私たちの身近にあるコンビニの知られざる裏話を、業界の内情に詳しいライターの日比谷新太さんが紹介していく当シリーズ。前回の「セブンイレブン、日用品値下げの意図」に続き、今回取り上げるのは本部による加盟店への「サポート格差」問題について。なんでも、売上のいい繁盛店は本部から優遇的な扱いを受けているとのことですが、一体どういうことなんでしょうか。

「本部は全加盟店に平等」はあくまで建前?

コンビニ本部と加盟店の関係は、FC契約が大半です。FC契約では、フランチャイジーとフランチャイザーの関係は平等というのが原則となっています。

これは本部が全加盟店に対して、一律的に平等なサービスを提供しなくてはならないということ。つまり売上の大きな店舗でも売上の小さな店舗でも、同じサービスを提供しなくてはいけません。

例えば、加盟店に行なわれるサービスのひとつとして、本部指導員(SV)による経営指導がありますが、セブンイレブンでは全店舗に週2回巡店することが義務付けられています。

本部指導員の本音としては、自分が担当する全店の売上を上げなくてはいけないため、できる限り売上の大きな店舗への指導を強化したくなるもの。しかし、店舗指導の偏りは許されません。全店舗に同じ時間・同じ内容の指導を求められます。

ただし、この平等の原則もあくまで建前。本部指導員としても、担当店舗の数字を引き上げないと、自分自身の評価が上がりません。そこで、担当する全店に一律のサービスを提供した後に、店舗ごとにサポートの強弱を付けるということが、実際にはよく行われているようなのです。

売場変更サポート

コンビニでは毎週新規商品が約100アイテム発売され、発売日に合わせて新規商品の売場を作る必要があります。具体的には売れない商品を売場から下げ、売れる商品や新規商品をより目立つ場所に陳列します。

この作業にはおよそ3〜5時間程度と、結構な時間がかかります。本部指導員としては、より多く販売できる店舗で適切な売場つくりを行うことができるかで、自分の成績が大きく変わります。よって本部指導員たちは週初めになると、売上の大きな店舗に赴いて売場変更を手伝いするようになります。

いっぽうで売上の小さな店舗は、経営者とアルバイトが合間にコツコツと売場変更を行わなければいけません。その結果、売上の大きな店舗は益々良くなっていきますが、売上の小さな店舗は苦戦が続くことになります。

レジ打ちサポート

とある店で実際にあった話ですが、外食をしたくなった経営者夫妻が、その店を担当する本部指導員に「忙しいから、今日の夕方レジに入ってくれない?」とお願いをしたところ、この本部指導員は喜んでレジ打ちを行い、まるでアルバイトと同じような業務を行ったそうです。

実はこの経営者は加盟歴30年超のベテランで、店の売上も年商3億円は超える優良店。いっぽうでこの本部指導員は、まだ新人から抜け出せていないレベルらしく、普段のコミュニケーションは対等どころか、加盟店側が圧倒的上位の立場で成り立っていたそうです。

そのため、この加盟店主から頼みごと(強制?)をされてしまうと、普段弱い立場であった本部指導員は断ることができず、アルバイト同様の業務に従事することになったようです。

ますます広がる店舗間の売上格差

本部指導員と加盟店主との関係は、あくまで仕事上のパートナーです。ただ、それ以前に人間同士ですので、売上に関わらず「助けてあげたい」という感情でお手伝いをすることもあります。

例えば経営者の家族に何らかのトラブルが発生した際には、きめ細かくサポートすることもあります。また以前にもご紹介しましたが、加盟店一家がたまの家族旅行で店を離れる時などには、そのバックアップをすることもあります。

ただ、本部指導員もひとりのサラリーマン。個人の成績を立てるためには、平等の原則に反して、売上が上がりそうな店舗により手厚くサポートすることは、現実としてあるものなのです。

これによって、売上の大きな店舗はより伸びていき、売上が小さな店舗は苦戦が続きます。まるで、貧富の格差が拡大している現代社会の縮図でもありますね。

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文/日比谷 新太(ひびや・あらた)

日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp

出典元:まぐまぐニュース!