果たしてこの数字を成功と見るべきか否か。4日に開催された新日本プロレス正月恒例の東京ドーム大会「レッスルキングダム3」に、4万人(主催者発表)の観客が集まった。新日本の東京ドーム大会で観客動員が4万人を突破したのは3年前の同日の興行(4万3000人)以来のことだが、これをプロレス人気復興の兆しととらえて差し支えないだろうか──。

この日は全日本プロレスの武藤敬司(46)に奪われたままになっている新日本の至宝・IWGPヘビー級ベルトの奪回に棚橋弘至(32)が挑むタイトルマッチをメインに、後藤洋央紀(29)&中邑真輔(28)組対三沢光晴(46)&杉浦貴(38)組や中西学(41)対秋山準(39)といったノア勢との対抗戦、永田裕志(40)対ゼロワンの田中将斗(35)の世界ヘビー級選手権と、他団体からの参戦がズラリ。

これにカート・アングル(40)やジャイアント・バーナード(34)などの外国人勢も加え、新日本のみならず現在のプロレス界が提供し得る最高の顔ぶれをリングに揃えた。その甲斐あってか近年ではずば抜けた観客動員となり、団体関係者は胸をなで下ろした格好。メインエベントでは30分におよぶ激闘の末に棚橋が武藤を下して8ヶ月ぶりに新日本へベルトを奪還。新日本にめでたい正月をもたらした棚橋は「団体の垣根を取り払い、業界を股にかけるボーダーレス王者になる。プロレスは不滅だ」とブチ上げた。業界あげての低迷脱出へ、リング上の意気は盛んだ。

世間が金融危機に見舞われるずっと前から、マット界は深刻な存亡の危機に見舞われている。K−1をはじめとする他の格闘技の人気や、元関係者たちの相次ぐ内幕暴露によるイメージ悪化など数々の逆風を受けて観客動員が激減し、今やかつての活気は見る影もない。かつては毎回観衆5万〜6万人、時には7万人(1998年4月4日の猪木引退興行)などという驚異的な数字すら叩き出していた新日本の東京ドーム大会も、一昨年の1月4日の「レッスルキングダム1」が2万8000人、昨年同日の「〜2」が2万7000人(それでもなぜか両大会とも「満員」と発表されている)と、全盛期と比較するとため息が出るほどの惨状が続いていた。加えて世は言わずもがなの大不況。そんな背景を思えば、久々に4万人の大台に乗ったことは確かに「快挙」と言える。

しかし、これでプロレス人気が底を脱したと喜ぶことはやはりできまい。かつては独力で東京ドームを満杯にしていた新日本が、この日は全日本・ノア・ゼロワンと3つものライバル団体の力を借りてやっと4万人である。プロレス人気華やかなりし頃なら、これほどの対抗戦をやったら動員はこんなものではなかったろう。
観客席の沈んだ空気も気になるところだ。大技の攻防ではさすがに歓声が上がるが、昔のように声をそろえてレスラーの名を連呼するようなエネルギーがないのは寂しい限り。熱狂的な「猪木コール」が懐かしい。時には暴動まで引き起こした(もちろん誉められたことではないが)あのパワーはどこへ行ったのか。

顔ぶれの新鮮味のなさも目につく。この日のドーム大会に出場したレスラーたちを見ても、世に広く名が通っているのは武藤に三沢に蝶野正洋(45)、果ては今さら感ありすぎの長州力(57)と、10年以上前から変わらない面々ばかり。新しくIWGP王者となった棚橋をはじめ中邑、後藤などの若手(とは必ずしも言えないが)も頑張ってはいるが、いかんせん彼らは知名度の点で前記のベテラン勢に遠く及ばない。もともと新陳代謝の遅い世界だったが、人気の低迷でマット界を取り巻く環境(テレビ中継の時間帯、メディアでの扱われ方など)が悪化した近年、その傾向はさらに強まっている。現在の状況では至難の業かも知れないが、ジャンルを背負える(加えてその面白さを世間に改めて認めさせられる)だけの力を持った新たなスターを育て台頭させてほしい。

(編集部:綱川朋彦.)

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【参照】
日刊スポーツ