お好み焼きの本場・大阪と広島。大阪では具材を混ぜて焼くのに対し、広島では麺を入れて重ね焼きするのが主な特徴だ。

一般的には「関西風」「広島風」と区別されているそれぞれのお好み焼きだが、時にはこの呼称を嫌がる地元民もいる。

自分たちにとってノーマルなものが、○○風とまるで「別枠」のように捉えられることが耐えられないのだろう。特に、広島風お好み焼きのことを「広島焼き」を呼ぶのはご法度――そんな話が、ネット上でたびたび話題となっている。

これからも永遠に続くと予想される関西風VS広島風の仁義なき戦い。しかし新潟のある商業施設でこんな店頭POPが発見され、ツイッター民に衝撃を与えている。


関西風広島焼き...?(画像は理子@rikleo04さん提供)

「関西風広島焼き」

いったいこれまでの論争は何だったのか――。

両者の違いを知る者からしてみれば、矛盾した2つの言葉を組み合わせたといっても過言ではない。混ぜて焼くのか、麺は入っているのか...?どんな商品かは想像できないが、前向きに考えれば、長きにわたるお好み焼き論争を解決してくれるかもしれない。

この写真は、2020年7月6日、ツイッターユーザーの理子(@rikleo04)さんが、

「先程『広島風お好み焼きという表示許すまじ!!』という怒りのツイートを見かけましたが、新潟までくるともはやなんのことかわからなくなっています」

といったコメントとともに投稿。8日夜時点で1万3000件超のいいねが付いている。

「関西風広島焼き」の正体は...

ツイッターではこのPOPに対し、

「どっちやねんwww 大阪は笑ってくれても、広島の過激派はキレてそうwww」
「新潟にあった『関西風広島焼き』の文字、それが後に人類の6割を滅ぼす『お好み焼き戦争』の引き金になるとは、誰も想像できなかった...」
「一応これは広島支持かな?」
「他の地域から見たら、そんな細かいことにガタガタ拘っているんじゃねぇよ、という当事者外からの痛撃な一撃(笑)」

といった声が寄せられている。関西風なのに広島焼き...考えれば考えるほどわからなくなる。

投稿者の理子さんによれば、POPは新潟伊勢丹(新潟市)の地下1階、食品売り場で7月6日に撮影。Jタウンネットが新潟伊勢丹の広告担当者に確認したところ、全国の食べ物屋が複数集まるコーナー「フードコレクション」に出店していた、お好み焼き屋「粉もん研究所こんぷとん」のPOPだということが分かった。

こんぷとんはかつて大阪府池田市の石橋商店街に店を構えていたが、現在は本店を持たず百貨店の催事場等を回っているようだ。新潟伊勢丹のフードコレクションには7月1日〜7日の期間、出店していた。

Jタウンネットは8日、新潟伊勢丹を通じてこんぷとんに取材を試みたが、本店を持たないなどの事情もあって応じられないとのこと。ただ、「関西風広島焼き」が何なのかについては、

「こんぷとんが販売していた『大阪まぜ焼き』、『広島重ね焼き』の総称です」

と新潟伊勢丹の広告担当者が回答した。イベント用に作った言葉で、商品名ではないという。

関西風と広島風、2商品の販売を一目で分かるようにするため「関西風広島焼き」としたのかもしれないが、実際にどんな意図があったのかは謎のまま。理子さん曰く「たくさんのお客さんが購入していた」とのことなので、おいしいお好み焼きだったのだろう。

長崎出身の理子さんは投稿が話題になったことを受け、「九州の食べ物や飲み物も買ってね。豪雨災害募金お願いします」としていた。