物語の自販機から出てきた作品

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 青山学院大の相模原キャンパス(相模原市中央区)に今月、神奈川県内で初めて「物語の自動販売機」が設置された。

 学生らの読書離れが進む中、本をもっと身近に感じてもらう狙いがあるという。(北川穂高)

 物語の自動販売機は、今月13日、キャンパス正門に近いG棟1階の購買所に設置された。「販売機」という名前だが、利用は無料だ。

 高さ約120センチほどの機械の画面で、「青学生のおすすめ」「世界観に引き込まれる」「モチベーションアップ」など6項目から気になるテーマを選択すると、レシート状の感熱紙(幅約8センチ)に、500〜2500字ほどの文章が印刷されて出てくる。

OGあさのあつこさんや陸上部・原晋監督の著書も

 登録されているのは、設置時点で計約80作品(作品によっては、一部を抜粋)。夏目漱石やツルゲーネフなど、国内外の文豪の作品のほか、同大出身の小説家あさのあつこさんの作品や、陸上競技部の原晋監督の著書の一部抜粋など、青学らしい作品も含まれている。

 自販機は出版取次大手「トーハン」(東京都新宿区)がメーカーと協力して開発した。同社コンテンツ事業本部・中村可奈さん(25)ら3人が、2024年に公表された文化庁の調査で、1か月に1冊も本を読まない人が6割を超えたことに衝撃を受けたことがきっかけだ。「本から離れた人にアプローチして、本を手に取る入り口を作りたい」と本の自販機の先行事例があるフランスなどを参考にした。

 昨年10月に世田谷文学館(同世田谷区)で初めて設置され、その後、青山学院大の青山キャンパス(同渋谷区)にも11月下旬から、期間限定で置かれた。大学側も図書館の利用状況などから学生の読書離れを感じており、設置を決めたという。

 大学独自の取り組みとして、設置前にアンケート調査が行われ、回答を基に学生のおすすめや悩みに応える作品なども登録された。同社によると、登録作品は、主に著作権が切れているものや、同社が出版社に個別に許可を取ったものなどだという。

学生のオリジナル作品

 相模原キャンパスに設置された自販機には、学生が執筆したオリジナル作品も46作品登録されている。理工学部2年、曽我綾菜さん(19)は、事前に手紙調の短編を執筆し、自販機の作品として提供した。自身も実際に使ってみて、ほかの学生が書いた作品を読んだといい、「自分から手に取らないジャンルを読むきっかけにもなる」と話す。

 同キャンパスでの設置は6月23日まで。学校関係者以外も利用可能だ。中村さんは「身近な人が選んだり、書いたりしている作品が登録されている。活字の世界に一歩踏み出すきっかけになってくれたらうれしい」と話している。