【民泊経営】「先払い」が招く遅延・施工不良の地獄…トラブル事例から学ぶ「悪質な工事業者の対処法」

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民泊用の物件を建てる際に注意したいのは、「工事業者」とのトラブルです。施工管理の段階での業者対応はもちろん、完成後も物件・設備の施工確認などが必要とされます。本記事では、生稲崇氏の著書『民泊旅館投資サバイバル大全』(扶桑社)より一部を抜粋・再編集して、わずか3年で年間CF1000を達成し、見事FIREを実現した民泊旅館投資のプロである著者が、施工に関するトラブルが発生しやすい点について詳しくご紹介します。

「工事業者」のプランが民泊要件を満たすかどうかは別問題

彼らは内装リフォーム営業のプロであって、許可取得のプロではありません。その提案(工事内容)が保健所や消防検査の条件をクリアする保証はありません。

要件を把握しておらず、後から追加工事が必要になる可能性もあります。過去に設備要件はクリアしたものの、建築基準法をクリアしていなかったことがあります。

初心者の人向けにアドバイスをするとすれば、値段・仕様に関しては曖昧にせず明確にしましょう。口頭ではなく、やりとりの履歴を文書で残しておきます。また、見積書もしっかりと確認してください。メーカー、品番は記載されているか。「材工一式」ではなく、材料と人工が分離されているのかどうかが大切です。

全ての提案や見積に根拠があるのかどうか、また、それを自身で判断できるのか。情報弱者だと、見積もりが高くなるのは当然です。コミュニケーションコストが高くなる(行き違いのリスクが高くなる)ためです。

もちろん良い工事業者を見つけるのは重要ですが、工事業者とストレスなくやり取りできる基本的な知識を備えることはもっと重要です。

工事が遅延する・対応が遅い“悪徳業者”の対応策

リフォーム工事の遅延は意外とよくありますが、工事が遅延したらどうしたらいいのでしょうか。その場合、どのような理由で遅延しているのかが重要です。

外壁を塗装するにあたり、雨が降って延期になったなど、理由があって遅れるのであれば許容しますが、原因なしでズルズルと遅れるような場合は、お金の支払いを慎重にしましょう。特に先払いを多くするのはやめてください。

遅延でもっとも困るのは、注意すると「すぐやります!」「頑張ります!」と根拠のない、返事だけ立派なやるやる詐欺のような業者です。運営側としては家賃リスクやローン返済リスクを負うので、本当なのか嘘なのか見切りをつけないといけません。また、遅延時にはその都度、約束を覚書など書面化しましょう。

キッチンの一部を修理する、一部屋分のクロスを張り替える程度の数万円レベルの小規模な工事であれば、トラブルも起こりにくいです。ただ、数十万〜数百万円規模の工事(大規模リフォーム・新築工事)をやるときに起こると深刻なトラブルになる内容です(途中で投げ出されてもお金が戻らないリスクが増える)。

まったく進まなければ、違う会社に頼めないか見積もりを取って検討します。特に金額が数百万円と大きくなる工事は契約解約も慎重に行わないと、賠償責任など支払いの義務も発生しますし、紛争に発展することもあります。

「建って終わり」ではない…施工不良、施工瑕疵(かし)は重点的にチェック

運営前にしっかり施主検収をしていないと思わぬトラブルが発生します。施主検収とは発注者である施主が契約通り工事されているか最終確認することです。

私のケースでは、洗濯パンに水を流せるか確認せず施主検収を終えてしまいました。運営が始まってから2週間後の年末年始に、水が逆流して夜中に階下から猛クレームがあったのです。

やはり必ず事前に動作させて確認しなければいけません。それも極端な動作をさせることが肝心です。エアコンなら、全部一気に点けて最高気温、最低気温にします。アンペア数が足りずブレーカーが落ちることもあり、自分の想定の浅さからくるミスもあると反省したことも。もちろん施工不良でエアコンが効かない場合もありました。

ここでポイントになるのは、お金の支払いを先行させると業者の対応が鈍くなることがあります。

工事業者からは検収後の1週間から10日以内に支払いを求められるのですが、工事後すぐには不具合が見つからない場合もあります。たとえば壁紙がはがれる、床が浮くなどが起こりやすいのですが「使い始めてから起こったんですよね?」と反論されやすくなってしまうのです。やはり、ある程度の時間が経過した後で問題が見えてくるので、支払いはなるべく後ろにしましょう。

具体的には施主検収後に「月末締め翌月払い」のような支払いスケジュールにするのが理想です。そうすれば、運営が始まってから起こる不具合や変化にも、支払い前のタイミングで対応を求めることができます。

ゲストにとっては「初めての部屋」…思わぬ不良が見つかる場所は?

まず、必ず現場を定期的に見に行き現地確認しましょう。図面上で解釈の余地をなくすくらい仕様と配置を決めるのが重要です。コンセントの設置場所も、この時点で指示を明確に出さないと、業者や職人の解釈で付けやすい場所に設置されてしまいますから、しっかりと考えて明確に依頼する必要があります。

見落としがちなのは、Wi-Fiやルーターを設置する場所に、新しいコンセントを付けるのを忘れられたり、スイッチも任せておいたら部屋の奥に付けられて、使いづらくなるようなトラブルです。

もう1つ、リフォームでよくあるのは、ドアの開閉する向きでベッドが部屋に入らないといったトラブルです。ドアの向きが平面図上にないため、「どっち向きでもいいんだな」と勝手に解釈されてしまいます。

壁付けテレビやタオルハンガー掛けなど、平面図上に表示されないものにも注意してください。下地を補強せずに取付され、落下するなど危険です。

特に民泊の場合は、仕様が分かりにくければゲストから問い合わせがありますし、最悪の場合は「使えないよ!」とクレームになります。そういう生活導線は、住居に比べたら宿泊のほうがデリケートにしないと悪いレビューにつながるため要注意です。住居は住んでいる人が経年で学習していきますが、宿泊は毎回初めての人たちが使うからです。

指示の行き違いを生まないためのコミュニケーション

電気工事であったのは、浴室の電灯と換気扇のスイッチの交換を依頼したら、スイッチが1つにまとめられてしまったことです。

スイッチを押すと電灯も空調も付いて、消すと両方が消える1本化にされてしまったのです。この場合も、「2本だから、ちゃんと配線を分けてくださいね!」と伝える必要がありました。おそらく業者の在庫に部品が余っていたなどの理由もあったのでしょうが、常識で考えたら分かることであっても、しっかり指示を出さないと行き違いが生まれます。

ですから「解釈の余地をなくす」のが重要です。図面+仕様書という机上や資料で分かる部分と、定期的に現場まで見に行き、こちらの意図が伝わっているのか意思疎通を図ることです。

生稲 崇

不動産投資家・事業家