「昇格はできないけど、進学先を紹介してもらったんです。いくつか候補があるなかから市船を選んだ感じです」
 
――市船を選んだ理由は?
「通いやすかったのが一番の理由です。強豪校で一番近かったのが市船だったんですよ」
 
――市船に入ったのは大きな転機になったのでは?
「今振り返ると、ユースに上がっていたら、もしかしたらプロになれなかったかもしれない。高校のほうがいろんなクラブから声がかかりやすいと思うので、その点では、たしかに大きな転機になりました」
 
――高校に上がってからDFに転身しました。初めは苦労もあったのでは?
「もちろん、ありましたけど、試合に出させてもらえたので、それだけで嬉しかった。だから必死に食らいつこうとしていました」
 
――いつ頃から試合に出始めた?
「1年生の夏前くらいですね。結構早い段階で使ってもらえました」
 
――市船はエリート校でサッカー漬けのイメージがあります。どんな生活を送っていたのですか?
「朝練をやって、夜も遅くまで練習をやって……とかなりハードでした。今考えたら、本当によく頑張ったなと思いますね(笑)」
 
――朝練は何時ごろから?
「7時くらいです。1年生の時なんて先輩よりも早くいかないといけなかったので、6時前の電車に乗って登校していました」
 
――その後、授業を受けて、放課後に普通の練習は厳しいですね。
「そうですね。スポーツ進学校でもないので、6時間の授業をみっちり受けて、その後に練習して、さらに自主練。1年生の時は早く帰れないので、家に着くのが22時くらいでした。で、また次の日はまた5時起き、みたいな」
 
――それは大変ですね。
「すごい生活をしていたなと思います。家に帰ったら疲れているから、風呂に入ってご飯を食べてすぐに寝てしまっていました。それにテストが近くなってくると、勉強もしないといけない……正直もうあの生活には戻りたくないです(笑)」
 
――高校時代に辛かったことは? やはり、その生活?
「そうですね。でも、そんなに辞めたいほど嫌だとは思わなかったです。忙しかった分、充実していましたしね。ただテスト勉強は一番きつかったですね。寝ないでやってた記憶があります」
 
――結構テスト前に詰め込むタイプでした?
「そうですね。前日に焦って一気にやるタイプでした。2、3時間しか寝ないで、さあ本番というような。しかもテストの日でも練習がオフになることはなかったので、それがまたきつかった(笑)」
 
――忙しい生活を送るうえで気を付けていたことは?
「ご飯はきちんと食べるようにしていました。ただそれも特別意識していたわけではないですけど」
 
――性格的に、正しいと思ったら自然と身体動くのかもしれませんね。
「はい、当たり前だと思ったら、自然とやりますね。あまりネガティブに考えることもないですし」
 
 
――とはいえ、高校時代には誘惑が多かったはずです。他の子は遊んだり、バイトしたり。それを見て羨ましいとは思わなかったのですか?
「なかったですね。それよりも部活で結果を残したほうが恰好いいなと思っていたので」
 
――オフはあったのですか?
「週に1回はありましたけど、ほとんど家で寝ていましたね。たまに元気があれば、サッカー部の人と遊ぶくらい」
 
――そのひたむきさはどこから生まれているのですか? 今もそういう意識がうかがえます。
「『真面目に、謙虚に、ひたむきに』というのが市船のスローガンだったのですが、それを意識して日々やってきたからかなと。今のプレーにもその姿勢が出ているのかもしれません」