吉田さん(仮名)と坂口杏里2人で取材に応じた

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 3月17日にコンビニでサンドイッチを万引きして逮捕された坂口杏里(35)。彼女は現在、半年ほど前にライブ配信で知り合ったファンの男性・吉田さん(仮名・47)の自宅に今年3月初旬から居候しているという。杏里はこれまで2度の電撃婚と離婚を繰り返し、逮捕は今回で3回目。彼女はいま、何を考えているのか。彼女への取材を続けてきたライターの河合桃子氏が密着レポートする。

【写真】坂口杏里と吉田さん(仮名、47)の自宅前でのツーショット。居候している吉田さんの自宅なども

 彼女の現状を確かめるべく、河合氏は杏里と吉田さんと取材の約束をした。当初は吉田さんの自宅に訪れる予定だったが、「家は散らかっている」という理由で、イタリアンチェーン店「サイゼリヤ」で話を聞くこととなった。【前後編の後編】

苦悶の表情で「おしっこが出ない」

 2人の現在の暮らしぶりはこうだ。吉田さんは週3日作業所に行く。杏里は仕事をしておらず、家にいることもあれば、外出する日もある。2人とも自炊はせずコンビニなどで惣菜を買うか、外食をするかだという。

 大好物という小エビのカクテルサラダを2皿注文し、ひとつの皿にガバッとまとめて食べ始めた杏里。余談だが、この日は昼も夜もサイゼリヤに行き、杏里はこのサラダと「ディアボラ風ハンバーグ」「エスカルゴのオーブン焼き」という同じメニューを注文していた。

食事を始めてから30分ほどたった時。杏里は数回トイレに席を立ち、苦悶の表情で「おしっこが出ない」と言い出した。

 あまりに苦しそうだったので、3人で付近の大学病院へ。泌尿器科医は、杏里の症状を「尿閉」という疾患だと診断した。

「尿意があるのに膀胱内の尿が出ない状況です。坂口さんの膀胱には1リットル以上の尿が溜まっていました。処置としてカテーテルを挿入したので10日間ほどそのまま過ごして下さい」

 それを聞くと杏里は「やだ! 外して」とわめいた。医師や看護師ら数名が「取るとまた痛くなる」などと説明し、その場は納得した。しかし翌朝、杏里から記者に届いたLINEは「(カテーテルを)痛いから外した!」という衝撃の内容だった。

元夫「彼女に今必要なのは僕ではないと思います」

 杏里は芸能界で活躍していた頃からこのように破天荒だったのか。当時の事務所関係者は言う。

「当時は重盛さと美に続いて事務所が売り出していて、杏里ちゃんは真面目でした。良子さんが亡くなる3日前まで病名を知らされておらず、亡くなった直後も予定された仕事をこなしていた印象があります」

 しかし、良子さんの死後、杏里は坂道を転がるように転落した。良子さんと一緒に所属していた事務所を2016年に辞めると、突然のAVデビュー。それも長くは続かず、水商売などを転々とした。その後、2022年6月に格闘家の福島進一氏と一度目の結婚。福島氏は当時を振り返る。

「僕の家に転がり込んできて、そのまま同居生活が始まった。寝る前とかに薬のシートをパキパキって破る音はよく聞いていた。杏里が薬をたくさん飲んでいるのを知ったのは結婚してからで、『飲み過ぎじゃない?』という指摘がケンカの火種になることが多かった」

 杏里の知人に確認すると、万引き直前にも複数件の病院をハシゴし、向精神薬の処方を受けていたという。福島氏に杏里の現状を伝えるとこう言った。

「離婚後に杏里から『別れたくなかった』『やり直したい』とLINEしてきたこともあったけど、彼女に今必要なのは僕ではないと思います」

「自立して仕事もしたい。介護士とか保育士もやりたい」

 杏里には頼れる存在が必要で、そこには福祉や行政も含まれるだろう。杏里が対面を望んだ尾崎(健夫)氏は、杏里を引き取る気はあるのか。その意向を聞くべく取材の申し出をしたものの、返事は得られなかった。精神科医の益田裕介氏はこう言う。

「一般論として、自立して安定した生活ができない以上、生活保護を申請し、行政の支援を受けるべきです。行政から手を差し伸べることはないので、自ら駆け込まないといけません」

 杏里が身を寄せる町の市役所に問い合わせると、こう語った。

「まず生活できる部屋を提供し仕事の紹介などもできます。本人がその気になることが大事です」

 当の杏里は、今後についてどう考えているのか。

「自立して仕事もしたい。誰かの面倒を見るのが好きだから介護士とか保育士もやりたい」

 自立の一歩として市役所に行かないかと聞いた。

「そこに自由はあるの? ヨッちゃんの家を出るとヨッちゃん悲しむから、どうしようかな」

 屈託ない笑みを浮かべて話す杏里からは、自らの置かれた現状への不満などは感じられない。吉田さんに生活の面倒を見てもらいながら、誰かの面倒を見たいという杏里を"その気"にさせるのに必要な言葉は何なのか。私にはその言葉が見つからなかった。

(前編から読む)

【プロフィール】
河合桃子(かわい・ももこ)/1977年、東京都生まれ。ライター。週刊誌を中心に執筆。幅広く取材活動を行なっており、特に性風俗にまつわる事件などアングラな業界を長年取材している。2025年、第32回小学館ノンフィクション大賞を受賞。

※週刊ポスト2026年5月1日号