新型コロナの影響で中国工場の稼働が低下 製造が大幅減少し、資金繰りが悪化していた

 旭東電気(株)(TDB企業コード:078025011、資本金9900万円、大阪府大阪市旭区新森6-2-1、代表澤田康博氏、従業員339名)は、4月28日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日弁済禁止の保全処分および監督命令を受けた。

 申請代理人は佐藤俊弁護士(大阪府大阪市北区中之島2-3-18、弁護士法人大江橋法律事務所、電話06-6208-1323<問合せ専用電話番号>)ほか3名。監督委員には松本洋介弁護士(大阪府大阪市北区堂島2-2-2、桜橋法律事務所、電話06-6344-5198)が選任されている。

 当社は、1945年(昭和20年)11月に旭東電気研究所の屋号で創業し、49年(昭和24年)10月に旭東電気(株)(現:旭東ホールディングス(株))の商号で法人改組した後、2018年7月に同社から新設分割する形で設立された経緯を有する。前身企業より長年にわたり安全ブレーカーや漏電遮断器、漏電プラグを主体に弱電品のプリント基板などの組み立てを手掛けるほか、液晶ディスプレイや液晶パネル、バックライトなどのEMS商品の製造も行っていた。大手電機メーカーや住宅設備機器メーカーなどのOEM製品を手掛け、大手メーカーや電材商社を中心に営業基盤を確立。長年、鳥取工場など国内工場を中心に製造を行っていたが、1990年代から2000年代にかけて中国やベトナムなどに海外工場を開設するなど大型受注にも対応できる生産体制を整備。住宅関連機器やオール電化関連製品の受注が増加した2010年12月期には年売上高約80億4200万円を計上していた。

 しかし、その後は住宅着工件数の減少に伴い、主力製品である安全ブレーカーや漏電遮断器の受注が減少したことに加え、東日本大震災の影響によりEMS製品の受注が落ち込んだことで、2012年12月期の年売上高は約55億5500万円にダウン。その後、太陽光発電用商材による受注増加はあったものの、一過性のものにとどまり、2016年12月期の年売上高は約46億5300万円まで減少していた。

 この間、海外現地法人への支援などによる負担も重く収益も徐々に低下。2018年にはグループ再編を行い、当社を新設分割するなどグループ全体の経営の効率化を図っていた。しかし、今年に入り、中国での新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、中国の関連会社での製造が大幅減少を余儀なくされ資金繰りが悪化。このため、2月には取引金融機関へリスケを要請し、グループ全体の経営の立て直しを図っていたが工場の稼働率は回復せず、さらに得意先からの受注も不安定となったこともあって自主再建を断念した。

 負債は現在調査中だが、グループの連帯保証債務を含め約62億9800万円の見込み。製造業では最大の新型コロナウイルス関連倒産となる。

 なお、加賀電子(株)(東京都千代田区)がスポンサーとして支援意向を表明している。