和田アキ子と上田晋也

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資格は十分

 TBSの日曜昼の風景が大きく変わる。1985年の番組開始以来、41年間も続いてきた長寿番組の「アッコにおまかせ!」が2026年3月で終了することになったからだ。その後番組として4月に始まるのは、くりぃむしちゅーの上田晋也が司会を務める生放送の情報番組「上田晋也のサンデーQ」である。【ラリー遠田/お笑い評論家】

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 上田は数多くのレギュラー番組を持つ人気タレントであり、「格」としては和田のあとを継ぐ資格は十分ある。しかし、意外なことに、生放送の情報番組のMCを務めるのはこれが初めてだという。上田は和田アキ子に替わって新たな“お昼の顔”として輝くことはできるのだろうか。

和田アキ子と上田晋也

「アッコにおまかせ!」は、開始当初は中継企画などを中心にした純粋なバラエティ番組だった。その後、スタジオで芸能ニュースや時事ネタを扱うことが増えていき、情報番組路線へと移行していった。芸能人のスキャンダルや社会的な話題を取り上げ、出演者たちがそれについてコメントする形式が定着した。この番組を通じて和田は「芸能界のご意見番」としての地位を確立した。

 その意味で「アッコにおまかせ!」は普通の情報番組ではなかった。視聴者が興味を持っていたのは情報そのものではなく、和田がそれをどう受け止めるかということだった。いわば、最新のニュースを和田アキ子というフィルターを通して見る番組だったのだ。このフォーマットは、和田のような強烈な個性を持っているタレントだからこそ成立するものだ。別の司会者が同じような形で番組を担当することはできないだろう。

 上田が「アッコにおまかせ!」の後番組を任されたからといって、彼が和田アキ子型の司会進行をするわけではない。上田の強みは、前に出て自分の意見を発信することでもなければ、強烈な個性で場を支配することでもない。情報をわかりやすく伝えて、共演者のコメントを引き出し、議論を整理しながら場を盛り上げることだ。彼は強い主張を展開するタイプではなく、出演者、専門家、視聴者の感覚をつなぐタイプの司会者である。

番組の交通整理役

「上田晋也のサンデーQ」のコンセプトは、出演者の疑問を専門家がその場で解消していくことだ。上田は素朴な疑問を拾い上げ、それを徹底的に掘り下げていく。それによって難しいニュースを「自分ごと」として感じてもらうことを目指すのだという。豊富な知識を持っていて、幅広い分野の話題に対応できる上田は、この番組の交通整理役としてふさわしい存在だ。

 上田の生放送の情報番組への対応力の高さを示す事例もある。2021年1月24日放送の「サンデー・ジャポン」(TBS)である。この日、脳梗塞で入院した爆笑問題の田中裕二の代役として、上田がサプライズ出演を果たしたのだ。彼は初めて仕切る番組とは思えないほど、生き生きとした立ちふるまいを見せていた。

 得意の「例えツッコミ」を駆使して自分から笑いを取りに行くこともあったが、決してでしゃばりすぎない。生放送の司会を突然任されて、滞りなくのびのびと仕事をこなしていたこと自体が奇跡的だった。そのときのことを考えると、「上田晋也のサンデーQ」でも安定した司会ぶりを見せてくれるのは間違いない。

 上田晋也は、和田アキ子のポジションを受け継ぐ存在ではない。強い個性で場を制圧するのではなく、ニュースを視聴者にわかりやすく届ける翻訳者の役割を果たす。彼は今の時代に合った新しいタイプの“お昼の顔”になるだろう。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部