NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年4月15日付で、ISS(国際宇宙ステーション)への7回目のPAM(Private Astronaut Mission=民間宇宙飛行士ミッション)を担当する企業として、アメリカ企業のVoyager Technologies(ボイジャー・テクノロジーズ、旧Voyager Space)を選定したと発表しました。


VoyagerがNASAのPAMに選定されるのは今回が初めてです。これまでに4回のPAMを実施した実績があって第5回にも選定されたAxiom Space(アクシオム・スペース)と、第6回に選定されたVast(バスト)に続き、ISSへの民間ミッションを提供する3社目の企業となります。


【▲ 参考画像:Axiom Spaceによる民間宇宙飛行士ミッション「Ax-4」のCrew Dragon宇宙船を搭載したFalcon 9ロケットの打ち上げ(Credit: SpaceX)】

2028年以降に打ち上げ予定のVOYG-1ミッション

NASAとVoyagerのプレスリリースによれば、「VOYG-1」と名付けられたこのミッションでは最大14日間のISS滞在が計画されており、早ければ2028年に宇宙船の打ち上げが実施される予定です。


Voyagerは今後、4名のクルー候補をNASAおよび国際パートナーに提案し、承認を得た後に飛行に向けた訓練を開始することになります。


商業宇宙ステーションや月面探査を見据えた技術実証

VoyagerはジョイントベンチャーStarlab Space(スターラブ・スペース)にて、Airbus(エアバス)などと共同で商業宇宙ステーション「Starlab(スターラブ)」の開発を進めています。Starlabは2026年2月にNASA立ち会いのもとで商業詳細設計審査(CCDR)を完了しており、開発はすでに設計から製造やシステム統合の段階へと本格的に移行しています。


商業宇宙ステーション「Starlab」が詳細設計審査を完了 開発は製造段階へ(2026年2月25日)
【▲ 商業宇宙ステーション「Starlab」のCGイメージ(Credit: Starlab Space)】

またVoyagerは、打ち上げ後に最大20倍に膨らむ展開型居住モジュールの開発を手掛けるMax Space(マックス・スペース)への投資を通じて、将来の月面インフラ構築にも注力しています。VOYG-1ミッションは、将来の月面探査で必要となる生命維持技術やクルーの運用手順をテストし、洗練させるための重要な足掛かりにも位置づけられています。


今回の選定についてVoyagerのDylan Taylor会長兼CEOは、「現在低軌道に構築されつつあるインフラが、人類の深宇宙進出の出発点になるという私たちの信念を裏付けるものです」とコメントしています。


加速する地球低軌道活動の民間主導への移行

アメリカでは現在、2030年に予定されているISS運用終了を見据えて、政府主導から民間主導へと低軌道活動の移行が進められています。


今回の選定を受けてNASAのJared Isaacman長官は、民間ミッションが新しいアイデアや産業、技術の成長を加速させていると強調。「民間ミッションを提供するプロバイダーが3社になったことで、NASAはより多くの宇宙飛行士を宇宙へ送り出し、軌道経済を活性化させるために全力を尽くすことができます。新たなパートナーがもたらす独自の能力は、複数の商業ステーションが稼働する、持続可能で活気に満ちた市場の実現を近づけてくれます」と述べています。


ISSを舞台に民間企業が実績を積む機会が増えることで、次世代の商業ステーション時代に向けた準備はさらに確実なものとなりそうです。


 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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