【戸塚啓コラム】サッカー界に“二刀流”大谷翔平が現れる可能性は?
サッカーで二刀流は成り立たないのだろうか。そんなことを考えている。
北海道日本ハムファイターズでプレーする大谷翔平の二刀流は、「プロ野球の常識」からははみ出すものである。栗山英樹監督への圧力や批判は、相当なものだと聞く。
ただ、とてつもなく大きな「夢」を、野球ファンに運んでいるのは間違いない。1番ピッチャー大谷が先頭打者ホームランを打つなんて、まるでマンガの世界だ。それが現実に起こるのだから、野球ファンにはたまらない。日本ハムを応援していなくても、大谷のピッチングやバッティングは気になるはずだ。
サッカーでも、同じことができないだろうか?
ピッチングをディフェンス、バッティングをオフェンスに置き換えれば、ストライカーとDFでプレーすることは「二刀流」と言えるだろう。
ひとりの選手が思い浮かぶ。名古屋グランパス在籍当時の田中マルクス闘莉王だ。
正直に告白すれば、彼の二刀流には否定的だった。試合終盤のパワープレーならともかく、スタメンから闘莉王をFWで起用するのは「どうかな」と思うところはあった。
その一方で、闘莉王の二刀流を楽しんでいる自分もいた。本職ではないストライカーで活躍されたら、対戦相手はたまったものではない。グランパスからすれば苦肉の策だったとしても、結果的にピッチ上の熱を高めることにつながっていたのでは、と思うのだ。
彼に続く二刀流は、出てこないだろうか。
J2のカマタマーレ讃岐に所属する我那覇和樹が、今シーズンのリーグ戦にセンターバックで出場したことがある。ただ、ケガ人続出による緊急避難的な起用だった。本格的な二刀流はいない。
GKとFWの二刀流が出てきたら面白い。GKがPKやFKなどのリスタートを蹴るだけでなく、FWとして出場したら大きな話題をさらうだろう。
ボランチの選手がセンターバックでプレーすると、センターバックにありがたいボランチのプレーが分かる。ストライカーがセンターバックでプレーすると、センターバックにとって嫌な動きが分かる。違うポジションをするメリットは、多くの選手が口にしている。センターバックで急きょ起用された我那覇も、「いつもFWとしてCBとマッチアップしているので、ある程度計算はできていた」と話していた。
シュートを止める専門家には、シュートを決める専門家の心理が分かる。DFを動かしているわけだから、どういった動きがGKやDFを悩ませるのかにも考えが及ぶ。GKがFWでもプレーしたら、我々の予想もつかないプレーをするかもしれない。
GKには長身が多い。空中戦で優位に立てる選手は多いだろう。
キック力もある。シュートレンジは広い。ストライカーに必要な資質のうち二つは、すでに装備されている。
3連戦と一日の移動日が基本になる日本のプロ野球と違って、サッカーJリーグは週に一度の開催をベースとする。一日1時間半から2時間のトレーニングで、GKとフィールドプレーヤーの両方でプレーすることに無理はない。練習時間の確保という意味では、プロ野球選手の二刀流よりはるかにスムーズだ。GKで先発し、FWでプレーするのはゲームの終盤という起用法なら、フィジカル的な負担は少ないだろう。
3人の交代枠のひとつを使って、第2GKをフィールドプレーヤーに代わって送り込む。レギュラーのGKはFWへポジションを移し、ゴールを狙う仕事に立場を変える。奇想天外だからこそ、現実になったら面白い。常識にとらわれない指導者と、二刀流を可能にする才能が、どこかで出会わないものだろうか──。
北海道日本ハムファイターズでプレーする大谷翔平の二刀流は、「プロ野球の常識」からははみ出すものである。栗山英樹監督への圧力や批判は、相当なものだと聞く。
ただ、とてつもなく大きな「夢」を、野球ファンに運んでいるのは間違いない。1番ピッチャー大谷が先頭打者ホームランを打つなんて、まるでマンガの世界だ。それが現実に起こるのだから、野球ファンにはたまらない。日本ハムを応援していなくても、大谷のピッチングやバッティングは気になるはずだ。
ピッチングをディフェンス、バッティングをオフェンスに置き換えれば、ストライカーとDFでプレーすることは「二刀流」と言えるだろう。
ひとりの選手が思い浮かぶ。名古屋グランパス在籍当時の田中マルクス闘莉王だ。
正直に告白すれば、彼の二刀流には否定的だった。試合終盤のパワープレーならともかく、スタメンから闘莉王をFWで起用するのは「どうかな」と思うところはあった。
その一方で、闘莉王の二刀流を楽しんでいる自分もいた。本職ではないストライカーで活躍されたら、対戦相手はたまったものではない。グランパスからすれば苦肉の策だったとしても、結果的にピッチ上の熱を高めることにつながっていたのでは、と思うのだ。
彼に続く二刀流は、出てこないだろうか。
J2のカマタマーレ讃岐に所属する我那覇和樹が、今シーズンのリーグ戦にセンターバックで出場したことがある。ただ、ケガ人続出による緊急避難的な起用だった。本格的な二刀流はいない。
GKとFWの二刀流が出てきたら面白い。GKがPKやFKなどのリスタートを蹴るだけでなく、FWとして出場したら大きな話題をさらうだろう。
ボランチの選手がセンターバックでプレーすると、センターバックにありがたいボランチのプレーが分かる。ストライカーがセンターバックでプレーすると、センターバックにとって嫌な動きが分かる。違うポジションをするメリットは、多くの選手が口にしている。センターバックで急きょ起用された我那覇も、「いつもFWとしてCBとマッチアップしているので、ある程度計算はできていた」と話していた。
シュートを止める専門家には、シュートを決める専門家の心理が分かる。DFを動かしているわけだから、どういった動きがGKやDFを悩ませるのかにも考えが及ぶ。GKがFWでもプレーしたら、我々の予想もつかないプレーをするかもしれない。
GKには長身が多い。空中戦で優位に立てる選手は多いだろう。
キック力もある。シュートレンジは広い。ストライカーに必要な資質のうち二つは、すでに装備されている。
3連戦と一日の移動日が基本になる日本のプロ野球と違って、サッカーJリーグは週に一度の開催をベースとする。一日1時間半から2時間のトレーニングで、GKとフィールドプレーヤーの両方でプレーすることに無理はない。練習時間の確保という意味では、プロ野球選手の二刀流よりはるかにスムーズだ。GKで先発し、FWでプレーするのはゲームの終盤という起用法なら、フィジカル的な負担は少ないだろう。
3人の交代枠のひとつを使って、第2GKをフィールドプレーヤーに代わって送り込む。レギュラーのGKはFWへポジションを移し、ゴールを狙う仕事に立場を変える。奇想天外だからこそ、現実になったら面白い。常識にとらわれない指導者と、二刀流を可能にする才能が、どこかで出会わないものだろうか──。

1968年生まれ。'91年から'98年まで『サッカーダイジェスト』編集部に所属。'98年秋よりフリーに。2000年3月より、日本代表の国際Aマッチを連続して取材している