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モニターは15インチ 車内はパサートより広々

フォルクスワーゲンID.7のドアを開き車内へ身を置くと、高めのウエストラインと小さめのグラスエリアが相まって、適度な包まれ感がある。試作段階ながら、インテリアの品質は従来のID.シリーズより間違いなく高い。

【画像】準備着々のパサート級EV フォルクスワーゲンID.7 プロト ID.4とバズ 競合サルーンも 全119枚

内装素材はどれも上質で、硬質なプラスティック製部品は限定的。居心地が良い。


ドライバーの正面には小さなメーター用モニターが据えられ、拡張現実機能付きのヘッドアップ・ディスプレイが、フロントガラス側に用意される。だが特に目を引くのは、ダッシュボード中央の大きなインフォテインメント用タッチモニターだろう。

サイズは15.0インチあり、最新版のシステムが稼働する。ホーム画面が一新し、前バージョンより直感的に操作しやすいと感じた。メニュー構造は見直され、音声認識機能も理解度を増したようだ。

同社がスライダーと呼ぶタッチセンサーで、エアコンの温度調整などがまかなわれることは、他のID.と同様。とはいえイルミネーションが追加され、夜間での使い勝手は改善している。

上級サルーンらしく、ベンチレーションやマッサージ機能を内蔵した、エルゴアクティブ・シートに加えて、ハーマン・カードン社製の高性能オーディオもオプションで選べる。アンプの出力は700Wあり、14本のスピーカーで豊かなサウンドを楽しめるはず。

車内空間は、Aピラーがフロント側に寄せられたおかげでパサートより広々。ダッシュボードは奥行きがあり、フロントガラスが遠い。リアシート側は、リムジンと呼びたくなるほどのゆとりがある。

素直で活発で、運転しやすい

従来のID.シリーズでは、ギアセレクターはメーター用モニターの横に付いていた。だが新しいID.7では、ステアリングコラムからレバーが伸びている。その先端をひねると、発進準備は完了する。

1段階ひねると、デフォルトのD(ドライブ)モード、2段階ひねると、回生ブレーキが強くなるB(バッテリー)モードになる。それ以外にもドライブモードは用意されているが、選ぶにはセンターモニターを介する必要がある。


エコとコンフォート、スポーツ、インディビジュアルの4種類があり、パワートレインやステアリングの特性が変化する。ダイナミック・シャーシー・コントロール(DCC)装備の場合は、アダプティブダンパーも変化する。

スペインの一般道を走らせてみると、ID.7はパサートのように素直で活発で、運転しやすいことがわかる。軽くない約2.0tの車重を、巧みに包み隠している。0-100km/h加速時間などは不明だが、アイオニック6に迫ることは間違いなさそうだ。

アクセルペダルを少し深めに傾けた途端、55.4kg-mの最大トルクが放たれる。スポーツ・モードを選べば、驚くほどレスポンスは鋭い。速度が上昇しても、加速の勢いは衰えにくく、リアアクスルのトルクベクタリング機能が優れた回頭性を生んでいる。

若干曖昧なアクセルとブレーキの感触

高速道路の速度域では、高級車と呼べる洗練された印象が車内に広がる。風切り音は小さくロードノイズは遮断され、安定性も高く、リラックスして長距離移動をこなせるだろう。ただし、アクセルペダルの操作に対する速度上昇は、もう少し線形的でもいい。

ブレーキペダルを踏んだ感触は、少し曖昧に思えた。減速時にどれだけペダルへ力を込めれば良いのか、やや判断が難しい。発進・停止が多い市街地などでは、回生ブレーキが強くなるバッテリー・モードが適しているかもしれない。


後輪駆動らしい、流暢な操舵性は好ましい。ステアリングホイールにはフィードバックが殆ど伝わってこないものの、重み付けは丁度良く、コーナリング時の安心感も高い。ダイレクトにフロントノーズを導ける印象だった。

ホイールベースは長いものの、ID.7に後輪操舵システムは搭載されていない。にも関わらず、フロントタイヤのグリップ力は高く、アダプティブダンパーが素早く姿勢を制御し、意欲的に向きを変えていく。

サスペンションのストロークが長く、コンフォート・モードではしなやかな乗り心地に浸れるが、軽くない車重のためか上下動は少し大きめ。うねりを越えた場面など、揺れを1発で収めきれない場面もあった。細かな入力に対しては優秀だ。

BEVサルーンとして印象的な完成度に

試作車のID.7への試乗時間は限定的だったが、実用的なBEVサルーンとして印象的な完成度に達することは想像に難くない。高度に洗練された動的能力と、先進的なデジタル技術、不満ない航続距離を叶えることになるだろう。

パサートのように、価格価値での優位性は得にくいかもしれない。英国で支持を集めるのは、パサートのように使い勝手で勝るステーションワゴンになるだろう。それでも、一足先にやってくるサルーンを正式に味わえる日が待ち遠しい。


フォルクスワーゲンID.7 プロトタイプのスペック

英国価格:約5万ポンド(約805万円/予想)
全長:4961mm
全幅:1862mm
全高:1538mm
最高速度:−km/h
0-100km/h加速:6.0秒(予想)
航続距離:700km(予想)
電費:−km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:約2000kg(予想)
パワートレイン:AC同期モーター
駆動用バッテリー:85kWh
急速充電能力:200kW(DC)
最高出力:286ps
最大トルク:55.4kg-m
ギアボックス:シングルスピード