これを目にしたヤマルは、「これは一体、何のふざけたニュースだ?」と激しい憤りを露わにした。その苛立ちは即座に家族にも伝わり、バルサの関係者や弁護士たちは、かつてない事態の収拾に追われることとなった。

 事件が起きたとされる8日の夜、アンス・ファティとその兄はバルセロナの街で父親の誕生日を祝った後、何人かのバルサの選手たちと合流していた。しかし、そこにヤマルの姿はなかった。そもそも彼はその時、バルセロナにさえいなかったのだ。

「バルセロナでパーティーがあるたびに、あたかもラミネの主催であるかのように報じられる。理解に苦しむよ。彼はまだ子供なんだ」
 
 スペイン代表の至宝を身内として支える彼の家族は、そう不満を爆発させた。クラブ側も同様に、「事件現場でもなければ、本人がその場にいたわけでもない。同じ街にすらいなかった人物を無理やり巻き込んだのだ」と、メディアの暴挙に対し猛烈に抗議した。

 ヤマルの弁護士団は即座に動き、彼の自宅で事件が起きたと報じたり、無断で彼の画像を使用したりした各メディアに対して、31通もの警告書を送付した。

「ラミネを本件に関するあらゆる記録から切り離し、名前と画像の不適切な使用を直ちに訂正することを求める。これらは彼の名誉、肖像、そして個人的な評判を著しく損なうものである」

 彼の顧問弁護士はそう強く要求した。ほとんどのメディアは即座に訂正に追い込まれた。

 前述の『CBS』のインタビューで、ヤマルは自らの人生観をこう明かしている。

「人生には、予想だにしない状況に置かれることが多々ある。でも、僕の性格が今日まで生き残る助けになってくれたんだ。最悪の状態にあるときこそ、僕は良いことを考えるようにしている。それが、めったに落ち込まない秘訣だ。フットボールにおいて、そのマインドこそが最も重要なんだ。絶望したり悲しんだりしてベッドに入る日は一日もない。いつも明日は今日より良くなる、週末にはもっと良いプレーができる――そう考えているよ」

 問題は、スポーツ界の不文律が必ずしも現実の人生のルールと一致しないことだ。めったに驚くことのないこの青年は、自分の名前がいかに都合よく消費され、歪められるかという現実に、今もなお驚き、そして辟易している。

 だが、忘れてはならない。彼はまだ、18歳なのだ。

文●ファン・I・イリゴジェン(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸

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