対外純資産、中国に抜かれて3位に でも日本が貧乏になったというわけではない理由
財務省は5月26日、2025年末の日本の対外資産・負債残高を公表し、国・地域別の残高で中国に抜かれ3位に後退した。
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対外純資産は、ある国の政府、企業、個人などの居住者が海外に保有するすべての金融資産(対外資産)から、海外の投資家が保有する国内の金融資産(対外負債)を差し引いた金額を指す。
日本は1991年から2023年末まで33年連続で世界最大の純資産国だったので、何となく「日本は世界一のお金持ち国」というイメージが強かった。それだけに、インパクトのあるニュースではあるが、別に日本が貧乏になっているわけではないし、必ずしも悪い側面ばかりではない。
2025年末時点の日本の対外純資産は561兆7504億円で、実は7年連続で過去最高を更新している。日本は海外での直接投資や証券投資によって膨大な資産を保有している一方、外国投資家による日本株や債券への投資拡大によって負債額も大きく増えている。円安で海外から日本への投資が増えたということだ。
アメリカは意外にも大赤字国
ちなみに、世界最強の経済国アメリカは、実は世界最大の対外純債務国(大赤字)である。海外から膨大なお金がアメリカに集まって投資されているからだ。トランプ大統領が昨年、関税政策で脅しをかけ、国内への投資を呼び込んでいたことを思い起こせばわかりやすい。
対外純資産で現在1位のドイツは、欧州の輸出大国として経常黒字を積み上げ、2024年末に日本を抜いた。2位の中国は国内の景気低迷が続いているので、最近は国の政策として海外投資を進め、圧倒的な輸出規模を背景に急速に資産を拡大した。
両国に共通するのは輸出競争力が強いということだが、この点で言えば、残念ながら日本の競争力は確実に落ちている。世界の中での日本の輸出シェアを内閣府が品目別に分析したところ、電気機器だけでなく自動車も低下がみられた。
ところで、「世界3位の資産がありながら、なぜ国民生活はこんなに苦しいのか」という素朴な疑問は湧いてくる。しかし、対外純資産の大部分を占めているのは、政府の持つ外貨準備や、日本の大企業が海外の会社を買収したり、海外に工場を建てたりして得た資産(対外直接投資)だ。
大企業が海外で稼いだ利益は、日本国内に還流して労働者の給料に回るよりも、さらなる海外投資や企業の内部留保に回りがちだ。国全体のデータ上の資産が増えても、国民の財布には直接入ってこない。国・企業の豊かさと、個人の生活のミスマッチである。
国の政策としてはやはり、対外純資産は減っても、日本の雇用や賃金が改善していくことに注力すべきだろう。
文/横山渉 内外タイムス
