エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

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名物記者のパッサン氏、二刀流は「我々が今まで目にしたことのないこと」

 5月7日(日本時間8日)の敵地タイガース戦で復帰すると、前半戦で打率.303、14本塁打、38打点、OPS(出塁率+長打率).924という好成績を残したエンゼルス大谷翔平投手。打者としてのあまりの優秀さから、メジャー通算521本塁打のフランク・トーマス氏は二刀流を捨てての「打者専念」を提言するほどだ。

 その一方で、メジャーデビュー前の昨季スプリングトレーニングで不振だった大谷を酷評したものの、開幕後の二刀流としての凄まじい活躍を見て“公開謝罪”した米「ヤフースポーツ」の名物コラムニスト、ジェフ・パッサン記者はクリーブランドで行われたオールスターウイーク中にFull-Countの取材に応じ、二刀流継続を支持している。

 昨年10月に右肘靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けた大谷は今季、投手としてのリハビリを進めながら、指名打者として躍動。前半戦終盤は10試合で5本塁打とビッグフライを連発した。

 2番マイク・トラウト外野手、3番大谷の「トラウタニ」コンビは、相手にとってはまさに脅威。一部の地元ファンのみらず、米野球殿堂入りしている名打者トーマスも来季以降の打者専念を提言するほど、スラッガーとしての評価を揺るぎないものにしている。

 そんな中、名物コラムニストは二刀流継続を明確に支持している。

「私は心の底から彼にヘルシーになってほしい。二刀流としてどこまでできるのか、我々に見せてほしい。それは我々が今まで目にしたことのないことだろうからね」

 パッサン記者は、オールスターウイークにプログレッシブ・フィールドの記者席でこう語った。昨季開幕前のオープン戦では打率.125、防御率27.00と苦しんだ大谷。当時、同記者は特に打撃について「高校レベル」と酷評したものの、開幕後の“二刀流センセーション”を受けて「拝啓 ショウヘイ様」と書き出す謝罪コラムを発表。その潔さからも話題を呼んでいた。

「野球界にとってはオオタニが二刀流に挑戦し続けてくれることが、より大きな価値がある」

「あれは完全に自分が間違っていたんだよ」と自ら切り出すほど心の傷となっている様子の名物コラムニストは、現時点での“打者専念論”には否定的だ。

「現時点ではわからない。彼が二刀流を1シーズンやり抜いたところで、初めてどんな影響が出るのか、わかると思う。身体的な負担や打席数の問題などね。将来的にどちらかの道を選ぶということはあるのかもしれない。でも、野球界にとってはオオタニが二刀流に挑戦し続けてくれることが、より大きな価値があるんだ。投打、どちらかに特化するよりもね」

 メジャーではベーブ・ルース以来、100年ぶりの二刀流として活躍し、新人王にも選出された大谷。先発投手との兼務となれば、打席数は自然と減少し、チームの得点力に大きな影響を及ぼす可能性もある。身体的な負担も増えるかもしれないが、二刀流への挑戦は大谷のみならず、メジャーリーグにとって大きな価値があるとまで言い切った。

「オオタニは底が知れない。人々の想像を超えている。これからもどこまでできるのか見てみたんだ」

 野球ファンのロマンを体現する大谷。2020年シーズンに再始動となる「二刀流」の躍動に思いを馳せている様子だった。(Full-Count編集部)