BTSの東京ドーム公演で際立った“スマホを向けず肉眼で見る客席” メンバーも喜んだ日本ならではの没入感

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豪華なステージが繰り広げられたBTSの東京ドーム公演で、客席風景に注目が集まっている。

リーダーのRMが「皆さんのおかげで映画の主人公になれました」と語ったように、今回の日本公演では、“撮る客席”ではなく“見る客席”そのものが、特別な2時間を作ったと受け止められているのだ。

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BTSは4月17日と18日、東京ドームで「BTS WORLD TOUR 'ARIRANG' IN JAPAN」を開催した。約7年ぶりの来日公演であり、2日間で11万人を動員した大舞台だったが、終演後に強く印象に残ったのは、パフォーマンスの迫力だけではなかった。

客席のあり方そのものが、メンバーの言葉を通じて浮かび上がったからだ。

メンバーにとって特別な体験に

象徴的だったのが、RMのあいさつだろう。

(写真提供=BIGHIT MUSIC)BTSの東京ドーム公演

「僕は映画館で映画を見るのが好きです。スマホを消して2時間、ひとつの作品に集中する時間がすごく好きです。いまはどこにいてもスマホを持ってしまう時代だから、東京ドームに来ると聞いた時はすごく楽しみでした。この2時間、皆さんが僕たちを映画の中にいさせてくれましたし、皆さんのおかげで映画の主人公になれました。この日をずっと忘れません」

この言葉が示しているのは、単に日本のファンが静かだったとか、マナーが良かったとか、そういう話ではないだろう。RMが感動したのは、東京ドームの2時間が“スマホ越しの記録”ではなく、“作品としてのライブ”に近い時間になっていたことだったはずだ。

実際、会場全景の写真を見ると、客席ではスマホ画面よりペンライトの光が圧倒的に目立っている。ドームを埋め尽くす無数の光は、観客が撮影より観覧に集中していたことを感じさせる風景でもあった。少なくとも、東京ドームのあの2日間は、ステージを“残す”ことより“味わう”ことのほうに重心があったように見える。

(写真提供=BIGHIT MUSIC)BTSの東京ドーム公演

J-HOPEのコメントも印象的だった。彼は「東京で迎えられて本当に良かった」「皆さんの反応は想像以上で本当に感動しました」と繰り返していた。

もちろん、久しぶりの日本公演という特別さもあっただろう。だが、RMの言葉と並べてみると、今回の東京ドームでは、会場全体がただ盛り上がっただけでなく、ファンが肉眼でステージを向いていたこと自体が、メンバーにとって特別な体験になっていたように思える。

もっとも、その客席風景は日本の観客の気質だけで自然に生まれたものではない。今回の公演では、主催側が事前に公式サイトで、写真撮影、映像撮影、録音、ライブ・ストリーミングなどを一切禁止すると明示していた。場内への撮影・録音機器の持ち込みも禁じられており、アーティストの権利保護を理由に厳格な運営方針が示されていた。

つまり東京ドームの“スマホの少ない客席”は、ファンの意識だけでなく、明確なルールと会場運営によって支えられていた面も大きい。

(写真提供=BIGHIT MUSIC)BTSの東京ドーム公演

それでも、この風景が特別に映ったのは、海外ファンの反応を見ても明らかだ。

SNS上では、「BTSの東京ドーム公演で誰もスマホ録画せず全力で楽しんでいることに感激した」「これが本当のコンサート鑑賞だ」といった反応が相次いだ。「スマホを持たずペンライトを振る会場全体の盛り上がりは、彼らを笑顔にする」「日本のコンサートがうらやましい」といった声まで出ている。

日本では“当たり前”にも見える東京ドームの客席が、ライブ配信やSNS越しにはかなり新鮮なものとして受け止められていたわけだ。

一方で、ファンカムが残らないことで、その場の名シーンが後から共有されにくいという惜しさは確かにあるだろう。実際、ファンの側からも「最高の瞬間が映像で残らないのは惜しい」という声は出ている。そのため、一概に理想的とまでは言い切れない。

(写真提供=BIGHIT MUSIC)BTSの東京ドーム公演

ただ、少なくとも今回の東京ドームで際立っていたのは、“撮るための客席”ではなく、“一緒に見るための客席”が生む没入感だった。

それが、BTSの日本公演がメンバーにとっても、海外ファンにとっても特別に映った理由なのだろう。