ラグビー・スコットランド代表【写真:Getty Images】

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ワールドラグビー側は独立紛争委員会に審議をゆだねる

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会のA組最終戦で日本に21-28で敗れたスコットランド。試合前には台風19号が列島を直撃し、自然災害を前に試合開催が危ぶまれる中、スコットランド協会最高責任者のマーク・ドッドソン氏が中止の場合、大会側に対する法的措置を示唆。この発言を、W杯の統括責任者のアラン・ギルピン氏は改めて問題視し、独立紛争委員会で審議する方針を明らかにした。これを受けて16日にスコットランド協会は声明を発表。改めて台風被害には哀悼の意を示す一方で、「公正な審議を望みます」と訴えている。

 台風19号の影響でA組中止となれば、大会規定では試合はスコアレスドロー扱い。両軍には勝ち点2が付与されることになり、スコットランドは最終戦を戦わずして敗退の可能性があった。これに対して、同国協会の最高責任者マーク・ドッドソン氏は「我々は巻き添え被害を受けるつもりはない。だからこそ、我々は法的手段に出る。我々は意見が違う」と語ったという。

 開催中止となった場合、ワールドラグビー及び組織委員会に対して法的措置という強硬手段をチラつかせたことは、海外メディアでも大きな波紋を広げていた。

 だが、台風一過の横浜で試合は無事に開催され、死闘の末にスコットランドは敗れ去った。だがギルピン氏はドッドソン発言を決して看過しなかった。15日の会見で、スコットランド側の発言について、独立紛争委員会で審議されることを明言した。

「もし不正行為に対する手続きが進むなら、公正な審議を望む」

 これに対してスコットランド協会も公式な声明文を発表した。公式サイトでは、協会の広報担当者の発言として、以下のようにコメントしている。

「スコットランドラグビー協会は日本の人々、そして先週末の台風ハギビスの被害に遭われたすべての方々に対し、深い哀悼の意を表します。

 昨日ワールドラグビーから通知を受け、協会はラグビーワールドカップからの訴えであることを確認しました。もし不正行為に対する手続きが進むようであれば、協会は公正な審議を望みます」

 台風被害に関しては哀悼の意を示しつつも、「公正な審議を望む」という言葉で締めくくっている。

 スコットランド放送局の記者は勝ち点はく奪により、2023年フランス大会の自動出場権を失うのではないかという懸念も示していたが、果たしてスコットランドに下される処分はどのようなものになるのか。トップの軽率な発言は尾を引くことになりそうだ。(THE ANSWER編集部)