稲葉浩志

写真拡大

 浅間山の麓に位置する長野県軽井沢町は、海外でも名高い日本有数の高級避暑地。政財界はもとより各界のセレブも足を運ぶが、全国から観光客がやって来るハイシーズンを目前に、日本のとある大物歌手が進める豪華な別荘の建築工事が地元民の不興を買っている。

 ***

【実際の写真10枚】“ガイドライン無視”の高い塀が… B’z稲葉の豪華過ぎる「10億円」別荘

約5000平方メートルの敷地

「工事業者がやって来たのは一昨年の3月ごろでした。あまりに敷地が広いので、工事現場の建築確認済表示板などを確認したら、建築主は株式会社イミューとあったんです。詳しく調べたところ、B'zの稲葉浩志さん(61)の奥様が代表を務める会社だと分かりました」

稲葉浩志

 とは、地元住民。周囲には麻生太郎元首相や矢沢永吉、ビル・ゲイツといったVIPらの別荘も見える。

 イミュー社が工事を進める土地の不動産登記には、権利者の欄に「株式会社イミュー」に加えて「稲葉浩志」との表記が。1988年のデビュー以来、CDの総売上枚数が8000万枚を超えるロックユニットB'zのボーカルその人である。

 地元住民も驚いた約5000平方メートルの敷地は、アメリカンフットボールのフィールドおよそ1面分の広さ。居宅に加え、ログキャビンや露天風呂、ジム、スタジオ設備も完備しているそうだ。

「土地は4億円弱。複数の上物は木造なら5億〜8億円ほどで、鉄筋作りなら優に10億円は超えますね」(地元不動産関係者)

違法な路上駐車

 バブル期の企業保養所もかくやの豪華さだが、先の住人が続けて言う。

「工事期間は工事現場の看板に〈令和6年3月15日から令和7年7月15日まで〉とありました。また、その後に道路拡幅と樹木の伐採を伝える目的で住民に配布された〈工事についてのお知らせ〉には、日曜日と7月25日から8月31日までは〈工事自粛期間〉として土木作業は行わない旨が書かれていたのです」

 ところが、その“約束”が守られることはなかった。

「工事はいまも続いていますし、夏の自粛期間も土木作業はあった。さらには、工事車両の違法な路上駐車で警察が駆け付けたことも。作業員がドローンで作業現場を空撮していた時は、自宅が写るのを嫌がった近所の方が苦情を訴えて取りやめてもらったそうです」

ガイドラインを無視

 その後、周辺住民の戸惑いはピークに達した。

 別の住民が振り返る。

「軽井沢町では自然保護の観点から『自然保護対策要綱』というガイドラインを定めています。稲葉さんの別荘も建物にさまざまな制約が課される“保護地域”に含まれているんです。例えば建物の高さは10メートル以下、階数は2階まで。ただ、罰則や強制力はありません」

 問題視されたのは塀などの遮蔽(しゃへい)物に関するものだ。

「西側の道路との境にコンクリートブロックの土台とメッシュ状フェンスが設置されたんです。最も高い箇所は5メートルもあり、ガイドラインへの抵触は明らか」

 確かに要綱には〈塀その他の遮へい物はできる限り設けないこととし、やむを得ずこれらを設ける場合は、コンクリートブロック、有刺鉄線等を使用せず、樹木等を活用し、自然環境の保護等に支障のないものであること〉と明記されている。

 事情を町役場に尋ねると、

「勾配のきつい傾斜地なので、人や物の転落防止措置が必要なんです。所有者が有名人かどうかではなく、安全面を第一に考える必要があります」(環境課)

 環境や景観面は「塀の内側には新たに40本ほどの植栽があり、一定の配慮がなされている」と話す。

 工期の延長については、

「資材価格の高騰や人材不足による延長は、軽井沢も例外ではありません」(同)

 ひとまず静観のようで、当の稲葉にも見解を求めたが回答は寄せられなかった。

 作家の堀辰雄は、およそ1世紀前に発表した小説『美しい村』で軽井沢の静謐(せいひつ)なありようを〈古いバンガロオが雑木林の間に立ちならんでいた〉と表現した。

 時を超えて森閑たる町には、ロックスターのハイトーンボイスでもエレキギターのサウンドでもない、地元民との“不協和音”が響いている。

「週刊新潮」2026年5月7・14日号 掲載