今シーズンのJリーグは、キックオフ時間の幅が広い。テレビ放映の軸足がダ・ゾーンへ移り、チャンネル数の制約から解放されたのが主な理由だ。地上波やBS放送の中継が入ると調整が必要になるものの、基本的にはクラブ側がキックオフ時間を選べる。

 ここまで7節を終えたJ1リーグで、もっともキックオフが早かったのは12時35分である。横浜F・マリノスと浦和レッズの開幕戦だった。12時台はこの1試合だけで、13時台が3試合、14時台が18試合、15時台が17試合、16時台が7試合、17時台が5試合となっている。18時台のゲームは、6月までひとつも予定されていない。19時台開始のナイトゲームは12試合だ。

 クラブがキックオフ時間を決めるにあたって、判断基準となるのはどんな要素だろうか。

 たとえば、13時キックオフのメリットを考えてみる。

 観客がスタジアムへ到着するのは、11時半から12時あたりが多いだろうか。ランチタイムのど真ん中である。途中で食べ物を仕入れてくる人もいるだろうが、スタジアムグルメを楽しむ人は多そうだ。店舗の売り上げが増えれば、クラブが受け取るマージンも増える。これはメリットのひとつにあげられる。

 また、試合終了は15時戦後になるので、イベントをやったりする時間的な余裕もある。スタジアムまでの所要時間が1時間なら16時前後に、2時間でも17時前後には帰宅できる。家族連れにとっても、週末のレジャーの選択肢になりそうだ。付け加えれば、運営スタッフが後片付けに急がされることもない。

 19時開始のナイトゲームはどうだろう。

 スタジアムグルメについては、こちらも需要がありそうだ。キックオフ前から試合中が夕食の時間に重なるので、試合前にあらかじめ空腹を満たしつつアルコールもほどよくとって、という観戦が成立する。一般的にビールなどのアルコール飲料は、昼間よりも夜のほうが売れ筋と言えるだろう。

 また、キックオフ時間が遅いので、週末も働くビジネスマンやOLを取り込むことができる。デーゲームでは想定できない客層だ。不意に時間が空いた場合の緊急避難としても、レジャーの選択肢に加えてもらえる期待感がある。緊急避難では虚しいかもしれないが、とにかく候補に上がることは大切である。ライト層を引き寄せるには、偶然のアシストも必要なのだ。

 ダ・ゾーンがもたらした変化は、キックオフ時間だけではない。昨年までは土曜日にJ1、日曜日にJ2とJ3を基本スケジュールとしていた。曜日によるリーグの棲み分けが今年からなくなり、クラブが選べるようになった。

 サッカーに限らず週末のレジャーで、もっとも集客に影響するのは日曜日の夜だろう。翌日からの仕事を考えると、できるだけ早く帰宅したいと考える人が多いからだ。

 そこでJリーグである。3月に行なわれたJ1、J2、J3リーグから、日曜日のナイトゲームを探してみると……なかった。条件が良くないうえに寒さが居座るかもしれないことを考えると、積極的になれないに違いない。

 4月は2試合あった。15日のベガルタ仙台対鹿島アントラーズ戦と、30日のセレッソ大阪対川崎フロンターレ戦だ。この2試合はダ・ゾーンだけでなく、NHKのBSでも放映される。日曜日のナイトゲームとなったのは、そのあたりにも理由がありそうだ。

 集客という意味では苦戦を強いられるものの、日曜日のナイトゲームは在宅率が高い時間帯に放映される。普段はJリーグに触れていないライト層を、開拓する好機ととらえることもできるだろう。

 いずれにしても、キックオフ時間や曜日よりも大切なのは、コンテンツとしての魅力だ。最後まで目の離せないサッカーを繰り広げることが、Jリーグの価値を高めていく。