ガンダム生みの親に旭日中綬章 富野監督「認められてうれしい」 アニメ監督が異例の選出
政府は2026年春の叙勲受章者を29日付で発表した。「機動戦士ガンダム」生みの親でアニメーション映画監督の富野由悠季(本名・富野喜幸)さん(84)に旭日中綬章が授与される。
宇宙を舞台に重厚な人間ドラマを描き、社会現象となった「機動戦士ガンダム」は日本のアニメの歴史を変えた。アニメ監督として異例の選出となった旭日中綬章の知らせに富野さんは「アニメ監督は基本的に裏方だと感じているが、認められてうれしい。一緒に働いていたスタッフの手仕事のたまもの」と顔をほころばせた。
日本大学芸術学部映画学科を卒業後、手塚治虫が創設した虫プロダクションに入社。テレビアニメ草創期から制作に携わり、「鉄腕アトム」の演出を経てフリーに。1979年に「機動戦士ガンダム」の原作者と総監督を務めたほか、「伝説巨神イデオン」など多くのアニメ作品を生み出し、ファンを魅了してきた。
「機動戦士ガンダム」の人気の理由は、子供向けとみられていたロボットアニメに、人口の増加で生じた宇宙移民国家が地球側に独立戦争を仕掛けるという重厚な設定を持ち込み、善悪に二分されない人間ドラマを描いた点だ。少年たちが戦争と政治に翻弄(ほんろう)されながら懸命に生き抜く姿はハイティーンにも刺さり、アニメの視聴年齢を大きく引き上げた。登場メカを模したプラモデル「ガンプラ」は社会現象に。ガンプラ市場は年間1500億円規模の売り上げを誇る巨大産業となった。
シリーズは派生作品を生み続け、今も継続中。日本のポップカルチャーが世界で評価される「クールジャパン」を代表するコンテンツの一つになっている。実物大とされる全高18メートルのガンダム像が国内外で建造され、昨年の大阪・関西万博でも話題になった。2020年には横浜に“動く実物大ガンダム”も登場。3年余りで計約175万人を集めた。
富野さんが目指したのは実写映画のようなドラマをアニメで描くこと。「子供にはうそをつきたくない」と、物語や設定に必然性を持たせた作品作りを心がけてきた。「今も自宅で絵コンテを描いている」と語り、アニメ界の巨匠は84歳になっても自ら手を動かし続けている。
