NASA=アメリカ航空宇宙局は2025年9月19日付で、無人の月面探査ミッション「VIPER」の探査車(ローバー)について、月面へ運ぶ手段としてアメリカ企業Blue Origin(ブルー・オリジン)の無人着陸船を選定したことを発表しました。


【▲ 月面に到着したNASAの月探査ミッション「VIPER」の探査車(左)とBlue Originの月着陸船「Blue Moon Mark 1」(右)のCGイメージ(Credit: Blue Origin)】

ミッションの中止発表から1年余りで“復活”

VIPER(Volatiles Investigating Polar Exploration Rover)は月の南極周辺に探査車を送り込み、永久影に埋蔵されているとみられる氷(水の氷)の採取・分析を目指すミッションです。


高さ約2.5m・重量約430kgの探査車には長さ1mのドリルと質量分析計が搭載されており、100日間のミッション期間中に表面下からサンプルを採取して、水やその他の揮発性物質の分析を行うことが計画されています。


VIPERミッションの探査車はNASAのCLPS=商業月輸送サービスの下で、当初はアメリカ企業Astrobotic Technology(アストロボティック・テクノロジー)の無人月着陸船「Griffin(グリフィン)」によるミッション「Griffin Mission One(GM1)」で月面に輸送される予定でした。


ところが、探査車そのものはすでに組み立てが完了していたものの、Astrobotic側のスケジュール遅延やサプライチェーンの問題によって、GM1の打ち上げ時期は当初予定されていた2023年後半から延期を重ねることに。コスト増加や他のCLPSミッションへの影響を考慮したNASAは、2024年7月にVIPERミッションの中止を発表していました。


ミッション中止が発表された時点では機器類を将来のミッションで再利用するために探査車を解体する計画を立てているとされていましたが、解体に先立ち、NASAはVIPER探査車を使用したミッションの実施に関する情報提供依頼書を2024年8月に発行。


2025年2月にはVIPER探査車をそのまま提供・使用することを条件にパートナーシップの提案募集を告知しましたが、提案を評価したNASAは2025年5月にこの募集を取り消し、代わりに探査車を月に送るための代替手段の検討を選んだと明らかにしていました。


中止が発表されてから1年2か月で“復活”した形となったVIPERミッションの探査車は、Blue Originの月着陸船「Blue Moon Mark 1(ブルームーンMK1)」で月の南極域に輸送されます。今回の契約もCLPSの下で締結されており、打ち上げ時期は2027年後半に予定されているということです。


 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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