特別なことはできなくてもいい…2児の母・青木裕子が考える「子どもの体験で本当に大切なこと」
2人のお子さんの小学校受験を経験したフリーアナウンサーの青木裕子さんによる、日々の「子どもとの学び」を提案する連載「子育て歳時記」。青木さんが子育てをするなかで、お子さんのために徹底的にリサーチをし、親子で一緒に体験した「学び」の数々を毎月シェアしています。
小学校受験では、季節ごとの“植物”や“行事”、生活力について問われるような試験が行われます。365日さまざまなところにある「学び」のチャンスですが、慌ただしく暮らしていると意外と忘れてしまいがちです。連載最終回となる今回は、これまでの記事や書籍を振り返って、青木さんが改めて伝えたい「体験」への考え方について。
そして、この連載に書きおろしマンガなども加えて改編し、まとめた書籍『3歳からの子育て歳時記』も絶賛発売中です。青木さんが実践してきた「体験」の具体例や、小学校受験のプロ・大原先生による月々のアドバイスなどを掲載した、情報満載の一冊となっています。日々のお出かけや、休みの日の参考にもなるのでぜひご覧ください。
体験は何をするかではなくどう取り組むか
皆さんゴールデンウィークはどのように過ごされましたか。子どもと一緒に充実した時間を過ごすことができたでしょうか。我が家は、長男のサッカーと次男の空手が両方休みの日が一日もなく……さらに、夫も私も仕事がぽつぽつとあり、旅行はおろか遠出もできませんでした。潮干狩りに行きたいと思っていたんだけどなあ。
「時間はあるものじゃなく作るもの!」とは私が家でよく言うことですが(勉強もしくは片付けができない理由に時間がないことを挙げがちな息子たちに対して、です)さすがに練習続きで疲労がたまっていそうな息子たちを無理やり連れだすのは気が引けてしまいました。それでも、家族で映画に行ったり、ゲームをしたり、今年も柏餅を作ったり、近場のお祭りに行ったり、お友達と夕飯を一緒に食べに行ったり、それなりに楽しみました。
〈体験格差〉という言葉を、しばしば目にします。このゴールデンウィークにもSNSやネットニュースの記事などで見かけました。非常に幅広い意味を持つ(ようになった)この言葉は、様々な文脈の中で様々な使われ方をしています。教育的な体験について用いられていることもあれば、単純にディズニーランドに連れて行ってもらえる子ともらえない子といった使われ方をしていることもあります。
私は、この連載及び『3歳からの子育て歳時記』を通して〈体験からの教育〉について言及してきました。そこで繰り返し伝えたいと思ってきたのは、息子たちの小学校受験の際に教えてもらった「どんなことでも体験になるし、体験からの教育において大切なのは何をするかではなくどう取り組むかだ」ということです。特別なことが出来なかったとしても、それは体験ができないということではないと思うのです。反対に、特別なところに連れて行けばそれで体験教育完了かというとそうではないとも思います。ちょっともったいないというのが正確かもしれません。
子どものためじゃなく、自分が楽しい体験を
『3歳からの子育て歳時記』を出版して様々なお声をいただきました。中には、「なんだか苦しくなってしまった」なんていう声もありました。曰く、「子どもに対してこんなにいろいろしてあげられないと思ってしまった」と。そんなお声に、私も苦しくなりました。そんなつもりじゃないんだけどな、と。
まず大前提として、『3歳からの子育て歳時記』は、掲載したすべての体験を欠かさずやるべきという本ではありません。子どもと何ができるか迷うことがあったら、カタログのようにめくってほしいと思って作りました。体験教育って(というか教育って)、とても難しいです。しんどいです。私は、その難しさやしんどさは、結果が保証されていないからだと感じています。つまり、「私は親としてこんなに頑張ったのに!」の連続なのです。報われないことばかりです。理科的知識の基礎になるかもしれないと思って昆虫飼育をしたって「理科の先生好きじゃない」で、あっという間に理科嫌いの出来上がりです。読み聞かせは一生懸命したつもりなのに、国語の長文読解どころか、算数の問題も読めてなくない? とか。もっと短期的に、小学校受験のときなど、一生懸命準備してキャンプに行ったのに、感想は「楽しかった」のみ。近所の公園でよかったかもね……なんてことが何度も何度もありました。
……仕方ないですね。私が相手にしているのは私とは別の人間だから。期待通りにはいかないのです。だから、子どものために体験するのはやめようと思いました。子どものためじゃなくて、自分が楽しいと思えることだけをする。そう決めて、取り組んだ体験の数々を集めたのが『3歳からの子育て歳時記』です。報われるかどうかわからないのに、しんどいことにたくさん取り組めないですよね。でも、親として何かしたいという気持ちはある、というときに参考になればいいなと思って本を作りました。
最後に、我が家の息子たちは中学生と小学生です。絶賛子育て中の私ですので、体験教育がどんな結果をもたらすかについては未知です。その点、無責任ではありますが、教育って常に現場で起きているので、現在進行形の情報共有があってもいいんじゃないかなと、出過ぎた真似は承知で連載を続けてきました。目指したいのは、楽して子育てじゃなくて、楽しく子育てです。お付き合いありがとうございました!
