今のうちに知っておきたい、夫婦のどちらかが亡くなったときの「銀行口座・不動産」の変更手続き
あなたは配偶者の持つすべての金融資産がどこの銀行・支店あるいは証券会社にあるかを言えるだろうか。
前編記事『夫婦の片方が亡くなったときに困らないために…これだけはかならずやっておきたい「最低限の情報共有」』より続く
「全店照会」する手間も省ける
たとえば、どちらかが亡くなったときの「銀行口座の名義変更」の手順を見よう。口座は、名義人が亡くなると凍結されてしまい、名義変更しないと預貯金を引き出せなくなる。だが、すでに情報共有をしているなら、どの銀行・支店にどれだけの資産があるかがわかっているだけでも、焦らずにすむ。
準備すべき書類は、ⓐ故人の出生から死亡までの戸籍謄本、ⓑ相続人全員の戸籍謄本、ⓒ相続人全員の印鑑証明書と実印。前章でも紹介したように、法定相続情報一覧図を作成し、その写しが交付されていれば、ⓐⓑは不要だ。
続いて遺言の有無を調べる必要があるが、事前にふたりで遺言書を作成していれば、問題はない。
銀行の窓口では全支店での取引をチェックする全店照会をする。しかし、予め銀行口座を把握できていれば、その手間も省けるだろう。
その後、「故人の死亡日」時点での残高証明書を取得し、各銀行で名義変更用の書類(名称はそれぞれ異なる)を提出すればよい。
注意点として、相続人のうち、ひとりでも捺印しなければ名義変更はできない。だが、事前に法定相続人を把握し、彼・彼女たちとの話し合いをしておけば、そのリスクも減らせる。
不動産の名義変更は?
他方、不動産の名義変更についてはどうだろうか。
基本的には、不動産は生前には名義を変更しないほうがよい。不動産を生前に贈与すると、高額な贈与税や不動産取得税がかかってしまう。
どんな不動産があるかを把握しやすくなった「所有不動産記録証明制度」のあらましは、1章で述べた。
「動き出したばかりの制度で、拾い漏れが出る可能性もある。その制度を使って検索した後、気になるエリアを名寄帳(固定資産課税台帳)で調べていくという2段構えにすると、以前よりも手間を省けたうえで、より精度が高くなると思います」(石倉氏)
不動産の名義変更の急所は、遺言書などに基づく相続人を確定させる話し合いで共有名義にしないこと。銀行の名義変更と同様、相続人を把握し、事前に揉めるリスクを軽減しよう。
相続人が決まれば、3章で述べた書き方の例を踏まえて相続登記すればよい。
ひとりでは億劫で、なかなかその準備に手が出ない人も多い生前・死後の手続き。ふたりで声を掛け合って今から徐々に進めれば、いざというときに困らずに済む。
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「週刊現代」2026年3月16日号より
