オンライン会見に臨んだ中日のマスコット・ドアラ【写真提供:中日ドラゴンズ】

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契約更改では現状維持でサイン「YouTubeの登録者数増やす」

 中日のマスコット「ドアラ」が21日、契約更改後にオンライン会見を開き、今季の年俸である「食パン612グラム」からの現状維持でサインしたことを明らかにした。今季はYouTuberデビューを果たし、ヒット企画を連発して球団公式チャンネルの登録者数の約12倍増に大貢献。野球の垣根を超えた“愛され”の裏には、現在のYouTube動画の主流とは一線を画した逆転の発想があるという。

 昨オフの契約更改でYouTuberデビューを宣言したドアラ。マスコット仲間のシャオロン、パオロンとともに球団公式チャンネル内に「マスコットチャンネル」を新設し、定期的に配信してきた。コロナ禍による無観客試合の際に、ナゴヤドーム内を“うろつく”シュールな動画は26万回再生を突破。ほかにもヤクルトのマスコット・つば九郎とにらめっこ対決をするなど枠にとらわれない企画を発信してきた。

ドアラさんは相当なポテンシャルを秘めているなと。球団に親しみを持ってもらうためのひとつのポイントだと考えています」

 担当する球団イベント推進部の村山順治さんはそう語る。中日ファン、マスコットファンだけでなく、一般ユーザーも取り込もうと企画を練る。ドアラも一緒になって、1か月先の更新スケジュールを検討。再生回数と動画につくコメントを随時チェックしながら、試行錯誤を繰り返してきた。

“やってみた系”よりも“自然体系”「神が降りた瞬間を待っています」

 人気YouTuberらがバズらせてきた「やってみた系」にもチャレンジしたが、反応は今ひとつ。「ドアラさんの普段見せない一面だったり、素の部分だったりの方がニーズはあるんだろうな」と分析する。思わぬ瞬間に驚きの動画が撮れることもあり、6月の本拠地開幕戦で本塁打の打球があわや直撃しそうになったハプニングもそのひとつ。村山さんは「神が降りた瞬間を待っています」と笑う。

 だからこそ、凝りすぎて作り込むことはしない。ドアラ最大の武器は、溢れ出る“人間味”によるシュールさ。「ツッコミの余白を残しつつ、あえてチープにとは考えています。シュールな世界観やのんびりな雰囲気を出したい」と狙いを語る。さながら、就寝前にベッドの中で見る愛らしい猫動画のようなイメージを膨らませる。

 昨年の段階で4500人ほどだったチャンネル登録者数は、気がつけば約5万2000人までに増加。「少しずつ認知をしていただけている証拠だと思います」と村山さんは言う。昨オフの契約更改でドアラが自らの背番号にちなんで掲げた目標登録者数「1994」万人にはまだ遠いが、本人は「YouTubeの登録者数増やす」と意欲満々だ。

 来季に向けても、すでにアイディアをあたためているようで「新型コロナの状況にもよりますが、選手との交流系動画を来季は増やしてければ」と村山さん。8年ぶりのAクラス入りで上昇気配の漂うチームで、選手にイジられまくるドアラの姿が今から目に浮かぶ。(小西亮 / Ryo Konishi)