※写真はイメージです(以下同)

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 コロナ禍以降、人々の意見が真っ向から対立するなど、世の中が「分断されている」と感じてしまうような事例が目立つようになってきた。たとえば、コロナに対して過敏になりすぎるあまり「マスク警察」などと呼ばれる人が登場する一方、「コロナは風邪だ」と主張する政治団体まで現れた。

 こうした分断を肌で感じているのが、テレビ局や新聞社など、マスコミで働く人々なのである。

◆視聴者センターに寄せられる「ご意見」に見られる“分断”

 都内キー局の「視聴者センター」で、視聴者から寄せられるメールや電話を受ける部署に勤務する斉藤伊都子さん(仮名・30代)が疲労を滲ませる。

「昨年の3月以降、視聴者センターへのご意見は確かに増えました。テレビ出演者が密になっている、マスクをしていないじゃないか、などといったご意見が多く寄せられています。出演者はPCR検査を受けたり、検温も体調管理もしっかりしたうえで収録や出演を行っているのに、それで危険というのなら、もう何もできなくなってしまいます」(斉藤さん、以下同)

 寄せられる「ご意見」の多くは「クレーム」なのだというが、ここにも分断が見られる。いったい、どういうことなのか?

◆コロナのニュースを流しても流さなくても…

「緊急事態なので、ニュース以外を流すな、テレビなんか不要不急だ、と怒鳴られる視聴者も少なくありません」

 そして、新型コロナウイルスのニュースを流せば、今度は“他方”の人からの意見が殺到するという。

「コロナウイルスなんか存在しない、という主張です。テレビ局は、市民をコントロールしてお金を儲けているだの、コロナが存在しないことを本当は知っているだろうとか、志村けんさんは本当は生きていると報道しろ、なんてものまで。

 なかには電話を何時間も切ってくれない人や、私どもの応対を録音し、ネットにあげる人もいます。クレームは普段からある程度ありますが、意味不明の“ご意見”が、コロナでさらに増えたという印象ですね」

 ほとんど言いがかりに近い「ご意見」にも四六時中対応しなければいけないというのだから、斉藤さんがゲンナリするのは無理もない。

◆記者のSNSアカウントに大量のDM

 全国紙の東京本社勤務・依田武明さん(仮名・50代)も、読者から寄せられるご意見に「ワケのわからないもの」が増えたと嘆息する。

「最近多いのが、米大統領選の“不正選挙”を報じろ、というやつですね。トランプ大統領が負けたのはバイデン次期大統領側に不正工作があったからだ、という主張ですが、電話や投書が止まず、記者が個人でやっているSNSを調べては、そこに何十という数のご意見が送られてきています。たしかに色々な見方がありますが、トランプ大統領が属する共和党も、トランプ氏の敗北を事実上認めているのに……」(依田さん)

 依田さんの元にも、菅首相の動静を報じるだけで、やはりご意見が飛んでくるという。

「菅首相の動静なんか報じるな、自民党のことを取り上げるなんて右翼か、という風にくるんですね。右とか左というだけでなく、情報を俯瞰的に見る人と、自分の信じたいことしか信じない人の分断とでも言いましょうか……そんな気がしています」(同)

 アメリカでは大統領選の決着はついたものの、納得できないというトランプ大統領支持者が米議会になだれ込み、暴動を起こして死者まで出る事態に発展してしまった。

◆「望遠レンズは怖くて使えない」カメラマン

 そして、ここ日本でも「分断の果て」が垣間見られるという。こちらは大手通信社の関西支局カメラマン・山根拓哉さん(仮名・30代)の経験談。「商店街で人の出を撮影していると、後ろから蹴りを入れられました。抗議したところ『嘘をつくな』と詰め寄られまして……」(山根さん、以下同)