石川県が奥能登で建設を目指す新病院について、先週、県側が分娩を行わない構想を示し、自治体から反発の声が上がりました。

この方針に対し奥能登で子どもを産み育てる若い世代にも不安が広がっています。能登町での出産を望む女性の思いを取材しました。

珠洲市・泉谷満寿裕市長「若い人は奥能登に住むなと言っているのに等しい」

5月7日に開かれた検討会では、新病院に分娩機能は持たせず、七尾や金沢の病院で行うとした県の提案に、奥能登自治体のトップが猛反発しました。

穴水町・吉村光輝町長「奥能登を分娩できないエリアにしてほしくない」

輪島病院が受け入れ停止をしたため奥能登での分娩対応が出来ない状態に

奥能登では、能登半島地震の前まで唯一分娩に対応していた輪島病院が震災後に受け入れを停止。

奥能登に住む妊婦は、七尾市から南の病院で出産するしかありません。

久手堅真登香さん「こんにちはよろしくお願いします」「お腹大きいですね」「いま9か月です」

能登町藤波に住む久手堅真登香(くでけん・まどか)さん(35)。

横浜に住んでいた久手堅さんは能登半島地震のボランティアとして被災地を訪れ、能登の自然に魅せられたことから1年半前に家族で移住。

4人の娘を育てながら現在5人目を妊娠中で、6月に出産を控えています。

久手堅真登香さん「(5人目は)本当に予想外だったので驚きました。えー!という感じ能登に来てゆったりしていて、子供との時間とも増えて充実している久々の赤ちゃんなのですごい楽しみ、早く出てこないかなーと上の子達も言っている」

子どもが4人で入院も難しく自宅出産を決断

そんな中直面したのが、奥能登での出産に立ちはだかる大きな壁です。

久手堅真登香さん Q:検診はいまどうしてる?「今、七尾まで行っている。9ヶ月なので2週に1回の検診なのですが1時間半かけて行っている。臨月だといつ(陣痛が)来るかわからないし、移動中にもし何かあったらと考える」

久手堅真登香さん「(県の方針には)愕然とした。 移住してきて、妊娠して初めて奥能登に分娩できる病院が無いと聞いて、えー…と思って。」

七尾まで行けば出産できる病院もありますが希望するのは能登町での出産。

さまざまな方法を模索した結果、白山市の助産師の協力のもと自宅で出産することに決めました。

久手堅真登香さん Q:自宅で産む決断をした理由は?「上の子が4人いる。入院するのも難しい。移住してきて実家も親もいないので頼れる人がいないから家を空けるのが困難。旦那さんも日中は仕事。奥能登に分娩できる場所がないということで、(今後の人のためにも)選択肢を増やしたいという思いがある。なるべくこの場所から移動がない場所で産みたいというのがあった。」

久手堅さんが心配するのは今後大人になっていく娘たちの将来を見据えた能登の未来です。

久手堅真登香さん「子供達がこの街に残ってくれてここで家庭を持つとなった時にまた自分と同じ悩みや不安を持たせてしまうのかなと思うと…それをきっかけに能登から出てしまうのではないかと思う。絶対的に分娩機能は持たせてもらいたい。妊婦から産後まで見てもらえるような環境を。」

能登町から七尾市への通院「車で1時間半から2時間」

渡邉百音キャスター「こちら七尾市の恵寿総合病院では、奥能登地域の妊婦のお産も多く行っています」

2025年、七尾市の恵寿総合病院が受け入れた奥能登4市町に住む妊婦の分娩は40件で、地震発生前の2023年に比べ10件増えました。

看護師と通院する女性との会話「足はちょっと浮腫みますね」

能登町から通院しているこちらの女性。

初めての出産ということもあり健診も出産もこの病院で行うことを決めたといいます。

能登町から通院する女性「時間でいうと1時間半。混んでたら2時間かかる。どこもないのでここに来るしかないかなと最初の検診からここ。ちょっと長めに入院すると言われた。Q:予定日までここで入院して待つ?そうなると思う。」

石川県は奥能登4市町に出産前の入院や宿泊費用の補助

県は、奥能登4つの市町の妊婦を対象に出産前の入院や近隣施設への宿泊費用を補助する制度を設けています。

神野正博理事長は地域の仕組みを利用して安全なお産ができるような体制を作ることが重要だと話します。

恵寿総合病院・神野正博理事長

「これは産科に限った話ではない。救急や外科にも今後関わってくる。奥能登統合病院のあり方を見直す時期になると思う。」