「嘘の契約で女性をAVに出演させた」違反行為を約70回繰り返した男 「虚偽の日付」の“意味”

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「虚偽の契約を繰り返した」

5月14日の朝8時すぎ、警視庁滝野川署。送検のために姿を現した茨城県守谷市の職業不詳・柴田恒一容疑者(52)は赤いフレームの眼鏡をかけ、終始うつむきながら歩いていた。

’22年6月に成立、施行されてからまもなく4年を迎えようとしている「AV出演被害防止・救済法(AV新法)」。柴田容疑者は同法違反の容疑で逮捕された。

「柴田容疑者は’24年に30代の女性とAVの出演契約を2回結び、その際に契約書に虚偽の作成日や契約日を記入していました。さらに出演契約について十分な説明をしていなかった疑いがもたれています。取り調べでは『撮影後すぐに動画を公開できるように(日付を)ごまかしていた』と容疑を認めています。

柴田容疑者は『’23年ごろから70回ほど虚偽の契約を繰り返した』とも供述しており、警察は撮影に同行していた20代の女性についても関連を調べているようです」(全国紙社会部記者)

女性はSNSでAVへの出演を勧誘されたそうだ。撮影に際しては、身元がバレないようにすることを女性が求めていたにもかかわらず、動画は個人が特定できる形でインターネットに配信されていたという。

同法違反容疑では、13日にも宮城県警仙台東署が無職の男(58)を逮捕している。男は’24年〜’26年にかけてAVに出演させた、いずれも当時10代だった女性3人に対し、契約書や説明書を事前に交付しなかった疑いだ。この男もSNSで女性を勧誘していた。制作したAVはインターネットで販売し、少なくとも4000万円以上の売り上げがあったという。

AV新法では通称「1-4ルール」という規制が新たに設けられた。柴田容疑者が「撮影後、すぐに動画を公開できるように」日付をごまかしていたのは、このルールをかいくぐるためだろう。

「『1-4ルール』は出演者と契約をしてから撮影まで1ヵ月、さらに撮影から公開まで4ヵ月間の期間を空けることを義務付けたものです。出演者が契約はしたものの、『やっぱり出演したくない』『公開されたくない』と思い直した場合などには、出演をキャンセルしたり、作品を販売中止にすることができます。さらに作品の公表日から1年間、出演者は無条件で契約解除ができ、作品の公表を中止させることが可能です。

AV新法では、制作者側は契約時にこうした契約内容を出演者に説明し、契約書を渡すことが義務付けられているのです」(AV業界関係者)

現場の声を聞くことなく決められた

AV新法は出演被害の防止を目的に作られたものなので、初めてAVに出演する人の目線に立てばもっともなルールのようにも見える。ただ、業界からすれば「実態に即していない」「前提としてAV=悪になっている」という声は多いようだ。

「契約から発売まで5ヵ月も時間がかかるということは、その間売り上げがないということ。小さなメーカーや事務所にとっては資金繰りがかなり厳しくなりました。撮影のキャンセルや販売中止でかぶる損害もあります。とくに撮影当日に出演者がキャンセルした場合も1-4ルールがあるので、急遽代役を立てることもできず撮影自体を中止するしかありません。制作サイドがかぶるリスクが大きくなったことで作品の数は減りました。

また、契約では作品1つごとに手続きと法律の説明を行わなくてはならないので、出演者1人1人に対面で契約内容を説明するだけで膨大な時間と手間がかかってしまいます。新人など慣れていない人には必要かもしれませんが、何十回と出演しているベテラン女優さんにも同じ説明を毎回繰り返さなくてはならないのです。これに費やす労力は以前の4〜5倍になっています」(同前)

AV新法が現場の実情に合っていないという声が多数上がっているのは、その成立の経緯にも問題がある。同法は’22年4月に国会でプロジェクトチームが立ち上げられてから、6月23日に施行されるまで3ヵ月足らずという異例のスピードだった。また、法案を作る過程で出演者やメーカーなどへのヒアリングが一切なかったことも問題視されている。

「それでも、真面目なメーカーは契約書の交付や内容説明など、法を遵守するための努力を行っています。しかし、現行法の規制はあまりに厳しすぎて現実的ではありません。1-4ルールなどのさまざまな規制を緩和するような見直しを、業界の存続のためにもぜひやってほしいという切実な声が多数上がっています」(同前)

もっとも、今回の事件で問題になっているのは単なる“日付の虚偽申告”だけではない。女性側が匿名性を求めていたにもかかわらず、個人特定可能な形で配信していた点には、出演者保護への意識の低さもうかがえる。

現場からは「業界潰し」との声も上がる厳しい法律だが、そのなかでも法を守ろうと努力する制作者は少なくない。その間隙を縫って法を犯す制作者を罰することは必要だ。しかし、「施行から2年間以内の見直し」が明記されているにもかかわらず、一向に見直される気配のないAV新法について改めて問い直すことも必要ではないだろうか。

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