植田とのマッチアップからVAR検証の末にPKをもぎとったカバーニが持論を展開した。 (C) Getty Images

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 現地時間6月20日に行なわれたコパ・アメリカのグループB第2戦、ウルグアイと日本の一戦は2-2で決着した。

 互いに死力を尽くした好ゲームではあったが、試合後には、結果を左右した“あるプレー”が大きな波紋を広げた。前半にウルグアイが得たPKのシーンである。

 日本が三好康児のゴールで1点をリードして迎えた31分のことだった。エリア内に侵入し、シュートモーションに入ったエディンソン・カバーニとブロックに入った植田直通が交錯。前者が大袈裟に倒れ込んだようにも見えたが、これがビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)判定の末にPKとなって、ルイス・スアレスが同点弾を決めたのである。

 サッカーに「たられば」は禁物だが、この1点がなければ、日本が史上初のコパ・アメリカでの勝利を掴んでいた可能性もあっただけに、痛恨の判定であったことは言うまでもない。

 そんな物議を醸しているVAR判定に“渦中の男”カバーニが口を開いた。その発言をウルグアイ紙『El Pais』が報じている。
 22日に開かれた記者会見でカバーニは、今大会からコパ・アメリカで導入されたVARについて、「基本的に言い訳はしたくない」と切り出し、次のように続けた。

「VARには長所と短所があるように思う。前者は正義が守られること、そして後者はサッカーの本質が少なからず取り除かれてしまうことだ。VARによって怪しいプレーや悪質なファールは大幅に減ったのは間違いない。それは僕にとってもプラスなことだし、正義が保たれるのは重要だ。

 だけど、試合の流れやダイナミクス(思い切り)にも影響を与えているからVARの精度は高めなくてはいけないと思う。検証すべき場面と不要な場面がより明確になれば、無駄に試合が止まるようなことはなくなるだろう」

 日本戦での判定も含め、南米ではVARの本格導入に反対する声は根強く上がっている。そうした風潮のなかで“当事者”となったカバーニの意見は、傾聴に値すると言えるだろう。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部