英国王チャールズ3世 自動運転車の普及に向けた新法案制定を約束 「安全性」が課題に
自動運転の普及・発展に向けた法的枠組みを
英国王チャールズ3世は11月7日、即位後初の議会演説で自動運転車について触れ、普及に向けた新しい法律の導入を約束した。
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この法案は自動運転車法案(Automated Vehicles Bill)と呼ばれる見込みで、自動運転技術の安全な導入と商業化に焦点を当て、自動運転車の大量導入に向けた後押しをするものだ。

議会で演説するチャールズ3世 BBC
チャールズ3世は新国会の幕開けを告げる演説で、「閣僚は、自動運転車のような新興産業の安全な商業的発展を支援するための新たな法的枠組みを導入する」と述べた。
現在、英国では完全な自動運転システムは合法化されていない。他国に遅れをとるのを防ぐため、議員グループは政府に対して自動運転車に関する包括的な法案を成立させるよう求めてきた。
自動運転車法案の鍵は「安全性」
英国の自動車関連団体の多くは、このニュースを歓迎しながらも、新法案では安全性を最重要課題とするよう訴えた。
AA(英国自動車協会)会長のエドモンド・キング氏:
「自動運転車の導入計画は、より効率的な移動の機会につながるが、英国の道路に導入される際には安全性が最優先されなければならない」

自動運転に対する国民の理解も求められるだろう。 AUTOCAR
RAC(王立自動車クラブ)の政策責任者サイモン・ウィリアムズ氏:
「本当の意味でドライバーレスのクルマが道路を走るという概念は、一般のドライバーにとってはまだ少しSF的かもしれないが、この法案の必要性を疑う余地はない。技術は急速に進歩しており、英国が取り残されないようにすることが重要」
自動運転技術を開発するスタートアップ、ウェイヴ(Wayve)のディレクター、サラ・ゲイツ氏:
「自動運転業界全体にとって非常に重要なマイルストーンだ。新しい自動運転車法案は、自動運転車の安全な配備のための包括的な責任の枠組みを制定するもので、消費者に対する重要な保護も含まれる」
保険会社アクサのUK・アイルランド部門CEO、タラ・フォール氏:
「(この法案は)人命を救う大きな可能性を秘めている。保険会社にとっても、自動運転に対する責任の所在を明確にするものだ」
まずは道路を整備せよ
自動運転車の普及に先立ち、英国内の道路整備を急ぐよう求める声も上がっている。
RACのウィリアムズ氏は「自動運転技術の恩恵を真に享受するためには、道路の状態を一度整理する必要があります。多くの道路標識が色あせた状態で、ドライバーレス車がどうやって道路を安全に走行できるのか理解するのは難しい」と指摘する。

英国では近年、アスファルト舗装の道路の「ポットホール」が問題視されている。
チャールズ3世もこうした意見を支持しており、「日常の移動を改善するための政府の計画は、AAメンバーの96%が提起した第一の問題、すなわちポットホールと道路状況への対処にもっと焦点を当てる必要がある」と説いた。
英国では、ポットホールと呼ばれる道路の穴やくぼみを原因とする事故・故障が多発し、大きな問題となっている。
英国の自動運転法案には何が必要か?
英国の超党派の運輸委員会は、自動運転車に関する現行法は「古臭く、制限が多い」ため、次の総選挙までに立法化する必要があると述べた。
同委員会のイアン・スチュワート委員長は次のようにコメントしている。

自動運転車は、技術だけでなく法整備も重要な課題となっている。
「SDV(自動運転車)は、英国の偉大な成功事例であり、他の多くの国に対して競争上の優位性を持っています。しかし、もし政府が次の総選挙の前に、次の議会で法案を提出しなければ、その苦労は水の泡になりかねません」
「SDVの普及は、その安全性やセキュリティに対する国民の信頼、他の道路利用者への影響の可能性など、さまざまなハードルに直面しています。政府がSDVを普及させようとするならば、これらの厄介な問題に対処する必要があります」
「わたし達は、政府が慎重かつ段階的なアプローチをとるべきであり、SDV技術を導入するのは十分に定義された状況においてのみとすべきであると考えています。そうでなければ、意図しない結果を招く危険性があります」
委員会に所属する議員らは、自動運転車には「有能で注意深い人間のドライバーと同等の安全レベルが期待される」という政府の案に疑問を呈し、「あまりにも弱く、漠然としている」と指摘している。
委員会はまた、自動運転車が普及した世界における人間の運転について戦略を打ち出すべきであり、これには運転免許試験の変更や、自動運転車に対する理解促進のための計画も含まれると述べた。
自動運転車の法的責任は、所有者と車両オペレーターの間で共有されるため複雑になると見込まれる。委員会は政府に対し、この点についてより深く検討するよう勧告した。
