全長4.8m! マツダの「斬新“クーペSUV”」に注目! 「ミラーなし」の美麗ボディ×「ムラサキ内装」で超・近未来的! 「中国人向け」に“フル特化”した「EZ-60」海外モデル どんな車?
中国向けの「EZ-60」どんなクルマ?
各地域のニーズに合わせた海外専売モデルを数多く用意するマツダですが、そのうちの1台に中国向けの「EZ-60」という電動SUVがあります。
2026年3月上旬、メディア向けに国内で開催された「マツダ体験会」で、幸運にも試乗する機会に恵まれました。
どのようなモデルなのか、くるまのニュース編集部員Nが確かめました。
EZ-60は2025年4月に開催された「上海モーターショー2025」で世界初公開されたEV(電気自動車)です。
【画像】超カッコいい! これがマツダの「斬新“5人乗り”クーペSUV」です! 画像で見る(30枚以上)
マツダ自社開発のモデルではなく、マツダの中国現地における合弁相手の長安汽車と共同開発したものになります。長安汽車との協業による電動車としては「EZ-6」に次ぐ第二弾です。
クーペスタイルを持つ5人乗りのSUVで、リアにモーターを搭載する後輪駆動となります。
ボディサイズは全長4850mm×全幅1935mm×全高1620mmと、日本のSUV「CX-60」(全長4740mm×全幅1890mm×全高1685mm)よりも110mm長く、45mm幅広く、65mm低くなっており、ゆったりとしたサイズになっています。
共同開発のモデルながら、エクステリアはマツダ独自のスタイルを採用しました。マツダの最新テーマ「魂動デザイン」を取り込んでいるため、ひとめでマツダ車とわかるスタイリングです。
アッパーライトからグリル風ガーニッシュまで連続するように設けられたシグネチャーランプやフラップ式のドアハンドルなどは、日本国内のどのモデルにも存在しない意匠で、非常に先進的な印象をもたせています。
ドアミラーもデジタル式となっており、中国のユーザーがこうした最先端技術や最新モデルであると視覚的にわかるデザインを求めているのが理解できます。
ボディサイドは太いCピラーやフェンダーアーチモールなどの造形が、CX-60などの主力SUV群と共通性を感じます。テールゲートはなだらかで、流麗なスタイルを実現。本格SUVのように堅牢ではなく、都市で映えるようなデザインです。
テールもマツダのデザインと中国らしく存在感のあるものでまとめています。「MAZDA」の文字ロゴや一文字テールランプなどは、最新のトレンドに則ったもので、ハイマウントストップランプは小ぶりで縦に光るものを装着しています。
ボディカラーは妖艶な輝きをもつパープル系の「星云紫(Nightfall Violet Mica)」で、先進的なデザインも相まって、数世代先をゆくコンセプトカーのようです。
驚くのがインテリアです。
開発担当者によると、先進性を追求しただけでなく、中国のユーザーは自宅に帰ってきても車内にとどまり、動画を見たり、カラオケをして1時間程度のんびり過ごす文化があるのだといいます。そのため、部屋のようにくつろげる空間を意識しているそうです。
インテリアのモードも、「休憩モード」や「カラオケモード」「瞑想モード」「映画モード」なども用意しているという徹底ぶりです。
エクステリア同様にパープル系とホワイトで仕上げられたインテリアは、上質な触り心地のレザレット素材を採用。光り物でゴテゴテさせず、シンプル&モダンを感じられるのは、日本的なセンスに感じます。
シートは大ぶりでゆったりとしたもので、近年の新型車にありがちな硬めのものではなく、かなり柔らかな印象です。
しかも、運転席シートにもオットマンが装着されており、ドライバーであってもかなりくつろげるようになっているのです。欧州などでは衝突安全上の観点から運転席のオットマンは装着できないようですが、中国ではその点は無問題で、ユーザーのニーズをしっかりと抑えています。
インパネはドアトリムまでラウンドするような一体的なデザインとなっており、インフォテイメントとメーターは、インパネ中央から助手席にかけて広がる26.45インチの5K高精細ディスプレイに集約。警告灯もこのディスプレイに表示されています。
物理スイッチはステアリング部やウインカー・ワイパーレバーを除いてほぼ廃され、すべてディスプレイ上で行います。当然音声認識にも対応しており、窓を締めることなども可能です。
ディスプレイはほとんどスマホのようなUIとなっており、バイドゥやウェイボーをはじめとするアプリなどがインストールされているほか、必要に応じて追加することができます。高性能なCPUとGPUを搭載するなど、デバイスとしてのスペックも高めています。
ちなみにスピーカー数は23と非常に多くなっています。開発担当者の話では、中国のユーザーはスピーカー数が多ければ多いほど歓迎されるそうで、ヘッドレストにもスピーカーを内蔵しています。音響はドルビーアトモスに対応し、厚みがあり、奥行きのあるサウンドを体験できます。
「中国人向け」セッティングに驚き!
では試乗してみます。試乗コースは山口県美祢市にあった旧「MINEサーキット」を改良した「マツダ美祢試験場」の外周路です。
まず走り出しで感じるのは、ステアリングの軽さと初期操舵の機敏さです。わずかな舵角でもかなりレスポンスよく反応し、すぐにクルマの向きが変わります。
開発担当者によると、この鋭敏な初期操舵は、中国のユーザーは渋滞中に「我先に」と空いている車線にすぐに割り込む習慣があるため、このセッティングにしているそうです。日本人からするとかなり驚きます。

直線コースでは加速性能を試してみました。車重は2.1トン近くありますが、リアモーターの出力は190kW(約258馬力)、最大トルクは290Nmと少々控えめです。
そのためアクセル全開でも穏やかで、EVらしい、背中に身体を押し付けられるような加速感はありません。しかし、決して遅いわけではなく、必要な分だけ加速するように感じます。
足回りは長安汽車のベース車両と同様の構造で、フロントはストラット式、リアはマルチリンク式のサスペンションを採用しています。ただし、マツダ流にチューニングし直し、ブッシュやスプリングレートは変えており、ガワは変えずに「人馬一体」を追求。
足回りのバタつきは感じず、ゆったりとした乗り心地です。主力のラージ商品群ではやや硬めと言われますが、その真逆といった印象です。
中国では路面状況も良好ではない箇所があるようで、スポーティに走るよりも、荒れた路面でも映画や音楽を楽しめるよう、快適重視の味付けに振っているようです。
Rのキツいコーナーでも意のままのハンドリングで、機敏なステアリングの味付けが活きています。
今回、主力のCX-60や3列シートSUV「CX-80」、さらには国外専売の「CX-50」「CX-90」を試乗することもできたなかで、そもそも長安汽車との共同開発モデルということで「出自」から異なるEZ-60。しかし、マツダが全ラインナップで追い求める「人馬一体」はこのクルマでも十分に感じられました。
残念ながら日本国内への導入は難しそうですが、中国向けに最適化しつつも、マツダ独自の哲学を感じられるモデルに仕上がっています。

