なぜ大阪市は「なにわナンバー」なの? 「大阪ナンバー」が採用されない理由とは

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大阪市はなぜ「なにわ」? 「大阪」ではない理由とは

 ナンバープレートには、そのクルマが登録されている地域を表す「地名」が表示されています。

 大阪府には「大阪」ナンバーが存在しているものの、なぜか大阪市で登録されたクルマは「なにわ」ナンバーとなります。どうして大阪市は「なにわ」なのでしょうか。

なぜ大阪市は「なにわナンバー」なのか? 「大阪ナンバー」が採用されないワケ

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 日本のナンバープレートには、「ひらがな」「分類番号」「一連指定番号」、そして「地名」の4つが表示されています。

 ナンバープレートは、クルマが車検を経て国に登録されていることを表しているものであり、公道を走るクルマにはナンバーの表示義務があります。

 なかでも「地名」は、そのクルマの「使用の本拠地」を表しており、地名を見ることでクルマの持ち主がどの地域に居住しているかが大まかに予測できます。

 しかし、大阪府には「大阪」という地名がナンバーに存在するものの、なぜか大阪市に登録されたクルマは「なにわ」で登録されています。

 一方で、東大阪市や高槻市、摂津市など大阪府の東側に位置する18の市町村は「大阪」ナンバーです。

 一体、なぜ大阪市は「なにわ」ナンバーになるのでしょうか。

 大阪市のナンバーが「なにわ」であることについて、国土交通省の担当者は以下のように話します。

「ナンバープレートの地名は、クルマの使用の本拠地を管轄する運輸支局、もしくは自動車検査登録事務所の名前からつけられます。

 なにわナンバーのクルマは、大阪市住之江区にある『なにわ自動車検査登録事務所』で登録されたクルマとなっています」

 では、なぜ大阪市の自動車検査登録事務所は「なにわ自動車検査登録事務所」となっているのでしょう。

「大阪市の自動車検査登録事務所が『なにわ』と名付けられたのは、かなり昔の話になるため、当時の経緯については不明です。

 しかし、自動車検査登録事務所を変えるためには、国土交通省の省令から変えることになるので、しっかりと協議などをおこなう必要があります。

 現在、大阪市がなにわナンバーであることについて不満の声などは見られないため、なにわ自動車検査登録事務所はこのまま継続される予定です」(国土交通省の担当者)

※ ※ ※

 なお、国土交通省が定めるナンバープレートの規定としては、「行政区画や旧国名などの地理的名称であり、当該地域を表すのにふさわしい名称であること」「当該地域名が全国的にも認知されていること」「読みやすく、覚えやすいものであるとともに、既存の地域名と類似し混同を起こすようなものでないこと」などが挙げられます。

 大阪市付近は、かつて「浪速(なにわ)」と呼ばれており、現在でも一般的に大阪市近辺を「なにわ」と認識している人は多いようです。

 さらに、「なにわ」のひらがな3文字表記はナンバープレートの地名としても視認しやすく、ほかの地名との誤認も避けられるため、「なにわ」が地名としてふさわしいとされたのかもしれません。

運輸支局・自動車検査登録事務所がない地域名も多い?

 大阪市の場合は、ナンバープレートは「大阪」ではなく、あくまでも自動車検査登録事務所の名前からとって「なにわ」と名付けられています。

 一方、たとえば東京都では「江東」「杉並」「世田谷」というように、運輸支局・自動車検査登録事務所が存在していない地名のナンバーもあります。

 このように、運輸支局・自動車検査登録事務所の名前ではない地名がナンバープレートに見られるのはなぜでしょうか。

「江東」「杉並」「世田谷」といったナンバーは「ご当地ナンバー」というもので、2006年からはじまりました。

 ご当地ナンバーは、条件や基準を満たした市区町村が国土交通省に追加を申請できるもので、ナンバープレートをクルマの識別だけでなく、地域振興や観光振興にも活用するために導入されました。

 2006年の第1弾では「仙台」や「成田」などの19のご当地ナンバーが追加され、2014年の第2弾では、前述の「杉並」や「世田谷」といった10のナンバーが追加されました。

浸透してきた「ご当地ナンバー」 導入基準はどうなっている?

 申請には基準としては、「対象地域内の登録自動車の数が10万台を超えていること」「ご当地ナンバープレートを活用した地域振興・観光振興のための方針を有していること」「図柄入りナンバープレートを併せて導入することを原則とする」「対象地域内において、地域住民の合意形成が図られていること」などが挙げられます。

 また、前述した国土交通省が定めるナンバープレートの規定も満たしている必要があり、どんな地域でも申請できるというわけではありません。

 ただし、ご当地ナンバーは、近隣の市区町村と合同で申請することもできるため、基準のなかの「10万台を超えていること」などが満たせていない場合でも、複数地域の協力でご当地ナンバーが申請できる可能性があります。

※ ※ ※

 国土交通省によると、ご当地ナンバーの申請は、頻繁に受け付けられているというわけでないようです。

 次回の受付がいつおこなわれるかはまだわかりませんが、今後、自身が在住している地域も地名として登録されるかもしれません。