フラッシュメモリーだけでなくDRAMも使えた「Miniature Card」:スイートメモリーズ File059
[名称] Miniature Card
[種類] フラッシュメモリー、DRAM、ROM
[記録方法] 専用端子(60+3)
[サイズ] 38×33×3.5mm
[容量] 〜64MB
[登場年] 1995年頃〜
今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。
「Miniature Card」は、記録素子としてフラッシュメモリー、DRAM、ROMなどを使用したカード型メディア。インテルによって開発され、1998年2月にPCMCIAで規格化されました。
小型機器で利用できる汎用的なメモリーカードとして考えられていたため、バス直結でメモリー空間にマッピングされる仕様となっています。雑にいれば、基板上に実装されるような各種メモリーを外部から交換できるようにしたもの、という感じです。
特殊なコントローラーがいらないため、カード自体の構成はシンプルですが、バス直結となるため動作中の挿抜には基本非対応、アドレスの制限から最大でも64MBまでとなっているなど、いくつかの制限があります。
とはいえ、登場当時としては頻繁に挿し替えて使うようなものではないですし、扱うデータもそこまで大きくなく、十分な容量があったことから、一般向けではPDAやデジタルカメラ、ボイスレコーダーなどで採用されました。
なお、一般じゃない用途向けとしては、Ciscoのルーターで使われています。また、確認できてないのですが、聞いた話では銀行ATMなどでも採用されていたとか。遠隔からできないシステム改修だと、ROMごと交換するのが手っ取り早いですから、組み込み用途での需要は意外とあったのではないでしょうか。
Miniature Cardのサイズは、38×33×3.5mm。コンパクトフラッシュより若干小さめというと、想像しやすいでしょう。端子はピンではなくパッドとなっており、着脱時にピンが曲がる、折れるといった心配がありません。
それでは、実際のMiniature Cardを見ていきましょう。

表面に書かれている通り、容量は2MBで電圧は3.3V/5Vの両対応。下部に見える3つの接点は、左からGND、CINS、Vccとなっています。CINSはカードの検出用で、カードが装着されているかどうかの判断に使われます。残りのGNDとVccは、電力供給用ですね。
続いて裏面です。

こちらは60もの端子が並んでおり、ここにアドレス/データバスと制御信号などが集約されています。また、ラベルに書かれているように、書き込み禁止のスライドスイッチが側面(写真でいえば左側)の奥まったところに配置されていました。
ユニークなのは、端子との接続に使われるのがよくある金属接点ではなく、エラストマー……導電性のゴムとなっていること。「ナニソレ?」という人は、ガラス基板のモノクロ液晶の接点に使われているアレだといえば分かるでしょうか。古い電卓やポケコンなどを分解すると出てきたりするのですが……余計分かりにくいですね。
PCカードへと変換するアダプターの接点が分かりやすかったので、アップで紹介しておきます。

シマシマになっているのが、エラストマーの接点部分。導電性と絶縁性の2つの素材が交互に並んでおり、端子1つ1つに接続されるようになっています。このエラストマーは弾力性があり、押すと凹み離すと元に戻ります。これにより、端子と密着できるわけです。
一般向け製品でこのMiniature Cardを採用していたものは、PDAでは日本未発売のWindows CE搭載ハンドヘルドPC「Philips Velo」シリーズの2モデルくらいで、かなり限られていました。
このVeloシリーズはDRAM用とFlash/ROM用の2つのMiniature Cardスロットを備え、メモリーとストレージの両方を拡張できるという特徴がありました。Miniature Cardで想定されていた使い方の理想形ともいえるものです。

写真は、ジャンクで入手した「Philips Velo 500」のDRAM用スロット部分。なお、Miniature Cardはすでに抜かれており、DRAMカードが手に入るかもという淡い期待は裏切られました😢
日本で発売された製品でいうと、デジタルカメラのコニカ「Q-EZ」、ボイスレコーダーのオリンパス「Voice-Trek VT1000RV」の2つの製品があります。というか、探した限り2つしか見つかりませんでした。
ちなみに今回紹介している2MBのMiniature Card(とPCカードアダプター)は、このボイスレコーダーの付属品です。

ボイスレコーダーのスロットに、Miniature Cardを挿し込んでみたところ。ボイスレコーダーだけに、わざとマイクロカセットっぽさを残しているのではないかとか、勘ぐってしまいます。
高価なコントローラーを搭載しないため比較的低価格に作れることや、DRAMなどストレージ以外にも対応できる汎用性から、小型機器、とくにPDAに向いていたのは確かです。ただし、スロットが必要なぶんコストが上がること、また、PDA本体の小型化が難しくなるというのが悩みどころでした。
さらに、メモリー関係よりもCPUを含めたハードの進化が速く、コストをかけて交換できるようにするメリットがあまりなかったというのも、採用が進まなかった理由でしょう。
純粋にフラッシュメモリーを使った小型ストレージとして考えた場合、ほぼ同時期にATAコントローラーを搭載した汎用性の高いコンパクトフラッシュや、シンプルで廉価なスマートメディアが登場してきたというのも逆風でした。
連載:スイートメモリーズ
参考:
Miniature Card Specification Adopted by PCMCIA for Small Flash Memory Card Standard, Wayback Machine
PCMCIA、米Intelの「Miniature Card」を標準仕様として認定, PC Watch
Miniature Card Primer, PCMCIA, Wayback Machine
コニカ、ミニチュアカード採用の普及型デジタルカメラを発表, PC Watch
Q-EZ, コニカ, Wayback Machine
Voice-Trek VT1000RV, オリンパス
