下北沢は若者の街から多様性の街へ GW東京グルメ散歩(6)

古着、レコード、演劇……コアなカルチャーが混在する下北は若者の街の印象が強かった。しかし!「下北線路街」の登場で温泉旅館やワインショップなどが続々誕生。おとな世代でも散歩を楽しめる街になってきた。今の下北を象徴するスポットを紹介したい。
おとなにも楽しい下北沢が現る!?
「下北沢で温泉!?」――一瞬、うまく結びつかなかった俺は、恥ずかしながら少々動揺した。 下北沢といえばミックスカルチャーの街だ。古着屋やライブハウス、劇場やカレー屋……。入り組んだ路地の中に、個性的な小さな店が数々。人によって目的は違えども、散策が楽しい街。どこかアンチメジャーな雰囲気もあって、若い頃はよく夜中まで飲んでいたし。
その下北沢が、だ。ここ数年、また新たな顔を加えて進化しつつあるっていう話。起爆剤は小田急線が地下化した跡に生まれた“下北線路街”らしい。しかも、温泉と聞けばすでに“大人な”俺の食指も動く。「ゆっくり温泉に浸かりながら、新しい下北沢を満喫しようじゃない」――いいねえ。これはもう実際に行ってみるしかない!
その温泉、より正確には温泉旅館の名前は『由縁別邸 代田』だ。下北線路街は下北沢駅を中心に世田谷代田駅から東北沢駅まで1.7km。この宿は世田谷代田寄りに位置している。 で、その建物を前に再び驚いた。シックな木塀と植栽。目の前に現れたのは実に落ち着いた佇まいの和モダンな温泉旅館。聞けばその建物は築100年以上の屋敷から譲り受けた建材や景石を随所に使っているとか。昔から世田谷代田にあったかのような佇まいなのだ。
“神隠し”にあったような下北時間の不思議
早めにチェックインしたら、早速大浴場へ。広々と庭に開けた内湯には心地いい水音が響く。ヒバの露天風呂には箱根の源泉から運ばれた湯が湛えられ、やさしいあたりの湯にじんわり癒されていると時空を超えていくような気分に。ちなみに朝の陽の中で入るのもおすすめだ。
ひとっ風呂浴びてさっぱりしたあと、懐かしの下北タウンに。終電を気にすることもなく満喫。が、お楽しみはそれでは終わらない。おすすめは【こだわりの和朝食】付プラン。土釜で炊いたピカピカのご飯に焼きたての旬魚。ふわふわの出汁巻き玉子と前菜、小鉢、煮物……一つひとつ吟味された心尽くしの和朝食で一日が始まるシアワセ。これぞ旅館の醍醐味でしょ。身も心もリフレッシュしたその足で、さらに下北沢を探訪するぞ!

『由縁別邸 代田』の情報
住所:東京都世田谷区代田2-31-26
TEL:03-5431-3101
利用時間:チェックイン15時〜、チェックアウト〜11時、※温泉の営業時間16時〜翌1時、6時〜13時(休日は14時まで)
利用料金:[こだわりの和朝食]朝食付プラン大人1名15,100円〜
交通:小田急線ほか下北沢駅南西口から徒歩8分、世田谷代田駅東口から徒歩1分
個性的な個人店集結下北的遺伝子は続くのだ
さて、さらに新しい下北沢を巡ろう。冒頭にも書いた全長1.7kmの“下北線路街”。その全貌はまだ整備中の部分もあるが、下北沢駅を挟んで世田谷代田寄りに「ボーナストラック」、東北沢寄りに「リロード」というふたつのスポットがすでに登場して注目を集めている。
まずは「ボーナストラック」。テーブルや椅子が配された居心地のいい広場を囲むようにして、ユニークなお店が14店ほど。たとえば、世界中の発酵食品を扱う「発酵デパートメント」、どこよりも集中して本を読める空間「fuzkue」、台湾のアーティストに出合えるレコード店でもあり、魯肉飯も旨い「大浪漫商店」……等々。いずれも他にない新しさに満ちていてワクワクする。雰囲気もフレンドリーで、遊歩道で犬の散歩をする人など地域とも密着化。
そして「リロード」。こちらはモダンなコンクリートの建物の中にすべて揃えば24
店舗。目指すは新しいカルチャーを共創するユニークな「個店街」だそうで、ひと味違ったハイクオリティな個店が並ぶ。コーヒーカルチャーを体感できる小川珈琲のフラッグシップ店やナチュラルワインのセレクトショップ&スタンドバー、かと思えば粋な小皿料理やドリンクが充実した立ち飲み、バーバーや花屋も。これまた新鮮な予感に満ちていてあちこち覗くのが楽しい。
近年、再開発というとハコはオシャレでもチェーン店が並び、どこも似たような顔の街並みになってガッカリということが多い。だけど、新しいスペースに続々と色のある“個店”が登場し、新たな胎動を始めているのが下北沢であり、新たなカルチャーなのだ。この街のDNAはしっかり受け継がれていて、おとなにとってもますます面白い。これは当分目が離せそうにないな。
『BONUS TRACK(ボーナストラック)』 小さくて個性的な店が集まる世田谷代田寄りに誕生
イメージは小さな街。ほどよいサイズの広場を囲み、個性の立った飲食店や物販店に加えて、コワーキングスペースやシェアキッチンも。魅力的でインディペンデントなお店の集合体がとても楽しいのだ!

住所:東京都世田谷区代田2-36-12〜15
交通:小田急線ほか下北沢駅南西口から徒歩5分、世田谷代田駅東口から徒歩2分
『発酵デパートメント』 まずは一杯お試しあれ!めくるめく発酵ワールド
合言葉は「世界の発酵、みんな集まれ!」。店内には日本全国から世界各地まで、ユニークな発酵食品や食材、お酒などがひしめく。さらに楽しいのが“発酵角打ち”。販売している発酵食材や調味料を使って生み出されたアジアンなつまみとお酒で一杯できる。仁井田本家の燗酒しかり、“ふしぎおいしいお酒”に発酵の旨みや心地いい酸味のハーモニーが相当イケる!


スタッフ・藁澤友紀さん「人気のごど丼や発酵ハヤシライスなどオリジナルの食事もご用意しています」
住所:BONUS TRACK 中央棟1
営業時間:11時〜18時(土・日・祝〜19時) ※飲食11時半〜16時LO(土・日・祝17時LO)
定休日:不定休
『Why_? 下北沢』 ここに来れば本日もフレッシュ&ヘルシーだ!
代官山のフレッシュジューススタンド「Why Juice?」の姉妹店として登場。コンセプトは「野菜と果物の美味しい生活」を届けるグローサリーストアだ。栄養素が失われるのを抑え、熱を加えず搾りきるコールドプレスジュースは、フレッシュでクリア。選りすぐりの安心・安
全・旬の美味しさが染みる。こだわりのファームから届く野菜やデリなど“体にうれしい”が揃う店だ。


店長・藤田彩香さん「旬の食材を大切に繊維もムダにせずフレッシュな味わいに仕上げてます」
住所:BONUS TRACK soho7
TEL:03-6805-5380
営業時間:11時〜19時(短縮営業中)
定休日:無休
『大浪漫商店』 魯肉飯とともに台湾のインディカルチャーを発信
日本と台湾を繋ぐ音楽レーベルBIGROMANTIC RECORDSが運営する、台湾のソウルフード「魯肉飯」の専門スタンド。店内には自社レーベルグッズやレコードも展示販売され、プレイヤーで試聴もできる。おすすめは麻辣とスタンダードあいがけの「魯肉飯」や台湾
式白菜の煮込み「滷白菜」。これに3種揃った台湾クラフトビールがゴキゲンに合うのだ。


スタッフ・ミンアンさん、ユミさん「台湾のインディーズカルチャーを衣食酒と一緒に楽しんでください」
住所:BONUS TRACK soho5
営業時間:11時〜23時
定休日:無休
『本の読める店 fuzkue』 ノンストレスでともかく読書に没頭したいなら……
「映画館が映画を観るための場所ならば、ここは本を読むための場所」。ともかく何の邪魔もプレッシャーもなく、静かに愉快な読書の時間を過ごすための店だ。本棚には店主やスタッフの私物の本もぎっしりあり、それを読むのもOK。コーヒーやお酒、食事(いずれも美味)の注文もでき、注文するごとに席料が安くなり、4時間いても2000円前後。ほぼ一定額で過ごせる。


住所:BONUS TRACK soho6
営業時間:12時〜23時半
定休日:無休
料金目安: ※オーダーごとに小さくなっていくお席料制(900〜0円)1時間フヅクエ/1000円ちょっと、1時間以上〜4時間/2000円前後
『reload(リロード)』 バーバーもあれば、花屋や立ち飲みまで 東北沢駅寄りに登場
多彩なカルチャーと多様な価値観を包み込んできた下北沢。その面白さを新しい仲間たちと復活・共創したいと願う「個店街」だ。だからバーバーもあればワインショップや花屋も。ワクワクするような新しさに期待!

『OGAWA COFFEE LABORATORY 下北沢』 自分の好きなコーヒーに出合える、まさに実験室!
京都「小川珈琲」のフラッグシップショップで、コンセプトは“体験型ビーンズサロン”。バリスタと1対1の対面で、フレーバーコンパスを覗き込みながら常時21種類以上あるコーヒー豆から好みのものを、抽出方法も3種類から選べ、目の前で抽出。豆を購入しての抽出体験や、小型焙煎機による焙煎体験などもでき、まさに実験室。美味しく淹れるメソッドを学べるのだ。


住所:reload1-1
TEL:03-6407-0194
営業時間:8時〜20時(19時半LO)
『Pero』 イタリアのナチュラルワインを気軽にグラス一杯から!
飲めて、買える、三軒茶屋のワインストア&スタンド「Pero」の2号店。セレクトは生産者の顔が見えるイタリアのナチュラルワインが中心。運営するのはやはり三軒茶屋のイタリア料理店「ブリッカ」だ。スタンドでは毎日10種類ぐらいのワインが開けられていて、0次会でも2次会でも、グラスで気軽に一杯から楽しめる。ワインとの距離が自然に縮まる小さな空間だ。


マネージャー・森田雅人さん、ソムリエール・北川結望さん「飲み頃をむかえた 気軽にグラス一杯から!心地いいワインを用意してお待ちしています」
住所:reload1-13
TEL:03-6407-8125
営業時間:15時〜22時、土13時〜22時、日13時〜19時
定休日:火
『立てば天国』 気の利いた小皿とお酒で心を満たす立ち飲みタイムを
ぽっかりと空に抜けた2階テラスに建つ、どこか新しい立ち飲み酒場。つまみは美味しいものをちょっとずつ楽しめる小皿料理でメニューもたくさん。居酒屋料理に「アジアのエッセンス」が利いたアレンジが楽しい。三冷ホッピーから、本日の隠し酒、7種のスパイスジンなど香りのいい国産の蒸留酒のソーダ割りなども。店名そのままに、天国気分で立ち飲みを満喫できる。


店主・鈴木悠基さん、店長・星野聖也さん「お一人様専用のセットもあり、唐揚げも1個から注文できます」
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TEL:070-4731-1110
営業時間:16時〜23時、土・日・祝14時〜23時
無休 予約不可/カード可/
お通し代300円別
『STABLER Shimokitazawa Meatstand 2nd』 アメリカンビール片手に思いっきりかぶりつけ!
アメリカンワーククロージングのブランド「STABLER」がプロデュース。50’sや60’sを思わせるポスターや古着も飾られた店内は、どこか懐かしい心地よさ。そしてここで出合えるのが、超ド級、牛サガリ肉がガッツリ挟まれたボリューム満点のミートサンドだ。肉は脂身が少なくて柔らか、カリッと焼けたパンも。ここに瓶のアメリカンビールを合わせれば言うことなし!


店主・鈴木悠基さん「オリジナルのバーベキューソースとマスタードが決め手です」
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TEL:03-5738-8633
営業時間:11時〜20時
定休日:無休
撮影/貝塚隆、大西尚明(発酵デパートメント)、取材/池田一郎
※2022年3月号発売時点の情報です。
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