今、あるメディアが冬の時代を迎えている。それは『論壇誌』。政治や時事問題などに対しての評論、論文を掲載、また議論を交わす紙媒体で、言論誌とも呼ばれているが、近年、発行部数の減少、休刊や廃刊が相次いでいる。

【映像】近年、休刊・廃刊した“論壇誌”(一覧)

 そして3月をもって、休刊となったのが、『情況』だ。1968年に創刊。左派のイデオロギーをもつ有識者などが多く執筆する誌面づくりだったが、その後サブカルやフェミニズムなど、思想や文化へと領域を広げ、近年はトランスジェンダー、キャンセルカルチャーなど現代的なテーマで様々な論評を展開してきた。直近では、その内容がバランスを欠くなどの指摘を受け、炎上することも。

 そんな、『情況』など論壇誌の相次ぐ休刊、終刊に対し、Xでは「書店でも扱いが小さくなり、時代が変わったのだと実感」「論壇誌の論戦はSNS時代にはスローすぎる」「論壇誌というより左翼系雑誌が売れなくなっているのでは?」などの声があがっている。

 なぜ紙媒体の論壇は読者を失ったのか。『情況』元編集長とともに『ABEMA Prime』で考えた

■「論壇が読者を無視してきたんでしょう」

 『情況』元編集長の塩野谷恭輔氏は、論壇が抱える構造的な欠陥について、「そもそも、論壇が読者を無視してきたんでしょう。読者を無視してきたから、いなくなっているのだと思う」と語る。

 かつての論壇は、大学教授や専門家といったアカデミアの人間が、独自の専門用語を用いて語り合う閉鎖的な空間になりつつあったが、「需要はある。だけど、これまで論壇に書いてきたようなアカデミアの人や書き手は、それぞれの専門用語で喋っているから通じない。もっと伝わる形で書けないんだったら、リアルの場所に出て喋るとかすればいい」。

 また、「論壇の小難しい人たちが排除してきたテーマも絶対にある。そして『SNSの人たちの方が敏感で気づいているよね』という問題もある」との見方を示した。

 今後の論壇のあり方については、「売れていないわけだが、『いいものを売っています』と言って買うやつなんかいるわけない。それは出す側の視点だから、買う側の視点にならなきゃいけない」と断言。

 その上で、これから果たすべき役割について、「僕らができることは、完結した議論を届けることじゃない。これを『話のネタにしてください』と言って届ける。それでみんなが議論すればいい。届けるところまではできるが、『議論する場所を一緒に作りましょう』とか、そういう話にはなる」と述べた。

(『ABEMA Prime』より)