法務省

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 声優や著名人の音声を自由に作れる音声生成AI(人工知能)サービスへの批判が高まっている。

 複数の海外サイトで提供されており、声を無断利用されている声優らは国に対応を求めている。法務省は、声などの法的保護を考える有識者検討会でサービス提供の違法性について議論する。(安田龍郎、福元理央)

「若手の活躍の機会、奪われる」

 米企業が提供する音声生成AIサービスのサイトには、日本のアニメキャラクターや著名人の名前を冠した声のサンプルが並ぶ。使いたい声を選び、文章を入力すると、その声による音声が生成される。有料プランはより長い音声を作ることができ、「声優を雇うより安価だ」とうたう。

 サンプルの声は利用者が登録することもでき、声優らに無断で登録されている声もあるとみられる。

 「声を『フリー素材』のように使って商売しており、問題だ」。そう憤るのは、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の主人公・碇(いかり)シンジ役などで知られる声優の緒方恵美さん(60)。同サービスで自身が演じたキャラの声が無断利用されている。「このようなサービスが普及すれば、若手の活躍の機会が奪われ、業界全体に影響が出る」と懸念を示す。

 同サービスの運営会社側は取材に「利用者が声優らの声を無許諾で登録することは規約で禁じている。違反の報告があれば削除などの適切な措置を講じている」などとコメントした。

 同様のサービスを提供する海外サイトは複数あり、いずれも日本の声優やアニメキャラの声と酷似した声が使われている。声優らの声を無断利用した動画が作られ、SNSに投稿される被害が相次ぐ中、こうしたサービスが無断利用の温床になっているとの指摘もある。

法務省、サービスの違法性を議論へ

 俳優・声優らが所属する日本俳優連合など4団体は4月、AIの利活用を話し合う自民党の小委員会に要望書を提出し、音声生成AIサービスの提供者側も、著名人らが自分の名前や肖像を独占的に利用できる「パブリシティー権」侵害の責任を負う場合があることを、政府が周知すべきだと訴えた。

 法務省はAIによる声や肖像の無断生成に対する民事上の責任について考える有識者検討会の次回会合(28日)で、サービス提供の違法性について議論する。

 知的財産法に詳しい分部(わけべ)悠介弁護士は「個別のSNS投稿を問題視しても『モグラたたき』になってしまう。大本の責任について国が見解を示すことで被害抑止につながる」と話す。

 声の権利侵害を巡っては、生成AIで自身の声を無断で模倣した動画が公開されているとして、人気声優の津田健次郎さん(54)が動画共有アプリ「ティックトック」の運営会社に動画の削除を求める訴訟を東京地裁に起こしている。