXの独自技術を導入したハイクオリティな映像体験というわけではない。
とはいえ実際にTHXのシアターで鑑賞すると、映像の見やすさや音響のレベルの高さに驚かされることは間違いない。
さらに、
・追加料金が不要
・復活上映の作品にも対応
このように、通常シアター扱いでリッチな環境で鑑賞できる。
ある意味、コストパフォーマンスの高いシアターと言える。
THXのシアターは、
・イオンシネマ小樽(北海道・小樽市)
・イオンシネマ大宮(埼玉・さいたま市北区)
・イオンシネマ海老名(神奈川・海老名市)
・イオンシネマ近江八幡(滋賀・近江八幡市)
・イオンシネマ茨木(大阪・茨木市)
・イオンシネマ戸畑(福岡・北九州市戸畑区)
・イオンシネマ福岡(福岡・糟屋郡)
これら全国7館が認定されている。
席数は、イオンシネマ海老名が唯一500席を超えており、それ以外は400席弱〜500席弱の規模となっている。
映画を鑑賞する上で映像とともに重要なのが、音響システムだ。
迫力あるサウンドにより、高い臨場感と満足感を得ることができるからだ。
そこで現在、人気の3つの独自音響システムを紹介する。
■独自の音響システム(轟音、極爆/極音、LIVE ZOUND)

スクリーン下に設置されたサブウーハー

「轟音 GO/ON THEATER」のロゴ入り
轟音シアターは、
・TOHOシネマズ池袋(東京・豊島区)
・TOHOシネマズ立川立飛(東京・立川市)
・TOHOシネマズ セブンパーク天美(大阪・松原市)
これら3館に導入されており、スクリーン下にサブウーハーを設置して低音を強化している。
前述のIMAXやDolby Cinema、THXの各シアターと比較して、まったく異なる低音が再生されるため、同じ作品を鑑賞しても低音が際立っていることがわかる。

シネマシティの極爆/極音上映
シネマシティ(東京・立川市)では、
・極上爆音上映(ごくじょうばくおんじょうえい、略称:極爆)
・極上音響上映(ごくじょうおんきょうじょうえい、略称:極音)
これら2種類の音響強化上映を実施している。
極爆はその名の通り「爆音」での上映だ。
ただ音が大きいということではなく、低音が強化されており、足元の地面やシートが音でぶるぶると揺れるほどの重低音を体験できる。
一方の極音は、
極上の音響環境で楽しむことができる。
通常上映よりもワンランク上のサラウンドが体験できる。
またシネマシティには、シネマ・ワンとシネマ・ツーがある。
シネマ・ツーは、
・各スクリーンがコンクリートが打ちっ放しの無機質な空間
・シートに設置された柔らかな灯りで教会のような空間
これらの演出が施されており、1度訪れると記憶に残るシアターとなっている。

チネチッタのLIVE ZOUND
チネチッタ(神奈川・川崎市川崎区)の「LIVE ZOUND(ライヴ ザウンド)」は、
超シネマサウンドシステムを名乗るライヴプロデュース集団クラブチッタが手がける最新のハイエンド音響装置を用い、最適な音に調整されている。
低音が強化されているだけでなく、広音域の表現も優れている。
轟音、極爆/極音、LIVE ZOUNDは、
いずれも映画館独自の鑑賞スタイルとなっている。
・THX同様に通常料金で鑑賞が可能
・映画館側の独自イベントなどによって復活上映される作品もある
通常シアター扱いでありながらリッチな音響環境で鑑賞できるため、こまめに上映プログラムをチェックしておきたいシアターだ。
■MX4D(エムエックスフォーディ)と4DX(フォーディエックス)
MX4Dと4DXは、アトラクション型の上映システム。
これまでの映像や音響を追求した上映システムとは、少々異なる。

MX4Dのサイン(TOHOシネマズ 西新井)
MX4Dは、アメリカのMediaMationが開発した4D上映システム。
特徴である上下左右に動作するシートには、
・バックポーカー(背後)
・ネックティクラー(首元)
・セント(香り)
・ウインド(風)
・ウォーターブラスト(水しぶき)
・レッグティクラー(足元)
・エアーブラスト(噴射)
・シートホッパー(突き上げ)
・ランブラー(地響き)
これら9種類の効果が搭載されている。
さらに、
・フォグ(霧)
・ストロボ(閃光:5色対応)
これら2種類の劇場効果を加えた合計11種類の特殊効果が最大の特徴だ。
こうした体験型のシートと特殊効果によって、アミューズメント施設のアトラクションのような鑑賞ができる。
TOHOシネマズを中心に導入シアターが全国に存在する。
料金は通常鑑賞料金とは別に、シアターによって1,000円から1,200円の追加料金が必要となる。

109シネマズの4DXのサイン(109シネマズグランベリーパーク)
4DXは韓国に本社を置くCJ 4DPLEXが開発した4D上映システム。
シートは、前後左右上下に駆動、背もたれのバイブレーションなどの効果に加え、
・FACE AIR(顔をかすめる風)
・WATER(ミスト)
・SCENT(香り)
・BUBBLE(泡)
・FOG(煙)
・WIND(吹きつける風)
・STROBE(フラッシュ)
・SNOW(雪)
・RAINSTORM(嵐)
・WARM AIR(熱風)
これらの劇場効果によって体験型アトラクション上映を提供する。
ちなみに、導入シアターによって効果の種類は異なる。
MX4Dおよび4DXでは、身長100cm未満の方は利用できない。
また、手荷物は入場前のロッカーに預けることになる。
4DXは、ユナイテッド・シネマ、109シネマズ、イオンシネマ、コロナシネマワールド、シネマサンシャインをはじめとした全国の映画館で導入されている。
グランドシネマサンシャイン池袋が1,100円、そのほかは1,000円の追加料金が必要。
■特別シート
MX4Dや4DXでは特殊な効果を発生させるシートが採用されているが、実は現在の映画館では、特別シートを用意しているシアターも少なくない。
・見やすい位置に大きめのソファーといった、いわゆるVIP席
・リクライニング可能なシート
・カップル向けのシート
これらシアター独自の特別席があるのだ。

IMAXレーザー/GTテクノロジーの客席(グランドシネマサンシャイン池袋)

最前列は見上げて鑑賞できるようフラットシートになっている(グランドシネマサンシャイン池袋)

プレミアムクラスのシートは足元も広い(グランドシネマサンシャイン池袋)
ハイクラスな上映システムに加えて、特別シートを利用することで、より高い満足度を得ることができる。
特別シートは追加料金が必要なものから、通常シートと同額のものまである。
■見逃し厳禁 上映システム専用のイントロ映像がスゴい
IMAXやDolby Cinemaをはじめ、これまで紹介してきた各上映システムでは、
映画本編が始まる直前に、上映システムの凄さや特徴をアピールするイントロ映像が上映される。
実はこのイントロ映像は、上映システム専用に制作されているため、圧倒的な映像美や音の迫力が体験できる。
そんなイントロ映像を最後に紹介したい。スクリーンで実際に鑑賞したことがある人はもちろん、そうでない人もぜひご覧いただきたい。
IMAX® Countdown (Cameras)
Dolby Presents: "Universe" | Trailer | Dolby
THX Deep Note Trailer: Amazing Life
THX Deep Note Trailer 2019 (4K) – Genesis
LIVE ZOUND(ライヴ ザウンド)
MX4d Intro
執筆:S-MAX編集部 2106bpm