「ビットコイン」はいつ私たちのもとに降りてくるのか?

写真拡大

◎Mt.Goxの取引停止
2月末、ビットコインの最大手の取引所Mt.Gox(マウントゴックス)社は突然、「すべての取引を停止した」と発表した。続報として、Mt.Gox社でビットコインを購入した利用者が警察署に詐欺容疑で被害届を出したというニュースが流れた。さらに、同社への説明を求め、Mt.Gox社が入居するオフィスビルの前で座り込みを続ける利用者の映像も伝えられた。

ビットコインをこの関連のニュースで初めて知った人も多いだろう。第一印象から「ビットコインって、 なんかうさんくさい」だったのではないか? その後、Mt.Gox社側は会見を開き、サイバー攻撃によりビットコインを失った、債務超過に陥ったとして東京地裁に民事再生法の適用を申請し受理されたことを発表。

ここで重要なのは、Mt.Gox社の経営破綻をもって、ビットコインは詐欺まがいの危ないものと言い切ってしまえるわけではないということだ。

◎そもそも「ビットコイン」とは?
ビットコインはいわゆる仮想通貨で、どこかの国が発行するものでも、特定の運営母体があるわけでもない。まず、ここが従来の電子マネーとは異なる点だ。Suicaやedyなどは、発行する母体と利用者、母体を信頼し決済を許可する店舗があり、信頼関係で成り立つ。これはリアルな通貨と同じ仕組みといえる。

一方、ビットコインは「ビットコインシステム」というネットワーク上で取引される通貨だ。ビットコインシステム上のノード(ネットワークを構成する要素)は独立して、独自に他のノードと取引を行うという仕組み。それぞれの取引が適正なものかどうかを検証する機能により、運用されている。運用開始は2009年、暗号技術を使ったピア・ツー・ピア型の電子通貨、決済網である。ビットコインは難解な数式を解くことで入手(採掘)でき、その供給量は自動的に制御される。

このビットコインとリアル通貨との両替をするのが「取引所」で、そこが今回トラブった部分。こうした取引所からビットコインを購入し、利用しよう(あるいは投資目的?)という人が現れたのには、ビットコインがネット上でのクレジットカード決済、PayPalなどの電子決済の代替として便利に利用できる、場合によっては手数料も安い、また海外ではリアル店舗で使用できるようになったという背景がある。

◎ビットコインはなくならない!?
ビットコインシステムの基になった論文の作者とされる人物を特定しようとする動きや、Mt.Gox社をハッキングしたというハッカーが「Mt.Gox社の主張はおかしい」と証拠を公開するなど、ビットコイン騒動はまだ止みそうにない。

現状では、日本政府は「通貨にあたらない」という見解を示している。禁止する法律はないものの、銀行法や金融商品取引法の対象にはならず、銀行はコインの売買仲介や専用口座の開設ができないとしている。また企業や個人がコインを売って得た利益は法人税や所得税、消費税法の課税の対象になるとの認識だ。

今回の問題がビットコイン/ビットコインシステムの根幹を揺るがすものではないとしても、ビットコインがリアルな通貨の代替としてこのまま普及するのかはまだわからない。この一件により一気に廃れてしまうかもしれない。しかし、そうだとしても、ビットコインシステムが提示した「通貨」の考え方は残るだろう。いや、さらに進化していくのではないだろうか。

大内 孝子