NASAがESA火星探査車「ロザリンド・フランクリン」支援を本格スタート 2028年打ち上げへ
NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年4月16日付で、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)が主導する火星探査ミッション「Rosalind Franklin(ロザリンド・フランクリン)」に対する支援プロジェクトについて、本格的な実装フェーズへ移行させることを承認したと発表しました。欧露の協力解消で危ぶまれたESAのRosalind Franklinミッションは、「火星で生命の痕跡を探す」という大きな目標に向けて新たな一歩を踏み出しました。

火星探査車の打ち上げ手段などをNASAが提供
NASAによると、同局の火星探査プログラムのもとで進められている「ROSA(Rosalind Franklin Support and Augmentation)」プロジェクトが、事前の審査を通過して実装フェーズに入りました。
名称にもあるように、このプロジェクトはESAのRosalind Franklinミッションを実現させるための取り組みとして進められています。具体的には、火星探査車Rosalind Franklinの打ち上げ手段の調達をはじめ、ヨーロッパ企業のThales Alenia Space(タレス・アレニア・スペース)とAirbus(エアバス)が開発を進めている着陸プラットフォームの降下用エンジンや、探査車内部のシステムを低温から保護するための放射性同位体ヒーターユニット(RHU)などをNASAが提供します。
今回の発表では、打ち上げに使用するロケットとしてアメリカ企業SpaceX(スペースX)の「Falcon Heavy(ファルコン・ヘビー)」が選定されたことも明らかにされました。Rosalind Franklinは、順調に進めば2028年10月〜12月にケネディ宇宙センターから打ち上げられる予定です。

地下2mまで掘れるドリルで生命の痕跡を探る
ESA主導の火星探査プログラム「ExoMars(エクソマーズ)」の一環であるRosalind Franklinは、過去または現在の火星における生命の痕跡を探すことを目的としたミッションです。
探査車の最大の特徴は、火星の地表から最大2メートルの深さまで掘削できるドリルを搭載しているところ。このドリルを使うことで、有害な放射線や極端な温度変化による破壊を免れていると考えられる、地下のサンプルを採取・分析することが可能になります。
NASAはROSAプロジェクトにおいて、探査車の主要な科学機器である「MOMA(火星有機分子分析器)」用の特殊な電子機器や最新の質量分析計も提供します。着陸目標地点である火星のオクシア平原(Oxia Planum)で採取したサンプルを分析し、生命の構成要素となる有機分子を探すにあたり、MOMAは重要な役割を担います。
【▲ 火星表面で探査を行うESA(ヨーロッパ宇宙機関)の火星探査車「Rosalind Franklin(ロザリンド・フランクリン)」のCGアニメーション(Credit: ESA/Mlabspace)】
パートナーの変遷を乗り越えて今度こそ打ち上げへ
当初、ESAはRosalind Franklinミッションをロシアの国営宇宙企業Roscosmos(ロスコスモス)と協力して進めようとしていました。
探査車はRoscosmosの着陸プラットフォームに搭載されて2022年にロシアが打ち上げる予定だったものの、同年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻の影響を受けて、欧露の協力関係は解消。その後、Rosalind Franklinミッションの再検討を進めたESAは、2024年5月にNASAとの間で協力拡大の覚書(MoU)を締結し、不足している要素をNASAが提供することで合意に至ったという背景があります。
今回NASAから発表されたROSAプロジェクトの本格始動により、ESAの野心的な火星探査ミッションは2030年の火星着陸に向けて確実な一歩を踏み出すことになります。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
関連記事ESAとNASAが火星探査車「ロザリンド・フランクリン」の協力拡大で合意 2028年打ち上げ予定欧露共同の火星探査ミッション「エクソマーズ」2022年の打ち上げ中止が決定欧露共同の火星探査ミッション「エクソマーズ」打ち上げ再延期の見込み参考文献・出典NASA - NASA Begins Implementation for ESA’s Rosalind Franklin Mission to Mars
