一進一退続くドル円相場、それでも長期トレンドは「円安」か? 外為オンライン・佐藤正和氏
−−1ドル=137円の大台を突破しましたが、7月もドル安は続くのでしょうか……?
たとえば、1998年以来となる1ドル=137円の大台に乗った時も、東京時間では上値が重かったものの、ニューヨーク市場では朝方にかけて、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の発言等がきっかけとなって、137円の大台を瞬間的とはいえ「到達」してしまいました。
多くの投資家にとって未体験ゾーンですが、この状況は当面続くと考えて良いのではないでしょうか。「1歩後退、2歩前進」という動きが多く、結局はドルが買われて円が売られていく形になっていきます。
――米国経済のリセッション懸念さえ出ていますが?
確かに、急激なFRBによる金融引き締めによって、米国経済が景気後退(リセッション)に陥るのではないかと懸念されています。最近も、ブルームバーグ・テレビジョンの番組でサマーズ元財務長官が「今後2年以内に米国がリセッション入りする確率は70〜80%」と述べています。
言い換えれば、FRBはたとえリセッションに陥ろうとも、現在のインフレを退治することが優先だ、と考えているのだと思われます。実際、7月26日−27日にかけて実施されるFOMC(米連邦公開市場委員会)では、0.5%もしくは0.75%の利上げが確実視されています。
インフレ率を示す最も重要な指標である5月の「PCEデフレーター」が6月30日に発表されましたが、前年比6.4%と予想されていたところ「同6.3%」となり予想を下回りました。また、FRBが最も重視する食料品やエネルギーを除いた5月の「PCEコアデフレーター」も、前年比4.9%の予想のところ「同4.7%」となり、ここでも予想を下回っています。金融引き締めの効果がわずかですが、出てきた兆候かもしれません。
このほか、7月8日に発表される「雇用統計」、そして7月13日に発表される「CPI(消費者物価指数)」などの結果が、金利の上昇幅に影響を与えるかもしれません。いずれにしてもFRBの「インフレ退治」に対する決意は固く、日米との金利格差や金融政策のスタンスの違いによって、当面円は売られることになると思います。
――ECB(欧州中央銀行)も7月に0.25%の利上げを表明していますが、影響は……?
日本銀行の金融政策は、FRBとの違いに加えて、最近突然の利上げをした「スイス中央銀行」、そして「ECB」と比較しても明らかな違いがあります。とりわけ、ECBは7月21日の理事会で「0.25%」の利上げを実施するとアナウンスしています。
一部では、「0.5%」の利上げになるのではないかとも予想されていますが、いずれにしても世界は揃って金融引き締めに向かっているわけですが、日本銀行だけが金融緩和を維持しており、その姿勢の違いが「円の独歩安」を誘発しているとみて良いでしょう。
今回のインフレは、その背景に「気候変動」や「ロシアによるウクライナ侵攻」といった地政学リスクもあり、極めて構造的、非伝統的な要因が引き起こしており、そう簡単に解決できるものではありません。このインフレは長引くということです。
