革新的なテクノロジーを搭載した斬新「4WDスポーツカー」とは?

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革新的なハイパワー技術と軽量ボディが魅力

 自動車業界では近年、電動化の波が一段と加速しています。各メーカーが次世代の主力モデルを電気自動車へと移行させる方針を打ち出すなか、ブランドの将来像そのものをEVに託すと明言する例も珍しくありません。

 英国の自動車ブランドであるジャガーも、その代表的な存在です。同社はラインナップを段階的に電動化し、最終的にはすべてをBEVへ移行する構想を掲げています。

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 その動きの一端として、2026年2月2日には、新型ラグジュアリー4ドアGTのプロトタイプがスウェーデンで冬季テストを開始したことが明らかになりました。

 極寒の地での試験は、バッテリー性能や車両制御の信頼性を徹底的に検証するための重要な工程です。

 電動化をブランド再生の軸とするジャガーの本気度がうかがえる出来事といえるでしょう。

 もっとも、ジャガーが電動技術に目を向けたのは最近のことではありません。すでに市販BEVとして「I-PACE」を世に送り出し、高性能電動SUVという新たな領域を切り開いてきました。

 しかし、同社の挑戦を語るうえで欠かせない存在が、かつて発表された先進的なコンセプトカー「C-X75」です。

 C-X75は2010年のパリ・モーターショーで初公開され、2013年には具体的なプロトタイプが披露されました。

 当時は世界的な経済状況の悪化という逆風もあり、市販化は実現しませんでしたが、その内容は現在の電動化時代を先取りするものでした。

 内燃機関と電動モーターを高度に融合させ、小排気量でありながら圧倒的なパフォーマンスを追求する姿勢は、今振り返っても非常に先見的です。

 このプロジェクトは、Williams Advanced Engineeringとの協業によって進められました。

 車体にはジャガー初となる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製モノコックシャシが採用され、軽量化と高剛性を高次元で両立しています。

 流麗なボディラインは後に登場する「F-Type(エフタイプ)」にも通じるエッセンスを感じさせ、単なる実験車両にとどまらない完成度を誇っていました。

 外観面では、上下に大きく開くガルウイングドアや、状況に応じて角度が変化する可動式ウイングなど、スーパーカーにふさわしい演出が盛り込まれています。

 高速域ではダウンフォースを大幅に高め、安定性を確保する設計がなされており、デザインと機能が密接に結び付いていました。

 心臓部となるパワートレインもまた、野心的な内容でした。リアに搭載された1.6リッター直列4気筒直噴エンジンはツインチャージャー、すなわちターボとスーパーチャージャーを備え、最大502hp(502bhp)/10000rpmを発生します。

 さらに2基の電気モーター(各150kW級)と高出力のPHEVバッテリーパックを組み合わせたハイブリッドシステムを採用し、EVモードでは最大60kmの走行が可能とされました。

 CO2排出量は89g/km未満に抑えられており、環境性能とスーパーカーの性能を両立させる意欲が明確に示されています。

 システム全体の出力は850hp(852PS)、最大トルクは1000Nmに達し、駆動方式はAWD、トランスミッションには変速スピード0.2秒未満の7速ATが組み合わされました。

 これらの数値は、当時のハイパーカーと比べても遜色のない、むしろ先進的な水準だったといえるでしょう。

 しかしながら、リーマン・ショック後の景気後退の影響は大きく、量産計画は白紙となりました。

 最終的に製作されたのはプロトタイプがおよそ5台にとどまり、市販モデルとして街を走る姿を見ることは叶いませんでした。

 それでもC-X75が示した技術的ビジョンは、今日の電動化戦略へと確実に受け継がれています。