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京都府南丹市で男児が行方不明となっている事件をめぐり、SNS上で無関係とみられる虐待動画が投稿されるなど、デマ情報の広がりが問題となっている。

あるXの投稿では、成人男性が子どもに暴力を振るっているように見える動画とともに、「#京都行方不明事件」「#義父によるDV発覚」などの文言が添えられていた。

しかし、この動画は過去に撮影されたもので、今回の事件とは無関係であるとの指摘が出ている。

こうした投稿では、無関係な映像や情報を結びつけることで、あたかも家族や関係者が事件に関与しているかのような印象を与えかねない。

実際、事件や事故のたびに、捜査段階であるにもかかわらず、根拠の乏しい憶測がSNS上で拡散され、周囲の人たちが「犯人扱い」される事態が繰り返されている。

では、こうした投稿にはどのような法的リスクがあるのか。インターネットの誹謗中傷問題に詳しい清水陽平弁護士に聞いた。

●事件に「家族が関与」と示唆、名誉毀損の可能性

──一般論として、家族が事件に関与しているかのように示唆する投稿は、どのような法的リスクがありますか。

事件に家族が関与していると指摘することは、犯罪行為をしているとの指摘に等しく、社会的評価を低下させることになります。そのため、名誉毀損の問題が生じます。

また、「DVをしている」という指摘自体も、不法行為を繰り返しているとの指摘といえることから、たとえ事件の犯人であるといった示唆がなかったとしても、それだけでも社会的評価の低下を招くものといえます。この点でも名誉毀損の問題が生じます。

名誉毀損には、民事上と刑事上の責任があり、成立要件には少し違いがあるのですが、犯人扱いをするような投稿は、いずれについても成立する可能性が高いといえます。

なお、民事上は損害賠償責任を負い、刑事上は処罰の対象となります。

●投稿前に「デマではないか?」と立ち止まる

──事件のたびに、被害者の家族などがSNS上で「犯人扱い」される事態が起きています。こうした誹謗中傷を受けた場合、どのような対応が可能でしょうか。

インターネット上で取り得る対応としては、投稿の削除や発信者情報開示請求が挙げられます。

削除については、まず通報やウェブフォームからの削除依頼はしてもよいでしょう。ただし、実際には裁判手続が必要となるケースも多く、一定の時間がかかることになります。

また、削除できたとしても、新たな投稿の拡散を防ぐことは難しいのが実情です。

そのため、あまりにひどい内容については発信者情報開示請求をおこない、投稿者の特定と責任追及を進めることが現実的な対応です。

あわせて法的措置を検討していることを公表することで、新たな投稿がされることを少しでも抑止することができるのではないかと思います。

──被害を防ぐための対策はありますか。

事前に被害を防ぐことは難しいといえます。

最近は「本当かも」と思わせるような動画や画像が、生成AIでも作出されかねない状況になっています。インプレッションを稼ぐために、あえてセンセーショナルな情報を発信するアカウントもあります。

こうした状況だからこそ、むしろ情報を受け取る側が「デマではないか?」という疑いを持ちつつ立ち止まり、安易に情報拡散をしない姿勢が重要になっています。

【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」(2020年)、「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」(2022〜2023年) の構成員となった。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第5版(弘文堂)」などがあり、マンガ・ドラマ「しょせん他人事ですから〜とある弁護士の本音の仕事〜」の法律監修を行っている。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:https://www.alcien.jp