【A4studio】服はダル着だけど、メイクやネイルはバッチリ…いまの女子大生がファッションで「あえて力を抜く」理由

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1980年代バブル期、テレビや雑誌などのメディアでたびたび取り上げられ、火がついた“女子大生ブーム”とそのファッション。その後、1990年代、2000年代、2010年代と、さまざまな女子大生ファッションの変遷を辿るなか、先日Xでは以下の内容のポストが、1.3万“いいね”を獲得し、話題となった。

《今の女子大生、上下グレーのスウェットジャージとスニーカーに黒髪ロングで、なんでニートみたいな服着てバッチリメイクなんだろう?と初め不思議だったけどあれが流行りなのよね》

このポストに対しては、《ちなみにジャージで大学行ってそのままサークル出て着替えずに帰ったりしてました。しっかり“おめかし”しなきゃっていう風潮がなくなって生きやすいです》や、《大学ってわざわざお洒落とかして行きたくないって考えてる人間だから今のスウェットの流行りまじで有難い》など、若い世代からの共感の声が多数あった。

若者のファッションやライフスタイルを中心に研究している、共立女子短期大学教授の渡辺明日香氏に話を聞いた。

記事前編は【「ゆるふわ女子大生ファッション」の終わり…「ジャージ・スウェット通学」が新たなトレンドとなったワケ】から。

「あえて力を抜く」スタイルが流行

女子大生ファッションとしても定着しつつあるジャージやスウェットといったカジュアルな装いだが、彼女たちには服装以外での共通点があるという。

「カジュアルな服装とは反対に、ヘアスタイルやネイル、さらに“まつげパーマ”や“まつげエクステ”といった、服装以外の部分には気を遣うという傾向も見られます。“ダル着”のような服装だけれども、髪はきれいにブリーチしたヘアスタイルであったり、デコレーションした長いネイルをしていたりと、服装とのギャップでトータルコーディネートにメリハリをつけたいという心理が伺えます。

ネイルやヘアスタイルに加えて、服装まで華やかにオシャレをしてしまうと、それはトゥーマッチな印象を与えてしまいかねません。そこで、彼女たちにとっては華やかなネイルやヘアスタイルなどを際立たせる“背景”として、カジュアルな服装を好んでまとっているとも考えられます。

また最近では、SNSなどで参考となるメイク動画もたくさん投稿されており、服を買い替えるよりも、メイクを変えるほうが気軽に試せてアレンジできる楽しさがあります。このように服装以外の部分で自分をよく見せるほうに若い女性たちの関心が向いてきているのです」(渡辺氏)

今回取材した女子大生・ユウナさんも、毎月ネイルサロンには欠かさずに行き、長い爪で華美なネイルスタイルを保ち、“まつげパーマ”も欠かさないという。このように“全身を過度に装いすぎない”という、あえて力を抜くスタイルは、現代の若者ならではの“魅せ方“とも言えるのもしれない。

自分に合ったスタイルを確立しづらい時代

そして、こうした若者たちの心理に関して、冒頭で紹介したXのポストにある《無気力冷笑モード》といった意見とも関連性はあるのだろうか。ファッションに対する若者の意識の変化について、渡辺氏はこう分析する。

「2000年代まではファッション雑誌やテレビドラマといったメディアの影響力が強く、アイコン的存在のモデルやタレントを参考にするというのが主流でした。しかしインターネットが普及して、インスタグラムなどのSNSが誕生してからは、若者たちが参考にしたいと思う憧れの対象がどんどん多様化していき、“参考にするべき”とされていた、時代を象徴するような憧れの人物やライフスタイルというものはなくなってきているのです。

そんな情報過多の社会のなかで、自分は何を参考にしたら“正解”なのか、また逆に何を参考にしてしまうと“失敗”となるのか。確実な正解がない世の中だからこそ、自分に合ったスタイルを確立することが難しい時代となってしまってきているように感じます。

若者たちの間に流れる“冷笑系”や“無気力”といった雰囲気は、こうした果てしない悩みのなかで、“諦め”を感じずにはいられないという、若者たちの切実な心理を表しているのではないでしょうか」(渡辺氏)

――女子大生ファッションとしてジャージやスウェットが多く見られるようになった背景には、“何を正解としていいかわからない”という現代の若者ならではの失敗を過度に恐れる心理もあるようだ。次に流行するファッショントレンドは、果たして若者たちのどういった心理を反映するのだろうか。

(取材・文=瑠璃光丸凪/A4studio)

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