新しい串料理店に食通たちが騒然! 「傳」と「フロリレージュ」による「デンクシフロリ」とは
世界中から注目される「傳」と「フロリレージュ」のふたりの人気料理人によるレストランが誕生! 全く新しいかたちの串料理店「デンクシフロリ」に、フードパブリシストの高橋綾子さんが迫ります。
世界に名を馳せるふたりの料理人がつくる、新しい「串」料理

日本だけにとどまらず、ともに「アジアのベストレストラン50」でもトップ10入りし、世界中から注目されている「傳」の料理長・長谷川在佑さんと「フロリレージュ」のシェフ・川手寛康さんのふたりが、共同経営というかたちで「串」をテーマにした店を開いた。
奇跡とも言える夢の共演に、飲食業界もグルメたちも騒然! ふたりがつくりあげる新しいかたちの串料理とはいったいどんなものなのか?
グルメたちがどよめいた「デンクシフロリ」の誕生

“日常の上質”を叶える7つのスペシャルな店を展開する表参道のニューフェイス、「GEMS AOYAMA CROSS」。その中でもひときわ話題をさらっているのが「デンクシフロリ」だ。
なぜなら世界中から予約が殺到する日本料理「傳」の長谷川在佑さんと、フランス料理「フロリレージュ」の川手寛康さんのふたりが共同でつくった店だからである。

シェフ同士のコラボイベントはよくあるが、一緒に店を出すことはそうそうない。しかも超がつくほどの予約困難店で、人気絶頂のふたりともなれば、これはもう奇跡としか言いようがないだろう。いったいどんな料理が提供されるのか、期待に胸を膨ませながら暖簾をくぐる。
和と洋が融合したシックでモダンな雰囲気の店内には18席の大きなカウンターのみ。さすがふたりの店だけあって、席につきオープンキッチンを眺めているだけで不思議と高揚する。
かつてない串料理に、食欲と好奇心が刺激される!
各席に置かれた献立には、食材の名前だけが書かれているので、供されるまで想像するしかない。では、早速その未知なる串料理を紹介していこう。
シグネチャーメニュー「ブーダンノワール りんご」

まずは、シグネチャーの「ブーダンノワール りんご」。初来店の場合、1品目はこれと決まっている。
どうやって完成されたのかを問うと、中がトロッとしたブーダンノワールの串揚げをフロリレージュの川手さんが提案したそう。すると「ブーダンノワールにはりんごが合うよね」と、傳の長谷川さんが薄切りにしたりんごをガリに見立て甘酢漬けに。味のアクセントに添えた和がらしは試食した結果、ふたりで決めた。
こうしてこの「ブーダンノワール りんご」は、それぞれ得意分野での技術とセンスを生かし融合させた、芸術的な傑作となったのである。
食べ合わせの妙に感動する「いわし レバームー」

2品目は「いわし レバームー」だ。レバームースではなく“レバームー”と記載しているのは川手さんたっての希望とのこと。
まずはそれぞれ単品で味わってみる。つくねはネギ、味噌、生姜を使った、まるで「なめろう」のよう。また、一瞬にして口の中で溶けるフワッフワのレバームースには塩昆布のパウダーをふりかけ、和のうまみを加えながらしっかりとレバーの香りが残るように仕上げている。
次につくねにレバームースをたっぷりのせてみる。なんということだろう、つくねは完全に和食で、レバームースは完全にフランス料理だが、ここまで“おいしい関係”が生まれるとは! 食べ合わせの妙とはこういうことなのだろう。
伝統的な料理を、独自のセンスで再構築「がんも キャロットラペ」

3品目の「がんも キャロットラペ」は、まるでがんもを分解して再構築したような料理。細かくした豆腐を丸く成形し、パプリカ・七味・胡麻・鰹節をミックスしたパウダーをたっぷりとふりかけて、白菜の塩漬けから出たエキスで作るマヨネーズソースを4箇所にのせている。
食べると確かに記憶にある味わい。最後に「あ、がんもだ」と感じるのは底に塗った醤油のせいか。口直しのようにキャロットラペをつまむ。やわらかい酢の加減に食欲が増してくる。革新的に見えても、根底にあるのは伝統的なレシピだ。それを独自のセンスで再構築しているのである。

熟成したテキーラ3種をブレンドし濾過した「クリスタリーノ」でつくるハイボールは、ウイスキーに比べスッキリしているので、料理の繊細な味を邪魔しない。そんな料理に合うドリンクを提案してくれるのが、女将の橋本恭子さん。「フロリレージュ」のマネージャーであった橋本さんは「こんなにワクワクするお店とは二度と出逢えない」と自ら移籍を志願した。
フロリレージュはワインが主体だったが、こちらでは前述のテキーラハイボールのほか、沖縄の柑橘「カーブチー」や「アップルジンジャー」などのオリジナルサワー、台湾茶割りなど“割りもの”にこだわる。料理同様、未知のものにぜひトライしてほしい。
プレゼンテーションがすごい! 土鍋炊きの〆ごはん

〆は「傳」でも人気の炊き込みご飯。本日は鴨の赤ワイン煮、卵、ネギ、白米と一緒に炊いたごぼう、人参の五目だ。大きな土鍋の蓋を開けると、鴨が敷き詰められており、それを各席に披露して回ればシャッター音が鳴り響く。思わず拍手してしまう客もいるほどだ。
一巡すると鴨をほぐし茶碗に盛る。その上に、焼いた味付け卵に赤ワインを絡ませたものを串に刺してのせている。

味付け卵を半分に割ると、中からとろりとした黄身が流れ出す。濃厚でねっとりとした黄身はご飯と混ぜるも良し、そのまま食べるも良し。鴨は甘みのあるソースでしっかりと味をつけ、粗挽きの黒コショウで風味をつけている。〆ごはんであるが、つまみになる具材についつい酒が進んでしまう。
“できないこと”が、デンクシフロリでは“できること”に変わる

数年前、ふたりがコラボしたときに「いつか一緒に店を作りたいよね」という思いは、串を使った今までにないふたりの料理というかたちでようやく実った。
ふたりの共同作業は「これって絶対においしいよね」からスタートする。その思いついた食材や料理をどう串に落とし込んでいくかを、お互いの経験や技術をプラスしながら必ずふたりで作り上げていく。
しかも、自身の店では“できないこと”がデンクシフロリでは“できること”になるのを、純粋に楽しんでいる様子が皿を通して伝わってくる。

そうやって作られたレシピを再現し提供するのは、北海道のホテルやイタリア料理店で腕をふるってきた森田祐二さん。長谷川さんと川手さんが作り出した味を舌で覚え、そのとき仕入れた食材で再現するという難しい役を担っている。
ここで食べられるすべての料理は「こんな料理があるのか」という驚きと喜びに満ちている。それは世界が認めたふたりだからできることで、これこそ唯一無二の料理なのだ。
ふたりが作った店と言われれば、期待が大きくなるのは当然のこと。その期待を遥かに超える新感覚の串料理は、どこまでも自由でどこまでも楽しいのである。
ランチコース6,000円/ディナーコース9,800円(ともに税・サービス料別)
<店舗情報>
◆デンクシフロリ
住所 : 東京都渋谷区神宮前5-46-7 GEMS青山CROSS B1F
TEL : 03-6427-2788
※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。
※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。
※本記事は取材日(2020年11月27日)時点の情報をもとに作成しています。
取材・文:高橋綾子
撮影:外山温子
