地方移住 成功のコツは?30歳で脱サラ漁師となった当事者「人間関係が苦手な人や、思いがない人は難しい」「地元の人に気持ちが伝われば、応援してくれる循環が生まれる」

都市部から地方へ生活の拠点を移す「地方移住」。その成功と失敗をわけるポイントはどこにあるのか。『ABEMA Prime』では、地方移住の脱サラ漁師と専門家に話を聞いた。
■自動車関係の仕事から漁師へ、30歳での決断

9年前に愛知県から富山県朝日町に移住し、漁師として働く徳田聖一郎氏(39)。移住のきっかけについて、「以前は愛知県豊田市で自動車関係の品質保証の仕事に従事していたが、毎日クレーム処理に追われ、何のためにやっているんだろうという思いがあった。30歳のときに、『ずっとこのままだな』という危機感があった」と振り返る。
元々、漁師への憧れがあったという徳田氏は、後悔しないために北海道や福井、和歌山など、全国40から50件もの漁協に電話をかけ、体験を重ねたという。
その中で朝日町を選んだ理由については、「地域おこし協力隊で漁業部門を募集していた。富山で一番小さい漁協だが、その小ささがフットワークの軽さにつながっている。組合長も『やりたいことがあればやればいい』と言ってくれた。自分次第で色々できる可能性を感じた」からだと話す。
■移住の成否を分ける“目的の明確化”

3000件以上の相談を受けてきた移住専門のファイナンシャルプランナー・仲西康至氏は、移住が成功する人の特徴として、「目的が明確であること」を第一に挙げた。「何をしに来たのかわからない人は、地域の人も受け入れにくい。田舎の人は必ず『なぜこんな何もないところに来たのか』と質問する。そのときに明確に答えられれば不信感は解ける」。
徳田氏は「自分はここで定住するという意思を明らかにしていた。若いやつが来て、定住する意思があるなら応援しようという空気を感じた」との実体験を語った。
都会に疲れてゆっくり暮らしたい、あるいは家賃が安いからリモートワークで静かに暮らしたいといった理由では受け入れられないのか。仲西氏は「自分の夢を、自分の好きなタイミングで、好きな場所で叶えることが移住だ。夢があることは大事だが、大きな街と小さな街では受け入れ体制も変わる。引っ越しとして割り切るならそれでも問題はない」と、個人のライフスタイルに合わせた選択の重要性を説いた。
■地域の“砦”としてのコミュニケーション

移住後の人間関係について、徳田氏は「人間関係が苦手な人や、思いがない人は難しいかもしれない。何かあったときにすぐ折れてしまう。地元の人に気持ちが伝われば、応援してくれる循環が生まれる」。
また、一昨年には町の漁師で初となる加工場も開設し、「地元の人が散歩ついでに見に来てくれるなど、理解してくれている」と、地域に溶け込んでいる現状を明かした。
生成AI系会社員のハヤカワ五味氏は「新しい会社に入っても馴染むのに時間はかかる。人が集まればある程度は仕方のないこと。事前に人間関係を作っておくことも大事ではないか」と分析。
仲西氏は、多くの自治体が実施している「移住体験事業」の活用を推奨し、「1週間から1カ月、実際に仮住まいをして、その町が合っているかチェックするのが良い」とアドバイスした。
最後に徳田氏は「地元(愛知)が嫌いで出てきたわけではない。富山の美味しいものを愛知に届けて、繋がりを持ち続けたい」とした。
(『ABEMA Prime』より)
