「放送が始まってさまざまな反響が届いて、街で子どもたちからたくさん声をかけてもらうようになって」(撮影:小林ばく)

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〈発売中の『婦人公論』5月号から記事を先出し!〉数多くのドラマに映画に引っ張りだこ。昨年は朝ドラで主人公の夫の親友役を演じ、さらに幅広い世代の人気を集めている俳優、高橋文哉さん。その素顔は――(構成:大西展子 撮影:小林ばく)

【写真】「悩むことは基本ありません」と強い瞳で語る高橋さん

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「すごいな、この仕事! 」

中学時代はバレーボールに夢中でしたし、高校時代は料理人を目指して高等専修学校の調理高等科に入学したくらいで、芸能界に興味を持ったことはありませんでした。ただ、小さい頃に「テレビの中に入りたい」とは言っていたらしくて(笑)。

そんな僕が縁あって芸能の道に足を踏み入れたのですから、人生何があるかわかりませんよね。

よく「今までの人生で転機は何か」と聞かれますが、僕にとっては、『仮面ライダーゼロワン』のオーディションに受かったことです。僕の俳優としての基礎が作られたといっても過言ではないぐらい、鍛えられましたから。

放送が始まってさまざまな反響が届いて、街で子どもたちからたくさん声をかけてもらうようになって。「すごいな、この仕事!」と思いましたし、その時に俳優として生きていきたいという覚悟が決まりました。


「昨年は、NHK連続テレビ小説『あんぱん』で辛島健太郎役を演じたことで、幅広い年齢層の方に知っていただけたなと実感しました」

そして、もう一つの転機となったのが、『最愛』(2021年)というドラマへの出演です。放送終了から数年経っても、「『最愛』観たよ、とてもよかったよ!」と、多くの方に声をかけていただきます。

実際、その後からいろいろな作品のお話をいただくことが増えたので、『最愛』は自分にとって大きなステップアップとなった作品です。それ以降、身の引き締まる思いもあり、一つひとつの作品との向き合い方が変化したように思います。

そして昨年は、NHK連続テレビ小説『あんぱん』で辛島健太郎役を演じたことで、幅広い年齢層の方に知っていただけたなと実感しました。

それまでは撮影で地方の食堂などに行くと、「うちのアルバイトの子があなたのファンで……」と言っていただくことが多かったのですが、今はその食堂のおかみさん自身から、「うわあ、健ちゃんだ!」と声をかけてもらえます。

家族の反応は……朝ドラに出てもあまり変わらなかったです。僕は男3人兄弟の末っ子なのですが、長兄の奥さんが子どものお世話の合間に朝ドラを見るのが日課らしくて、僕の出演を「すごく嬉しい!」と言ってくれました。

甥っ子や姪っ子はまだ小さいので、テレビでM!LKを見ても「あ、ふみだ」って言うらしいです。(笑)


「撮影現場で激しいアクションシーンを演じる先輩俳優の小手さんを見て、なんであんなに動けるの!? いやほんとに役者ってすごいな……と、改めて背筋が伸びました」

準備は一切妥協せず

今回、幅広い世代に人気のコミック『SAKAMOTO DAYS』の実写版映画で、僕は目黒蓮さん演じる最強の殺し屋・坂本太郎の相棒・朝倉シン役に挑戦しています。シンは、仲間思いで優しい性格でありながら人の心を読むエスパーの能力を持ち、誰よりも坂本さんのことが大好きで大尊敬しているキャラクターです。

初めて目黒さんにお会いした時に、「この作品はシンと坂本の信頼関係が大事だから、信頼してもらえるように頑張ります」と言ってくださって。作品を良くしたいという一心で向き合っている姿、そしてその時の目が熱すぎて、「目黒さんについていこう!」と瞬間的に思いました。

本格的なアクションは初めてだったので、クランクインまで一切妥協せず、できる準備はすべてやりました。原作ファンの方の抱く、それぞれのキャラクターへの思いの強さを考えると、役者が背負うプレッシャーも桁違いに大きい。

だからこそ、「よし、大丈夫だ」と腹を括れるまで努力したつもりですし、スタントなしでのアクションも、最後は恐怖が消えました。

福田(雄一)監督は、ビジュアル面でのこだわりがものすごくて、特殊メイクによって〈ふくよかな坂本〉になった目黒さんは、本作の見どころの一つですね。

僕も、カツラの髪の毛一本にいたるまで、「もう少し濃い色がいい」「これじゃない。もっと束感を出して」と何度も監督からダメ出しがありました。

今作では、僕が大好きなキャラクターを小手伸也さんが演じています。撮影現場で激しいアクションシーンを演じる先輩俳優の小手さんを見て、なんであんなに動けるの!? いやほんとに役者ってすごいな……と、改めて背筋が伸びました。

今回の撮影では、アクション練習をしている時期に、この夏に公開される別の映画『ブルーロック』の撮影のためのサッカー練習も重なって。大変でしたが、これが俳優の醍醐味。僕自身と、ふたつの役、合わせて3人の人生を一度に生きられるんですから!

ネガティブな言葉は嫌い

普段は特にオンとオフの切り替えをしていなくて、休日も仕事の日も区別なく過ごしているんですが、どうしても役を引きずってしまうことも。それを強制的になくすために、ゲームセンターに行って目の前のゲームに集中したり、ボウリングやダーツに行ったりします。

逆に、考えごとをしたいなと思った時は、1人で電車に乗ったり、サウナに行ったり。考えることはあるけれど悩むことは基本ありません。「悩む」ってネガティブな言葉なので、嫌いなんです。

去年も忙しかったですが、今年はもっとすごいことになりそう。自分の求めているものを具現化する1年になりそうなんです。

年末になって、「ああ、そういうことだったのか」と僕の言葉に納得してもらえるような活躍ができたらいいなと思っています。

これからもいろいろな高橋文哉をお見せできるよう頑張りますので、期待してください!